晴乗雨読な休日

休日の趣味レベルで晴れの日は自転車に乗ってお出かけ。雨の日は家で読書。

宇江佐真理 『酔いどれ鳶』

2023-01-05 | 日本人作家 あ

昨年は当ブログの素人書評にお付き合いいただきありがとうございます。今年もお目汚しとは思いますがお付き合いの程を。

さて、宇江佐真理さん。この作品はサブタイトルに「江戸人情短編傑作選」とあり、ストーリーも登場人物もバラバラですが、もちろん江戸と人情という共通点はあります。

長屋に住む元武士の総八郎と(なみ)の夫婦。松前藩の家臣だったのですが、藩は国替えとなり、御役を解かれます。ある日のこと、家に戻った総八郎は大きな鳥を持ってます。それは鳶。じつは総八郎は藩士のとき「鷹部屋席」という藩主が鷹狩りに使う鷹を飼育する役だったのです。なんでも鳶を見かけたらげえげえ吐いていたそうで、なんと植木の肥料の酒粕を食べたというのですが・・・という表題作の「酔いどれ鳶」。

おろく医者(検死医)の美馬正哲は妻のお杏といっしょに植木市にでかけます。そこで盆栽の小さな梅の木を気に入りますが、あれは室に入れて咲かせた梅なので寒さですぐ枯れると教えてもらいがっかりします。そこに見かけた顔が。米屋の手代の美代治で、植木屋の友人に頼まれて店番をしているんだとか。それからしばらくして、その米屋で事件が・・・という「室の梅」。

ある秋の夜、両国広小路の傍で(聞き屋)をしている与平のもとに依田覚之助という江戸詰めの武士が来ます。顔には大きな痣が。姉と弟にも顔に痣があり、なにかと苦労をして育ってきたのですが、そんな覚之助に縁談が・・・という「雑踏」。

幕府小普請組の村松五郎太は学問所の試験になにがなんでも受かるため猛勉強。勉強の合間に字が書けない人のために文を書く(代書)の内職をしているのですが、意味のよくわからない内容の依頼を受けます。それは(浅草の二階家)で名前が(すで吉)と(ふで吉)とあったのですが・・・という「魚族の夜空」。

古道具屋の女房、お鈴は、店に来た姉弟に声をかけると「簪を買ってほしい」と姉が言い、袱紗を開いてみると銀細工でびいどろの上等の品。お鈴はちょうど夕飯の支度をしていて、ふたりにこんにゃくの田楽をごちそうします。あっというまに食べたのでおかわりを取りにに台所に行って店に戻ると姉弟の姿は無く・・・という「びいどろ玉簪」。

幕臣の娘、杉代は小納戸役の村尾仙太郎のもとに嫁ぐ予定でしたが、ときは幕末。仙太郎は杉代の家にやってきて、いきなり縁談の反故を伝えて帰ろうとしますが、それを盗み聞きしていた杉代は急いで追いかけます。すると仙太郎は彰義隊に入ると・・・という「柄杓星」。

読んでて、あれ、この登場人物知ってると思い、あとがき解説を読んで「ああそうだった」とようやく思い出すといった感じで、まあそれだけ過去に宇江佐真理さんの作品をたくさん読んできたのでそりゃ忘れてるのもあるよねドンマイと自分を慰めました。

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