晴乗雨読な休日

休日の趣味レベルで晴れの日は自転車に乗ってお出かけ。雨の日は家で読書。

佐伯泰英 『吉原裏同心(十九)未決』

2021-09-09 | 日本人作家 さ
この「吉原裏同心」シリーズも全二十五巻ということで読み残しているのはあと六巻となってしまったわけですが、この続編にあたる「吉原裏同心抄」という新シリーズですか、どんな感じなんだろうなあとチラリとあらすじを見たら、あれ、ちょっと、うーん、なんかちょっと自分の思っていたのとは違う方向に行ってしまうようなので、ひとまずこのシリーズを完結まで読んで、途中まで読んでる別のシリーズに移ろうかと。

ざっとあらすじを。九州の某藩の下級藩士、神守幹次郎は、幼馴染で上役の妻、汀女を連れて藩を脱出、十年の逃亡生活の果てにたどり着いたのは江戸の吉原。そこで幹次郎の剣の腕を見込んだ吉原の会所(自治組織)が彼を雇うことに。吉原は幕府公認なので町奉行の管轄なのですが、幹次郎は会所の用心棒なので、だれが名付けたか「吉原裏同心」と呼ばれるように。汀女は書と俳句を遊女たちに教えることに。

毎月二十七日は「釜日」といって遊女たちが髪を洗う日で、客も心得ていて早めに帰るのですが、老舗の妓楼「千惷楼」ではちょっとしたゴタゴタが。(暗黙のルール)として、その籬の御職(ナンバーワン)から先に髪を洗うのですが、莉紅(りこう)という御職は、まだ前夜の客と一緒にいて、さらに「髪結いを呼べ」と文句を言います。なんだかんだで通常より遅れて他の女郎は文句たらたら。じつはこの莉紅、深川の岡場所(非公認の風俗営業)で手入れがあってお縄になり、(三年間、吉原でタダ働き)という刑罰で送られてきた女郎で、当然、もとから吉原にいた女郎からは歓迎されません。ところがこの莉紅、深川時代の馴染客を連れて来て、すぐに御職の座に。
そんなことがあって、夜見世が始まる前に髪結いが莉紅の部屋に入ると、莉紅は前夜から泊まっていた男と心中していたのです。莉紅の手には「釜日、れいのものをとりにいく」という紙が。

幹次郎と吉原会所の番方、仙右衛門は現場にかけつけ、畳の下から三枚の証文だか書付けのようなものを発見します。千惷楼の人に話を聞くと、昨夜から今日の昼にかけて外の人間が出入りしたのは按摩だけだというのでその按摩の家を訪ねると、そこには部屋が荒らされて絞殺された按摩が。これは心中などではなく、莉紅と客の男は何者かに殺され「れいのもの」を探しても見つからず、按摩も殺されたのです。

その(証文)を見てみると、どうやら莉紅の母親が莉紅の父親と思われる三人に宛てた起請で、娘が二十歳になったら財産のいくらかを譲渡します、といったもの。では、この三人のうち誰かが莉紅に強請られていたかで、(手の者)が口封じに莉紅と一緒にいた男も殺し、ついでに按摩も殺したというのか。そういえば、莉紅は(縄付き)で吉原に来たので、身元を確かめるために過去書き(履歴書のようなもの)が面番所にあるはずだと探してもらいますが、莉紅の過去書きだけ何者かに抜き取られていていたのです。」

幹次郎は家に帰る途中、白装束の三人に囲まれ「今やってる探索を止めろ」と脅しを・・・

タイトルからいって、この話は、触らぬ(なんとやら)に祟りなし、ということで、解決しません。といっても、それなりの「含み」を持って次巻に続くっぽいのですが、どうなんでしょうか。

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