晴乗雨読な休日

休日の趣味レベルで晴れの日は自転車に乗ってお出かけ。雨の日は家で読書。

ネルソン・デミル 『プラムアイランド』

2024-01-31 | 海外作家 タ
もしかしてこれが今年に入って初投稿かしら、と思って当ブログを見たら前回の投稿が去年の大晦日。つまりそういうことです。
というわけで今年もよろしくお願いします。

さて、ネルソン・デミル。個人的にすごく好きな作家ではあるんですが、日本ではあまりメジャーというわけではないようで、たしか他の作品のあとがきで故・児玉清さんでしたっけ、日本での知名度がいまひとつなのを残念に思ってるとかなんとか。

この作品はジョン・コーリーシリーズの第1作目。2作目「王者のゲーム」と3作目「ナイトフォール」はすでに読んで、まあ順番がバラバラではありますが、前作を読まないと理解できないといったふうではありません。

ニューヨーク市警殺人課刑事のジョン・コーリーは、勤務中に銃で撃たれて負傷し、今は療養休暇中でロングアイランドの伯父のコテージにいます。ある日のこと、この地域の警察署長であるマックスがコテージにやって来ます。そこで、トムとジュディのゴードン夫妻について知ってるかと訪ねます。知ってると答えると、マックスは「現場を見てほしい」と頼みます。というのもこの地域には殺人課の刑事はいないので、ふたりと知り合いだったコーリーにお願いするのがいいということ。ゴードン家は裏庭がデッキになっていて海に面していて、階段を降りるとボートが繋留されています。ふたりは銃で頭部を撃たれてデッキで横たわっています。隣の家の住人は銃声は聞こえなかったと話しています。

そこに、スーツを着た女性がコーリーに「どなたですか」と聞きます。女性は殺人課刑事でこの事件の担当のベス・ペンローズといい、マックスから依頼されたと話すと名前を聞いて「あのときの・・・」と思い出します。

ゴードン夫妻は、ロングアイランドの端から離れたプラムアイランドという名の小さい島にある国立の生物研究所の科学者で、コーリーはふたりのボートに数回乗せてもらっていて、ボートにアルミの箱がないことに気づきます。ひょっとしてふたりは研究所の未知のウィルスを勝手に持ち出してアルミの箱に入れたのを何者かに撃たれてウィルスが奪われた・・・などと考えます。

捜査チームはプラムアイランドの研究所に行って調べることに。ですが特にこれといって解決につながることはわかりませんが、島に渡るフェリーがあるのにふたりはたまに自家用ボートで通勤していたのをコーリーは知っていたので、それについて聞いても事件とは関係なさそう。そして、持ち出したのはウィルスではなく、ひょっとしてワクチンなのでは、それを内緒でどこかの組織に売って大儲けしようとして交渉が決裂して殺されたのか。

捜査で、ふたりが海沿いの使い道のなさそうな荒れた土地を購入していたことがわかり、土地を売った老婦人に聞いてみても、じっさいにその土地に行ってみても、怪しいことは何一つ見つかりません。電話の通話記録から地元にあるワイナリーのオーナーを訪ねて聞いてみてもわかりません。
ところでふたりはこの地域の歴史協会に参加していて、古い資料や数百年前の建築物などの研究をする会なのですが、その協会の会長にコーリーは会ってみることに・・・

はたしてふたりはウィルスかワクチンを持ち出して謎の組織に売ろうとしたのか。でなければなぜ殺されなければならなかったのか。

物語の展開はアメリカの歴史が関わってきて、ただの殺人事件ではなく歴史ミステリーも絡んできて、ものすごく壮大なことになってきます。
ネルソン・デミルの作品は、本筋の話の面白さもさることながら、なんといっても醍醐味は思わず笑ってしまうセリフや描写。ここにオフザケはいらないというようなシリアスなシーンでも笑える登場人物の会話を入れてくるのですが、それが不思議と邪魔になっていません。

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