晴乗雨読な休日

休日の趣味レベルで晴れの日は自転車に乗ってお出かけ。雨の日は家で読書。

宮部みゆき 『スナーク狩り』

2011-03-22 | 日本人作家 ま
宮部みゆきの小説は大好きなのですが、それにしてもこの
『スナーク狩り』というタイトルは…、こんな状況下で
おどろおどろしい内容なのかなあ、と思い、ページ冒頭に
書かれていたのは、この「スナーク」とはルイス・キャロル
の詩なんだそうで。

いきなりはじめから、関沼慶子という女性が、散弾銃を持って
結婚式場に・・・という、おだやかじゃないですね。

慶子は、釣具店へ出向き、釣りのおもりに使う鉛の板を購入。
釣りにあまり興味の無さそうな若い(お嬢さま風の)女性が
鉛の板なんて・・・と訝しがる、釣具店の店員、織口邦男。
同じく店員の修治は、この女性に興味を持ったらしい様子。

邦男は、慶子が散弾銃を持っていることを知り、なんと、その
銃を奪おうとするのです。しかし、修治にはその銃で何をする
つもりかを悟られる恐れが。

慶子は、なぜ昔の恋人の結婚披露宴の式場に銃を持っていくのか。
邦男は、なぜ銃を奪おうとするのか。

だいたい、ここまでが全体の3分の1くらいで書かれていて、
これ以上説明してしまうと、けっこうなネタバレになってしまう
ので書けないというもどかしさ。

邦男は、修治に夜行列車に乗って出かけると「嘘」をついてまで
慶子の銃を奪おうとするのですが、この”夜行列車”というのも
重要なキーワード。邦男は”ある裁判の傍聴”に出かけるのです
が、その裁判とは・・・

各登場人物の過去と現在が、説明過多にならない、かといって
情報が少なすぎもない、というギリギリのラインで描かれていて、
このバランス配分は相変わらずお見事。
コメント
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