rakitarouのきままな日常

人間様の虐待で小猫の時に隻眼になったrakitarouの名を借りて政治・医療・歴史その他人間界のもやもやを語ります。

2018大河ドラマ「せごどん」の「大欠点」と「一寸だけ良い所」

2018-07-30 21:43:26 | その他

日曜夜8時といえば、小中学生時代はNHKの大河ドラマと決まっていました。1970年代の事でしょうか。当時は日本史に詳しくないながらも、「樅の木は残った」、「天と地と」といったいまだに名作と言われる大河ドラマがあり、印象に強く残っています。しかし大人になってからはとんと見なくなりました。長丁場のドラマを毎週見れる身分でなくなった事もありますが、あまり面白いと感じなくなった事も大きい原因です。

 

ところが昨年ひょんなことから「女城主直虎」の第一回目を見たら「面白い」と感じてしまい、毎週楽しみに見るようになりました。昨年の「直虎」は期待を裏切らず、最終回まで次はどうなることかとワクワクしながら見る事ができました。家康や信長との確執など、歴史の新しい解釈(こういうのも有りかな)が楽しく、また今まで光が当たらなかった今川氏真などの人物像を描いた所も新鮮でした。

 

新しい大河の姿を見せた直虎    途中退場なのに存在感抜群だった小野政次  したたかに生き抜いた姿が新鮮な今川氏真

次の年は明治150年を記念して「西郷隆盛」の生涯か、と非常に期待して今年の大河が始まるのを待っておりました。しかし・・今年の大河は「大外れ」であります。まず人物がつまらない、ストーリーにワクワクしない、画面に工夫がない。今年の大河のダメ出しについてはいろいろな所で語られていますので、詳細は省きますが、一番の欠点だけ指摘しておきます。

 

「主要な人物の生き方のバックボーンを描かない事」

今年の西郷は「皆から愛される西郷」を描く、と脚本家が述べたということですが、西郷隆盛は自身の損得や出世よりも「天に向かって恥じない生き方」を常にしてきたと思います。江戸の街をわざと荒らしたり悪い事もかなりやりました。しかしそれは他国に侵略されない新日本を作るという島津成彬の理想を実現しようとする過程における手段として行って来た。そのような「天に向かって恥じない」所こそ皆が愛した理由だとして描くならば見応えがあるのですが、毎回「表面的な良い人ぶり」「民のため」とか「戦争は否」とかそのような台詞で皆に愛されるという描き方では全く説得力がありません。底知れない悪い事もするけどよく見て行くと「天に恥じない生き方」が通奏低音として見えてくる、といった描き方こそが1年を通じてドラマを作る大河の醍醐味でしょうに。このドラマは複雑な幕末の薩長・幕府・朝廷の事情や考え方、事件を殆ど説明することなく、適当に西郷の周辺に起こった事だけを繋いでドラマが進んでゆくので、幕末とは、明治維新とは、といった中身は自身で勉強するか、時代背景は考えず無視するかしないとさっぱり理解できない造りです。おまけに「侍」というものの魂を全く無視しているので簡単に仲間内で刀を抜いたり、上の者に刀を向けたりします。そして役中の善玉悪玉の区別が小学生並みに明らかすぎる。遠山の金さんや水戸黄門でももう少し丁寧な造りをするのではないかと残念に思います。

 

