晴乗雨読な休日

休日の趣味レベルで晴れの日は自転車に乗ってお出かけ。雨の日は家で読書。

ジョナサン・ワイナー 『フィンチの嘴』

2011-06-02 | 海外作家 ラ・ワ
この作品は1995年、ピュリッツァー賞を受賞、ダーウィンが
「種の起源」で実証できなかった進化の過程の研究を記した
ものです。

ダーウィンが紹介し、世界的に有名になったガラパゴス島には、
(ダーウィンフィンチ)という、さまざまな嘴の形をもつ鳥が
住み、その嘴の違いは、食べ物の違いによって少しずつ形を変
えているのです。

たとえば、固い種子を食べるために、大型ペンチにように種子
を割りやすくなったり、サボテンの花の蜜を吸うために細くな
ったり、さらに、要因は食べ物だけにとどまらず、気候の変動
にも左右されるというのです。

生物進化学の研究者、グラント夫妻はそれを20年にわたって
調査し、「進化」とは、数百万年、数千万年かけてゆっくりと
変わってゆくものではなく、今現在でも遂げている、というの
は驚きです。つまり進化とは抽象的概念などではなく、“そこ
にあるもの”ということですね。

と、ここまで書くと、なんだか小難しい学書か何かとお思いで
しょうが、本文はとても分り易く、堅苦しさはありません。

しかし、こういった進化系の本を読むと、「強いものが勝つ」
というのは地球の歴史にとってじつに刹那的なものであって、
たとえば地上の生物の“おおもと”にあたる祖先は、もとは
大海原から追いやられて仕方なく川に上って暮らし、そこでも
追いやられて枝や流木が堆積する水辺で暮らし、そのおかげで
枝をかき分けて進むためにヒレが手足のように進化し、酸素が
少ないために肺機能も進化し、そして上陸したので、いってみ
れば“負け組”の種類が最終的には生き残ることになるのです。

本文では、ガラパゴス島の鳥の進化を説明するにとどまらず、
人類の「文明」に対しても警鐘を鳴らしており、考えさせられ
ます。

コメント (2)
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