晴乗雨読な休日

休日の趣味レベルで晴れの日は自転車に乗ってお出かけ。雨の日は家で読書。

宇江佐真理 『聞き屋与平』

2015-11-14 | 日本人作家 あ
場所は両国広小路、日中は芝居小屋やさまざまな出店が並び、江戸一番の盛り場と呼ばれていて、ところがこの広場は幕府が火よけ地のために作られたもので常設の建物は作れず、夜になると小屋や店はたたんで閑散とします。
広小路のとある商家の通用口から男が出てきて、机と腰掛けを置きます。男は与平。ここで夜ごと人の話を聞き、お代はお志で。いつしか人は与平を「聞き屋」と呼び、両国広小路界隈ではちょっとした名物となり・・・

というところからはじまります。

ここだけでは申し訳ないですが、まあつまらなさそうですよね。

じっさい、ほんとにただ話を聞くだけなのです。こんな酔狂なことに付き合う人なんているのかと思いきや、「王様の耳はロバの耳」でもあるように、秘密を抱えたり、どうしても誰かに話したいでも話せない、愚痴でも聞いてほしいが聞かせる相手がいないと理由はさまざまで、それなりに人は来るようです。

ところが、この与平の様子を窺う男が。男は岡っ引の長兵衛。長兵衛は与平の「ある疑惑」を追ってるのですが・・・

与平は、薬種屋「仁寿堂」の十代目主人。今は家督を息子に譲っています。ただし与平は「仁寿堂」の八代目の番頭の息子。
この八代目、為吉というのがダメな若旦那で、膨大な借金をし、商売が苦しくなってきて、番頭は懸命に店を守ってきたのですが、そんなときに火事になって店が燃えて、中にいた為吉は焼死します。為吉の女房は、番頭に店の借金の清算を頼んで、子供を連れて実家に戻ってしまいます。
そのとき番頭は「仁寿堂」の看板を譲ってもらうのです。このとき女房は「看板は譲るが今後一切、店とは関わらない」と言い残し、蝋燭問屋の後添えになります。
それから番頭は九代目として「仁寿堂」を再興し、他の薬種屋に手代に行ってた息子の与平を呼び戻したのです。

この一件、長兵衛の父で岡っ引だった長次が、あの火事で為吉は焼死する前に番頭と与平に殺されたのでは・・・?と疑い、長次は子の長兵衛に「仁寿堂」を託したのです。はたして真相は・・・

それとは別の厄介ごとが。なんと八代目の元女房が、「仁寿堂」を乗っ取られたと言い触らして回ってると・・・

はじめこそ「これ面白いのかな?」と、とっかかりにくかったのですが、徐々に惹かれていきました。




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