晴乗雨読な休日

休日の趣味レベルで晴れの日は自転車に乗ってお出かけ。雨の日は家で読書。

大沢在昌 『屍蘭』

2012-02-27 | 日本人作家 あ
今さらですが、「新宿鮫」シリーズにハマっております。

基本的な話として、主人公の鮫島は元キャリアで、出向先の
某県警の人間とゴタゴタがあって、さらに同じキャリアの友人
が公安の上層部の秘密を握り、しかも鮫島にその内容を渡して
自殺、「やり場」に困った上層部は鮫島を新宿署に転勤させ、
鮫島は署内でも仲間を作らず、単独で捜査にはげみ、いつの
間にか「新宿鮫」と呼ばれ、地元のヤクザも怖気づく刑事に。

鮫島の恋人は10歳以上下の晶。最初のシリーズではアマチュア
バンドのボーカルで、3作目『屍蘭』ではメジャーデビューして
います。

鮫島の大学の同級生で国税庁査察部、通称「マル査」の滝沢は、
新宿近辺で盗品を裏でさばく「故買屋」という商売をやっている
三森という男を探すために、鮫島に頼みます。

三森はホテルのラウンジである男と話をしていて、ラウンジを
出ると、滝沢は三森の後を追い、鮫島は三森と話していた男を
追いますが、その男は鮫島の知り合いと出会い、ちょっと会話
をしてどこかへ消えます。鮫島は知り合い、浜倉を捕まえて、
さっき話していた男をたずねると、男は元警官だというのです。
今は警察を辞めて、新宿で大手の美容サロンの女性社長の恋人
になった、と。

浜倉という男は、会員制の売春のヒモ兼元締めで、女性のひとり
が妊娠して、本人は産みたかったのですが、かけつけた産婦人科
に勝手に中絶させられ、浜倉はその病院に慰謝料を出させようと
しています。

その浜倉が、自宅マンションの玄関先で死んでいるところを発見
されます。血液が凝固する(血栓)が、体じゅうのいたるところ
に出ての突然死。首に軽い切り傷は確認できたものの、それは死因
とは関係がなさそうで、浜倉には癌や白血病、感染症といった持病
は無く、その死因になにか奇妙なものを感じます。

浜倉が行こうとしていた「釜石クリニック」は、新宿にある小さな
病院で、そこの看護婦、ふみ枝が名義で社長をつとめる会社の所有
となっていて、その会社の全株は、「須藤あかねビューティークリ
ニック」が持っています。この美容サロンの経営者は綾香という
女性で、「須藤あかね」とは、綾香のいとこ。
ふみ枝と綾香は親密を通り越して、強力な結びつきがあるような。

そんな「釜石クリニック」に、前に腹痛を訴えて病院に飛び込んで
きた妊婦を本人の許可なしに中絶させたことがあって、その妊婦の
恋人を名乗る男が、病院の敷地内に灯油を撒いて火をつけようとし
ているのをふみ枝は見つけ、酔っ払っているその男と話をするため
に病院内に入れます。
その後、その男は行方をくらませ・・・

消えた男の恋人こそ、浜倉の抱えていた売春婦で、男は逆上して
病院に火をつけてやる、とストーブの灯油を持ってそのまま駆け
出してしまったというのですが、浜倉も死んで、売春婦の恋人も
行方不明、鮫島は「釜石クリニック」に不審を抱きますが、何も
出てきません。

ふみ枝は、新宿署の刑事が病院に来たことを綾香に相談、綾香の
(部下)である光塚は、その名前を聞いて顔色を変えます。
なんとかして鮫島を消さないと・・・
そこで光塚は、ある策を考えます。それは、鮫島の息の根をとめ
させるものだったのですが・・・

スリリングな展開もそうですが、派手やかな眠らない街、新宿とは
対照的な裏暗さ、もの悲しさがあって、物語にぐいぐいと引き付け
られます。

さて、次に読む予定の4作目「無間人形」は、直木賞受賞というこ
とで、今からわくわくしています。

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