晴乗雨読な休日

休日の趣味レベルで晴れの日は自転車に乗ってお出かけ。雨の日は家で読書。

ネルソン・デミル 『ゴールド・コースト』

2012-04-05 | 海外作家 タ
『ゴールド・コースト』とは、オーストラリアの東海岸ではなく、
ニューヨークの東に位置する、長細い島、ロングアイランドにある
海岸で、20世紀のはじめから豪邸が並ぶ、その所有者はヴァンダー
ビルト家、モルガン家などハンパな金持ちではなく、さらにその土地
の広さときたら、この物語に登場するスタンホープ屋敷でいうと、200
エーカー(約80ヘクタール)、よく日本ですと「東京ドーム○個分」と
表現しますが、東京ドームは約4,7ヘクタールですので、17個分。

しかし近年では、アラブ系、アジア系などが買占め、土地を切り売り
したり、そして、この物語の軸となる、イタリア系マフィアが引越し
てきたりと、残された「古き良き」アメリカは消えつつあります。

主人公のジョン・サッターは、マンハッタンとロングアイランドの小さな
町に事務所を構える弁護士で、妻のスーザンは、スタンホープ屋敷で
生まれ育ったお嬢さま。2人の子どもは大学と高校の寮住まいで家には
住んでなく、といっても本邸は50部屋もあるので、夫婦はゲストハウス
に住んでいます。

そして、「古き良き」アメリカの豪邸住まいに欠かせないのが使用人。
年寄りのアラード夫婦は、先々代のスタンホープ家の主人(スーザンの
祖父)から、終身雇用を言い渡され、それを忠実に守っています。

そんなゴールド・コーストに、なんとニューヨークからマフィアの大ボス、
フランク・ベラローサがスタンホープ屋敷の隣に引っ越して来るという
ので大変。
ただでさえ閉鎖的で排他的なコミュニティなのに、マフィアと近所付き合い
など出来ないと心配するジョンとスーザン。

しかし、このフランクと妻アンナはとても気さくで、地域に溶け込みたいと
いう希望もあり、気がつけばジョンもスーザンも彼らと仲良くなっていきます。
ところが、そこはマフィア、ジョンの弁護士という肩書きを、はじめから利用
しようと企んでいたのです・・・

ジョンはもろもろの諸問題に悩み、あげく別荘の脱税疑惑がふりかかってきて
、もともと破滅願望があったのか、これが渡りに船だったのか、とうとう精神が
崩壊してしまい・・・

コミカルな描写や、どぎつい一歩手前で「クスリ」と笑える下ネタだったり、
法律問題、家族の問題、マフィアの抗争などがごっちゃになりつつもきちんと
構成がなされて、エンタテインメントとして楽しめつつも、うーんと考えさせ
られます。

訳者あとがきにもあって思い出したのですが、ロングアイランドといえば名作
「グレート・ギャツビー」の舞台でした。
だいぶ前に読んだのですが、「そういわれてみたらそうだった」というくらい
忘れてました。また読み返さないと。

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