晴乗雨読な休日

休日の趣味レベルで晴れの日は自転車に乗ってお出かけ。雨の日は家で読書。

三浦綾子 『天北原野』

2011-06-27 | 日本人作家 ま
三浦綾子の作品を読み終えたのはこれで4作目なので
すが、まあその程度しか触れていないので作風だのは
とやかく言えないんでしょうけど、「原罪」がテーマ
となっているようで、たんに面白おかしく登場人物に
辛苦を与えてやろう的なことではなく、宗教的なこと
に起因している、というのは分かります。分かります
が、それにしても一歩間違えれば昼ドラのようにドロ
ドロ愛憎劇になりかねないギリギリのラインで下品に
ならず、かといって上品な“文学”にもせず、よくも
悪くも“中品”で物語の展開を保っているなあ、とい
う印象を持つのです。

北海道の寒村で、大工の娘、貴乃は、小学校の校長の
息子で教師をしている孝介と互いに将来を誓いあった
間でしたが、村の有力者である須田原家の次男、完治
がふたりを引き裂こうと、小学校に放火し、それを
校長の監督責任として、村から追い出し、失意の孝介
は、教師を辞めて、樺太へ渡り一旗あげようとします。
3年間という約束を貴乃は信じて待つのですが、その
間に完治は貴乃を手篭めにし、なんとふたりは夫婦に。

それから10年、恐慌などもあって須田原の家は稚内
へ移住し、そこで大金持ちとなった孝介があらわれる
のです。
すでに完治とのあいだに3人の子どもがいた貴乃は、
しかしどうすることもできずにいますが、孝介は意外
な一言を須田原に申し込むのです。完治の妹のあき子
を嫁に欲しいと・・・

10ねんぶりに再会した孝介の真意とは。貴乃の彼に
対する想いは再燃してしまうのか。

まあそれから、あれでもかこれでもかと貴乃と孝介に
不幸というかまあ理不尽な仕打ちがおとずれます。

正直いいまして、三浦綾子の(文体)は、そんなに
上手とはいえないと思うのです。しかし、気がつくと
物語にぐいぐい引き込まれています。宗教的解釈(
作者はクリスチャン)がどうのという理屈は抜きに
して、あくまで趣味としての読書という範疇において
は強い味方です。

コメント (4)
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