この銅像も薩長史観に基づく

一寸良い所

最近は新しく見つかった資料を元に史上語られて来た薩長主観による明治維新の見直しがなされて来ています。勝てば官軍で薩長によって新しい斬新な思想の明治政府が作られた。征韓論に敗れた西郷は不満分子に祭り上げられるようにして西南戦争を起こして死んだ。そこで古い体制が終焉して帝国日本が築かれて行った。とされていますが、実際の明治政府はグダグダであったし、幕府の方に私利私欲に捉われない優れた頭脳の知識人が多数存在していた。西郷は征韓論には反対であり、西南戦争も政府を諌めに旅立った西郷をかねて用意周到準備を整えていた政府軍が一方的に成敗した、というのが本当の姿だったようです。このドラマの良い所は、わずかですが端はしにこの新しい解釈を入れている所です。第一回目冒頭の上野の西郷さんの銅像除幕式で3番目の妻「いと」が「あの人はこんな人ではない!」と叫ぶ場面から始まるのですが、このストーリーは本当のようで、「犬をつれてウサギを追っている暇人」ではなく、「常に軍服に身を固めて天に恥じず生き、背筋を伸ばし天下のために生きた人」だというのが「いと」にとっての西郷だったということです。しかし明治新政府にとってはその西郷を銅像にすることは不可であった(実際に軍服姿のものから作り替えたそうです)。その西郷の真の姿が1年のドラマで見られるかと期待したのですが、大外れだから残念至極なのです。


コメント (16)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« So whatだけど素晴らしい | トップ | グレゴリー・ペック主演の映... »
最新の画像もっと見る

