晴乗雨読な休日

休日の趣味レベルで晴れの日は自転車に乗ってお出かけ。雨の日は家で読書。

佐伯泰英 『吉原裏同心(三) 見番』

2017-06-23 | 日本人作家 さ
わりとはやいペースでシリーズ3巻目を読了。

さて、今作のテーマは「見番」。
見番とは、(検番)とも書くそうですが、例えば、
料亭でお客さんが芸者を呼びたいと注文があった
とき、料亭は見番に連絡します。見番は、芸者の
所属事務所というかプロダクション的な「置屋」
に「どこそこの料亭で芸者何人ご所望です」と
オファーを出す。つまり見番は複数の置屋を統括
しているということですね。

江戸と上方とではシステムが違ったりしたので
しょうが、基本的には、見番も置屋も唄や楽器、
踊りなどを披露するいわゆる(座持ち)の芸者
の取扱です。

というわけで、遊女と芸者とは違うのですが、
まあそこはあれでして、寄席に出てた女義太夫
などの一部も春をひさいでたりもあったそうな。

で、吉原内では(遊女)がいるわけですが、芸者
の中にもそういうことをするのが出てきまして、
これはいかんと大黒屋という妓楼が見番を創設し、
遊女は遊女、芸者は芸者と区分けしました。

お辰というお針(縫い子)が、吉原内の稲荷神社
で殺されていました。お辰は裏で金貸しをやって
いてだいぶ恨みも買っていたようです。
吉原裏同心、神守幹次郎はさっそくお辰殺しの
捜査に。

ところで、幹次郎の妻(汀女)は吉原で俳句や書
を教えているのですが、ここ最近、生徒たちの
間で遊女たちと芸妓たちとが険悪ムードになって
いると感じていました。

吉原会所の四郎兵衛は「さすが汀女さま」と。
というのも、公儀(幕府)では、老中田沼意次の
失脚、新しく就任した松平定信は腐敗立て直し
で吉原を営業停止に。
これは、表向きは「風紀を正す」ということです
が、じつは吉原が(田沼派)と仲良くしていたの
で、その見せしめなのでは、と。
この裏で、見番を管理してる大黒屋が(反田沼派)
の黒幕、一橋治済とつながりがあるという情報を
四郎兵衛は掴み、これが吉原の営業停止と芸妓の
態度がデカくなっているのは大黒屋が吉原の実権
を握ろうとしているのではないかと・・・

この大黒屋の陰謀が、お辰殺しの一件とどう絡んで
くるのか。

シリーズ3巻まで読んでみて、とにかく「読みやすい」
ということです。疾走感がいいですね。

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