晴乗雨読な休日

休日の趣味レベルで晴れの日は自転車に乗ってお出かけ。雨の日は家で読書。

冲方丁 『天地明察』

2014-03-27 | 日本人作家 あ
だいぶ間をあけてしまいました。前の投稿が3月の10日だったので、
2週間もほったらかしで、そんなに読み終わるまでに時間かかったの、
というわけではありません。その間に4冊読みました。

はい、つまり忘れてたというわけ。すみません。

そんな話はさておき、『天地明察』やっと読みました。

これはもう、最初の1ページから面白いです。デニス・ルヘインの
「ミスティック・リバー」以来ですね。

まず、江戸城に囲碁打ちという役職があった、というところにグッと
つかまれます。トップクラスになると将軍の御前で対局までできる
というんですから驚きです。

ようは重職の碁の相手をする”家庭教師”みたいな存在ですから帯刀
の必要はないのですが、主人公の渋川春海はなぜか二本差し。それも
かなり不慣れな様子。

囲碁打ちでの春海は「安井算哲」という名前があるのに、別名を名乗る
わけとは。

さて、そんな春海ですが、朝早くに駕籠に乗って出かけます。行き先は
神社。その神社は江戸じゅうの算術に覚え在りの人たちが問題を絵馬に
書いて、それを見た誰かが解く、という今で言えば掲示板の役割として
算術好きの間では有名な神社で、そこで春海はある絵馬に書かれた難問
と出会います。

解くのに夢中になり、神社の娘が掃除をしているのにも気付かず、挙句
には刀を神社に置きっぱなしにして帰ろうとします。

刀を忘れたので急いで神社に戻って、さっきの娘に面目ないなんて謝って、
ふと絵馬を見ると、なかなか解けなかった絵馬の問題のところに答えが
書いてあるではありませんか。

娘に聞くと、ついさっき来て、一瞥して答えを書いて去った、というのです。

そう、この男こそ、稀代の算術の天才、関孝和。

関と春海との話はいろいろあるのですが置いといて、江戸城では、老中の
酒井雅楽頭忠清と春海が碁を打ってます。
じつは、春海に帯刀させたのは、この酒井。何を考えてるのか分かりません。

ところで、酒井雅楽頭といえばピンと来た人は時代小説あるいは時代劇の
好きな方ですね。山本周五郎の「樅の木は残った」に出てくる、伊達藩
取り潰しの黒幕。

ある日、酒井から突然、幕府で天体測量チームが結成されるので、そこに
参加してほしい、と言われます。

この当時、日本で使われていた暦には微妙な”ずれ”が生じてきていて、
新しい暦を採用しようという動きがあって、春海はそのプロジェクトの
一員になるのですが・・・

囲碁打ちの家系に生まれ、算術に魅せられて、やがて新暦作成に人生を
費やす、ざっと渋川春海という人物を書くとこのような感じなのですが、
じつに魅力的。

一見すると理系の小説っぽいですが、分かりやすく読みやすいです。

これだけ科学が進歩しても、いまだに星の動きは人間の生活に影響がある
と考えるのは滑稽なのでしょうか。



コメント
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