晴乗雨読な休日

休日の趣味レベルで晴れの日は自転車に乗ってお出かけ。雨の日は家で読書。

恩田陸 『ユージニア』

2011-05-13 | 日本人作家 あ
自分の中で勝手に「困ったときの恩田陸」という、まあ一見して
意味不明なキーワードがありまして、たとえば本屋さんに行って、
これといって読みたい作品が無かったりして、でも何かしら買って
帰りたいときに、たいてい恩田陸の作品を手にします。

あ、別に否定しているわけではありません。

外れのない、いわゆる「買って損はない」作家というのは稀有でし
て、ズバ抜けて面白いほどハマってはいませんが、気がつくと書棚
には恩田陸作品がけっこう並んでるんですね。

前に読んだ「QアンドA」という作品に似ていて、インタビュー
形式になっています。さらに例えるなら、有吉佐和子の「悪女に
ついて」とトルーマン・カポーティの「冷血」をたして2で割った
とでもいいましょうか。

文中では北陸の古都と紹介されている(石川の金沢市でしょうけど)
街で、代々住民に親しまれまた尊敬されてきたお医者さんの家での
パーティーの日、何者かが運んだ酒やジュースの中に毒物が仕込ん
であり、出席者のほとんどが死亡。生き残ったのは、お手伝いの女性
と、この医院の目が不自由なお嬢さんだけ。

この事件を取材し、のちに本にしたのが、事件当時、近所に住んで
いた、真喜子という、当時大学生の女性でした。

この「忘れられた祝祭」という本は、発売当時センセーショナルを
巻き起こしましたが、真喜子は表に出ることはせず、彼女の文才を
高く評価した出版社の人間も期待していたのですが、これきりで本
は2度と出さないというのです。

真喜子、彼女の大学時代の後輩で、「忘れられた祝祭」の取材のため
助手として同行した男性、医院のお手伝いの女性、真喜子の兄弟、こ
の事件当時、捜査に当たった刑事、病院関係者、などなどの“証言”
をもとに物語は構成されています。

誰が、どういった理由で、こんな陰惨極まる事件を起こしたのか。
当時の捜査で、犯人と思しき男は突き止めるのですが、真犯人は
別にいるのではないか・・・当時捜査に当たっていた刑事は、ドラマ
や映画のような「刑事の勘」なるものをあまり信用してはいなかった
のですが、一目みて「こいつが犯人だ」と分かったのですが・・・

ちゃんと時代を追ってインタビューが構成されているわけではなく、
時系列という意味ではバラバラだなあと感じるのですが、でもその
バラバラ感が“いい味”になってるんですね。


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