晴乗雨読な休日

休日の趣味レベルで晴れの日は自転車に乗ってお出かけ。雨の日は家で読書。

柴田錬三郎 『岡っ引どぶ』

2020-07-02 | 日本人作家 さ
先月は3冊しか投稿できませんでした。試験勉強も終わり、家の補修工事も終わって、さあ読書だと意気込んだのですが、疲れてあまり読めませんでした。やはり1年の折り返し地点にさしかかると疲れがドッと出ますね。歳だなあ。

以上、梅雨の時期だけにジメジメした言い訳。

さて、柴田錬三郎さんの作品は初めて。

そういえば、ちょっと前の朝ドラ「とと姉ちゃん」で、主人公が入社した小さな出版社の編集部にいた(五反田さん)という先輩が、じつは柴田錬三郎さんがモデルだそうでして。

時代的には「十二代将軍の~」と出てきますから、江戸も後半。

身なりが薄汚い、お顔が、ちょいと、その、(まずい・・・)岡っ引、名前を(どぶ)といいます。本人も「親分じゃなくて(どぶ)でいいよ」と言ったり、周りが「(どぶ)の旦那」と呼んでいるので別にいいのですが、数年前にふらりと江戸に現れて、岡っ引になったんだとか。

(どぶ)を岡っ引にしたのは、盲目の与力、町小路左門。

第一話「名刀因果」は、世間から「怨霊屋敷」と呼ばれている武家屋敷があり、そこで起きた奇妙な出来事という話。
大番組八千石という大身旗本、近藤右京亮友資の家は、代々、精神異常や身体障碍などが生まれ、現(殿さま)も、過去に「ご乱心」あそばされて蟄居の身。跡継ぎの長男は知的障害。妹は目が不自由。過去にご先祖様が何かひどく悪いことをしでかして「呪い」がかけられているのか、という話も。
そんな近藤家の用人が左門の屋敷を訪れ、あるお願いをします。
それは、将軍家に家宝の刀を献上することになったのですが、用人はこれを機に跡継ぎを廃嫡にして他家から養子をもらって御家存続をはかろうとしますが、どうやら、家宝を盗んで献上できなくさせて改易(取り潰し)と誰か企んでいるのでは・・・と不安になって相談に。
そこで、左門は(どぶ)に、この家宝の刀を見張れ、と命令。
知り合いの盗賊に頼み、近藤家の屋根裏に侵入し、刀を見張る(どぶ)。刀は、盲目の娘(小夜)が片時も離さず持っています。ところがある夜、(どぶ)がほんの少し目を離している隙に何者かが小夜の寝室に忍び込んで刀が盗まれ・・・

第二話「白骨御殿」は、立て続けに起こる奇妙な事件の出所は将軍様のご息女が輿入れした屋敷・・・という話。
(どぶ)は、水死体の引き上げ現場に出くわしますが、この死体、顔だけが白骨化しているという不思議な状態。これとは別に、幻覚でも見てるのか、ふらついてる女形の役者と出くわします。ところがこの女形は後日死亡。この出所を探った(どぶ)は、七千石の大身旗本、土屋千四郎の屋敷が怪しいと発見。
江戸城は基本的に中級以上の武士しか入れないのですが、たまに町人や下級武士も入れるイベントが催されます。そのイベントに参加したとある小大名の十石取りの小姓が、大奥に住む、ある「訳あり」の姫様に見初められます。そこで周囲はその小姓を廃家になっていた旗本家を継がせ、そこに輿入れさせたのですが、この家で一体何がおこなわれているのか・・・

第三話「大凶祈願」は、巷で大流行している占いのたぐい、特に「犬神様」の流行はすごいもので、なんでも五代将軍綱吉の時代にいた「お犬の方」の祟りが云々、そこでお犬の方の霊廟が建てられるという話があり、その土地の提供者が、前の若年寄、土井但馬守光貞その人。この大金持ちの大名、なにかと(黒いウワサ)があり、密貿易に加担しているのでは、なんて話も。そこで(どぶ)がこの家を調べると、当主は暴君、三人の息子と一人娘はそろいもそろってごくつぶしと、まるでいい所ナシ。すると、件の霊廟の建設現場で、木乃伊が発掘されたのです。若い女性の木乃伊をしげしげと見ていた(どぶ)がふと見物人の方を見ると、木乃伊の骨相にとても良く似た女がいるのを見かけます。これとは別に、家の工事に関わった職人が次々と死んで、さらに息子たちも次々に行方不明になるという奇妙な事件が・・・

3篇とも「奇妙な事件」ですが、ホラー的、ファンタジー的なものではりません。

柴田錬三郎さん、面白い。なにを今さらという話ですが。さっそくオンラインショップで他の作品を注文しちゃいました。

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