2009年6月17日(日経メディカルネット)
厚生労働省は6月5日付の医政局長通知で、地域医療再生計画作成の方針を公表した。この計画は、今年4月に政府が定めた「経済危機対策」の一環として今年度の補正予算で付けられた、「地域医療再生臨時特例交付金」を受けるために必要となるもの。
交付金の額は30億円70地域、100億円10地域の合計3100億円規模。通常の交付金と異なり、単年度でなく複数年にまたがって使えるほか、国庫補助率の規定がないため、地方自治体に予算の余裕がなくても受けられるのが特徴だ。
使用目的について、担当となる厚労省医政局指導課は、「モデル例は示したものの、地域で本当に困っている内容と解決策を挙げてもらい、そこに対して交付金を出していきたい」としており、特にに制限はかけない模様。医療圏単位での医療機能の強化の目的ならば、建築物、大学への寄附講座、医療秘書の雇用、職員の退職引当金など何に対しても充当できる。
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「このままでは優秀な日本の医療が崩壊してしまう」というメッセージを我々医療者が発し続けて数年経ちましたが、やっと医療崩壊という言葉がマスコミにも日常的に取り上げられ、このように行政にも医療再生のための特別予算が計上されるようになってきました。日常診療においても「我々も休みがなければ身体が持ちません」という話しを患者さんにも違和感なく理解してもらえるようになったと感じます。
このような予算が付く事は勿論良い事であると思うのですが、では「これで本当に地域医療が再生されるのか」というと?の部分があります。それは医療崩壊の原因を分析究明した上での対策ではないからです。
地域に限らず現在危惧される医療崩壊の原因は「安い給料でリスクの高い医療を行う勤務医が不足している」ことであることは前々から指摘してきました。勤務環境が悪い大学病院に若い医師が入局せず、大学病院や基幹病院の勤務医が「立ち去り型サボタージュ」で次々に開業し、勤務医が減少したことで地方に出向していた大学からの医師達が引き揚げて地域医療が崩壊したのです。また都市部では救急医療を含む今までの医療水準を維持することが人手不足のためにできなくなってきました。そこに「日本の病院の9割が赤字」という診療報酬の引き下げによる医療費抑制政策が重なり、病院職員の拡充や機能の向上が不可能になることで医療崩壊に一層拍車がかかったのです。
勤務医達が立ち去り型サボタージュを起こした原因は、「医療を行った結果が悪ければ犯罪者」という出鱈目な医療への司法の介入が起こったからで、「開業医に比べて給料が安くても最新の医療を行うことで日本の医療を世界一に保つ」という自負と誇りに支えられて頑張ってきたことが世の中から否定されたことが最大の原因です。おまけに自分の給料は変わらないのに常に病院の経営を考えさせられて馬車馬の如く働くことを強要され、「そんなに経営について考えさせられるのならば開業して自分のために働いた方が良い」と勤務医達が考えるようになったからです。
地域医療を含む日本の医療崩壊を防ぐ方途は「病院が赤字にならないようにすること」と「司法の医療への介入を止め、勤務医をおだてること」の2点です。病院が赤字にならないようにするには「まっとうな病院」の診療報酬点数を現在の一点10円から15円に引き上げればよいだけのことです。また2点目については医療バッシングをマスコミ主導で行ったことと逆のことをマスコミ主導ですればよいのです。司法は世論に弱く世論の反発を買ってまで医療に介入はしないでしょう。また勤務医はエリート意識が強くて純粋な人が多いので「おだて」たり「感謝」したりすれば「簡単に木に登る」ものです。
すでにこの3100億円のおこぼれに預ろうと一部の病院や機関では取らぬ狸の皮算用を始めています。それはそれで有効に使って地域医療を魅力のあるものにしてゆけば人材が育ってゆくことになると思われますが、やはり根本問題を解決しなければ真の改善に結びつかないと思われます。
厚生労働省は6月5日付の医政局長通知で、地域医療再生計画作成の方針を公表した。この計画は、今年4月に政府が定めた「経済危機対策」の一環として今年度の補正予算で付けられた、「地域医療再生臨時特例交付金」を受けるために必要となるもの。
交付金の額は30億円70地域、100億円10地域の合計3100億円規模。通常の交付金と異なり、単年度でなく複数年にまたがって使えるほか、国庫補助率の規定がないため、地方自治体に予算の余裕がなくても受けられるのが特徴だ。
使用目的について、担当となる厚労省医政局指導課は、「モデル例は示したものの、地域で本当に困っている内容と解決策を挙げてもらい、そこに対して交付金を出していきたい」としており、特にに制限はかけない模様。医療圏単位での医療機能の強化の目的ならば、建築物、大学への寄附講座、医療秘書の雇用、職員の退職引当金など何に対しても充当できる。
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「このままでは優秀な日本の医療が崩壊してしまう」というメッセージを我々医療者が発し続けて数年経ちましたが、やっと医療崩壊という言葉がマスコミにも日常的に取り上げられ、このように行政にも医療再生のための特別予算が計上されるようになってきました。日常診療においても「我々も休みがなければ身体が持ちません」という話しを患者さんにも違和感なく理解してもらえるようになったと感じます。
このような予算が付く事は勿論良い事であると思うのですが、では「これで本当に地域医療が再生されるのか」というと?の部分があります。それは医療崩壊の原因を分析究明した上での対策ではないからです。
地域に限らず現在危惧される医療崩壊の原因は「安い給料でリスクの高い医療を行う勤務医が不足している」ことであることは前々から指摘してきました。勤務環境が悪い大学病院に若い医師が入局せず、大学病院や基幹病院の勤務医が「立ち去り型サボタージュ」で次々に開業し、勤務医が減少したことで地方に出向していた大学からの医師達が引き揚げて地域医療が崩壊したのです。また都市部では救急医療を含む今までの医療水準を維持することが人手不足のためにできなくなってきました。そこに「日本の病院の9割が赤字」という診療報酬の引き下げによる医療費抑制政策が重なり、病院職員の拡充や機能の向上が不可能になることで医療崩壊に一層拍車がかかったのです。
勤務医達が立ち去り型サボタージュを起こした原因は、「医療を行った結果が悪ければ犯罪者」という出鱈目な医療への司法の介入が起こったからで、「開業医に比べて給料が安くても最新の医療を行うことで日本の医療を世界一に保つ」という自負と誇りに支えられて頑張ってきたことが世の中から否定されたことが最大の原因です。おまけに自分の給料は変わらないのに常に病院の経営を考えさせられて馬車馬の如く働くことを強要され、「そんなに経営について考えさせられるのならば開業して自分のために働いた方が良い」と勤務医達が考えるようになったからです。
地域医療を含む日本の医療崩壊を防ぐ方途は「病院が赤字にならないようにすること」と「司法の医療への介入を止め、勤務医をおだてること」の2点です。病院が赤字にならないようにするには「まっとうな病院」の診療報酬点数を現在の一点10円から15円に引き上げればよいだけのことです。また2点目については医療バッシングをマスコミ主導で行ったことと逆のことをマスコミ主導ですればよいのです。司法は世論に弱く世論の反発を買ってまで医療に介入はしないでしょう。また勤務医はエリート意識が強くて純粋な人が多いので「おだて」たり「感謝」したりすれば「簡単に木に登る」ものです。
すでにこの3100億円のおこぼれに預ろうと一部の病院や機関では取らぬ狸の皮算用を始めています。それはそれで有効に使って地域医療を魅力のあるものにしてゆけば人材が育ってゆくことになると思われますが、やはり根本問題を解決しなければ真の改善に結びつかないと思われます。
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