晴乗雨読な休日

休日の趣味レベルで晴れの日は自転車に乗ってお出かけ。雨の日は家で読書。

池波正太郎 『仕掛人・藤枝梅安3 梅安最合傘』

2017-01-22 | 日本人作家 あ
この前本屋に行って、藤枝梅安シリーズを買い揃えてきました。
全部で7巻。「人気シリーズ」といわれてる割には7作とは
少なくないかと思いましたが、途中で作者が亡くなったので
どうしようもありません。すみません。

「梅安鰹飯」では、会うのは5年ぶりという引退した元・香具師
の元締が梅安宅におとずれ、義理のある他の元締から「仕掛け」
を頼まれたので、会うだけでもと頼まれます。
その元締に会い、話を聞くと、仕掛ける相手はこれまた別の他の
元締なのですが・・・

「殺気」では、梅安がある料亭で食事をしているところ、見覚え
のある女を見かけます。女中に聞くと、ある菓子舗の主人の後妻
だというのです。その女、梅安がまだ京都で針医者の修行をして
いた十五年前、京都の山で赤ん坊を捨てた女に間違いなく・・・

「梅安流れ星」では、大阪に逃れていた浪人剣客の小杉十郎太が
品川を歩いているのを、梅安の友人でこちらも仕掛け人の彦次郎
が見かけますが、その小杉を侍が尾行しています。彦次郎は尾行者
のあとを追って、家に入るのを見ます。
ところで、彦次郎が品川にいたのは「仕掛け」を頼まれていたか
らで、はじめは断ったのですが、話だけ聞くと、仕掛ける相手は
小杉を尾行していた侍で・・・

表題作「梅安最合傘」は、梅安ひいきの料亭で新築の離れ客間に、
「隠し部屋」を設置したと聞きます。「隠し部屋」とは、怪しい
客が来たときに隠し部屋のついた客間に案内して見張り、例えば
犯罪の計画を立てていたとあればお上に知らせるといったもの。
で、この離れに今まさに客がいると聞いて梅安は隠し部屋に入り
覗き穴から見ると、その侍は、十年前に梅安が道中で殺されそう
になっていたところを助けてくれた「命の恩人」だったのです・・・

「梅安迷い箸」では、梅安が紀伊家の侍を仕掛けます。が、逃げ
ようとしたその時、後ろから物音が。なんと梅安が仕掛けている
ところを宿の女中に見られてしまったのです・・・

「さみだれ梅安」では、小杉十郎太が、また江戸に帰ってきてい
ます。小杉は大坂で、梅安の紹介で白子屋菊右衛門という香具師
の元締の世話になっていたのですが、大坂での暮らしに嫌気がさ
してきたのか、やけになって白子屋からの仕掛けの頼みを引き受
けてしまったのです・・・

梅安は仕掛けをする条件として、この世に生きていては大迷惑
な人としていて、それに関しては依頼を持ってくる香具師の元締
を信頼していますが、それが「あいつは悪だ!」というのも、
片側からの一方的な意見ということもあります。

代表例として、忠臣蔵の吉良上野介は「悪人」とされていますが、
彼の領藩では、名君の誉れたかく、領民からも慕われていたそう
です。

梅安自身が表の生活では庶民から尊敬される針医者で、裏では
暗殺者という2面性を持っていて、このテーマは「鬼平犯科帳」
でも長谷川平蔵がたびたび口にしています。

文庫のあとがきは池波志乃さんが書いていて、これもまた面白い
です。

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