晴乗雨読な休日

休日の趣味レベルで晴れの日は自転車に乗ってお出かけ。雨の日は家で読書。

奥田英朗 『純平、考え直せ』

2021-05-09 | 日本人作家 あ
前にも当ブログで書いたと思うのですが、なんだかここ10年くらいで、四季のうち春と秋が短くなってるような気がします。なんか、こう、暑いのと寒い季節が終わって「ああ気持ちいい」って思いっきり伸びしたくなるような、そんな時期。一年の季節が雨季と乾季しかないエリアではどちらかが長くなってもう片方が短くなってるとかあるんでしょうかね。

地球の気候変動に警鐘を鳴らしてみたところで。

奥田英朗さんです。この作品は映画化されたんですね。

主人公は、タイトルにもあるように、純平。新宿の歌舞伎町を根城にするやくざの下っ端。イケメンで気がやさしく、歌舞伎町ではちょっとした人気者。

埼玉で不良だった坂本純平は新宿でチンピラと喧嘩したときに仲裁に入った北島というやくざに憧れて面倒を見てくださいと志願します。早田組という暴力団の今は部屋住みつまり修行中ですのでまだ正式には組員ではありません。

北島のアニキは関西に出張で、純平は電話番のため組事務所に行くと、親分に呼ばれます。なんでも、系列の組員がライバルの組とトラブルになって撃たれ、親分はやる気満々、といっても自分で行くことはなく、純平に「男になってみねえか」「組のためにひと肌脱いでもらいたい」とお願い。これで本物のやくざになれると純平は「やります」と即答。

改造銃を買い、残りは当分刑務所暮らしになるので遊び代として30万円をもらいます。とりあえず焼き肉を食べに行くと、隣のテーブルの女性客に声をかけられ、いっしょにクラブに遊びに行きます。女性に自分はやくざで近日中に抗争中の相手を銃で撃って服役する予定だというと半信半疑。

するとこの女性、ネット上の掲示板に純平のことを書き込んだというのです。その返信というのが「いまどき鉄砲玉なんて」「殺人は重罪です」「本当なら証拠を見せろ」「顔写真アップして」と、匿名で好き勝手なことを書かれて純平は呆れるやら怒るやら。

さて翌日。北島から「お前、鉄砲玉になるのか?」と電話。いくら組長からの直々の頼みとはいえ、北島に相談もなしというのはどうかと頭に来てる様子。ところが、同じ部屋住みの下っ端から、北島のアニキは純平を鉄砲玉にして自分の名前を売って早田組から独立するのでは、という噂があると教えられ・・・

ネットの書き込みをちらっと見ると相変わらず好き勝手なことを書かれてウンザリ。はたして純平は実行に移すのか。

主人公がやくざで舞台が歌舞伎町というキーワードですが、馳星周さん的なダークさはありません。文庫の裏表紙のあらすじには「一気読み必至の青春小説!」とありましたが、同い年の他の組の下っ端やくざと将来について語ったり、あと純平には片思いのショーパブのダンサーがいまして、彼女に良い所を見せようと頑張ってみたり、まあ青春といえば青春です。

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