16 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
記事違いをお許し下さい (河太郎)
2018-08-22 03:45:09
不愉快な詐欺警告が出ない記事が、試行錯誤してここだけでしたのでコメントをお許し頂きたいのです。
先ずは、音楽の欄で御嬢様の件で書きました、
甥との水泳勝負です。
完敗でした。最初から引き離され、決着した時に200㍍以上、引き離されてました。
情容赦なく(笑)、意地で奴がゴールしてからも
200を泳ぎ続けました。
甥は黙って見ていたようですが、甥の嫁さんの
シンガポール華橋娘が逆上しました(笑)
「自分を親族で唯一、大事にしてくれた叔父様にやることか!」と。嬉しいです。
血肉が繋がらないのに私を身内と感じてくれるのだろうか?と。
しかし言いました。下手な英語と漢文で。
河太郎意訳「これは彼と私との男の話である。貴女が私を親族として想うてくれるのは嬉しい。親族の反対を押して貴女との結婚に賛成したのは成功でした。
しかし男同士の勝負に口を挟まないで下さい」
甥は言いました。
「体力自慢だった叔父さんは、ここで死んだと想ってくれ!
自分のお金で人に迷惑をかけないでブラブラしている。それは認める。
でも、もう、次を始めて良いのではないか?
心臓のカテーテル手術したといえ、1000㍍泳いだ。もう充分に鍛え治したはずだよね?
そろそろ復帰すべき時期でないですか?
叔父さんが何をしようと俺は味方する。けれども、もう頭を切り替えて欲しい。失恋は忘れて欲しい」
実は私はあるキリスト教異端の宗派のシスターと付き合い、宗派の教義が合わずにわかれてます。同年齢で孫まで生まれた女性ですが美しく賢明な女性でした。
でも、とっくに振り切れてるんですが(笑)
キリスト教に疑問を感じて神道に帰依していますし、信じられない信仰の為にミャンマーまで布教に行くほど暇人ではないし。
甥は勘違いるのですが嬉しかった(笑)
色々とあるのですが、甥には感謝です。
男は半端な同情よりも!徹底的にぶちのめされた方がサッパリする時があります。それは医学や自衛隊以前に剣道をなさっていた先生には御理解頂けないかな?と思います。
自分が死にむけて坂を下ってるのを認識しました。別に悪い事ではない。
rakitarou先生ですら、いつか気力と体力が追い付かない時にメスを納めると仰ってます。
実はこの2ヶ月あまり、投資サイトを経営する
者の資金で、チャンドラ・ボースの独立軍資金の埋蔵金を追ってるのですが、ドローンを飛ばして廃道を辿るうちに夕陽を見まして、衝撃を受けたのです。ただ夕陽を見ただけなのですが、不思議なもので……シンプルに美しいものに出会うと、人は素直になるらしい。
財宝ロマンに引き付けられて若者とドローンを飛ばして、山中を薮を漕いで歩くうち、その財宝を日本軍OBが盗んだのでなく、どうも英国に独立資金を渡さず、インド独立連盟に引き渡す為に隠したらしい事が解ってきました。
祖国が敗北し、自分達が餓える時に、正当な所有権者の為にOSSやGHQから隠そうとした(勿論、英国に渡さない為に)祖国の軍人達の想いは如何に……そんな時に美しい夕陽を観て撃たれました。シンプルに美しいものは人を素直にします。素直に。
海岸で若い恋人たちと熟年夫婦の姿を見ましたが、あーそうかい!でした。
女性は魔物で、ふと素顔になった相手を観察してるんだなと。でもです、男と言う性の脇の甘さは他として、大自然は人を(一瞬でも)素直にする力がある。だから熟年でも若者でも女は夕陽の美しい場所に行きたがるのでしょう(笑)
私は彼らとは関係なく、自分が死に向かい下り坂を下ってるのを認識しました。
人は最後は死ぬ。その下り坂を感じる時がある。でも、先生がメスを手放しても、それでも
先生は終わらないですよね?
それは能力に違いがあっても俺も同じ。
埋蔵金探しという生臭い(しかも資金元は投資のサイト主です(笑)ものに接しながら、これからどう生きるか考えました。
甥に手加減なく負けたのは良い機会だと思います。とことんブチのめされるのは、本気で次を考える事に繋がりますから。
なんか散漫なコメントですみません。
うまく言えなくて靴下ソウヨウなのですが、
甥に徹底的に負けて、その後で埋蔵金探しで
巨大な夕陽を観たのは、自分は晩年を生きてる。そこで何をして過ごすのか…考える契機になりました。負けて良かったと思ってます。
あの夕陽を観て素直になれましたから。
論理的な文章でなくすみません。
返信する
自然体が良いと思います (rakitarou)
2018-08-22 07:48:07
河太郎さん、こんにちは。
コメントとウイルスの件は気がつきませんでした。私のパソコンがMacだからかも知れませんが。最近訪問者の方が多いのですが、そういった事と関係があるのかも知れません。
人間である以上「こうありたい」とあがく事は私もありますし、その気力もなくなったら終わりだろうと思いますが、「こうあれかし」という想いの通りにならなくてもそれを受け入れることがまた「自然体」なのかなあ、と思っています。
返信する
今回は記事のお話です (河太郎)
2018-08-28 01:38:01
先生の評価は正しい!
一つに制作費を圧縮する為でしょうが、薩英戦争などをカットするやり方なので、幕末維新回転の肝がさっぱり解りません。
そもそも攘夷だった側が、開国の幕府を倒した…その転換は何故なのか?という日本人なら当然に考える疑問が全く理解不能!
もっと深刻なのは、明治を開いた人達の、計算の大きさが全く解らない。
西郷どんは、倒幕の為に江戸周辺でのテロ活動を実行していたテロリストなんですね。
勝海舟は江戸城無血開城を画策しながら、拒まれた時には江戸周辺の農地まで焼き払い、東海道を進撃してくる官軍を艦砲射撃する計算を、
無血開場の裏に持っていた。
そんなにシンプルでないんですよ!
ある意味で悪魔的だった!
ドラマに登場する人切りの桐野秋明がたまたま捕虜になって、幕末の剣豪でありながら、生涯に一人も斬らなかった山岡鉄舟と組んで、官軍の中を往来し、勝・西郷の会談つまり江戸城無血開城になる訳ですね。
彼らは単純ではない!
こうしたキャラクターの造形の緩さが、歴史物としての魅力を奪っています。私は脚本家よりも、原作者の林真理子氏の甘さと思います。
それは坂本龍馬の描きをみても解ります。
俳優の責任でなく、でも唯のチンピラでないですか?いつから「仁義なき戦い」になった?
坂本が薩長同盟を作る契機となったのは、
彼がロジスティクスと資本集めに長けた男だったからです。
軍事行動を取るには、資金を集め、大量の物質や兵器、弾薬、食糧を動かす存在が必要です。
それは懐に莫大な利益を集めるという黒歴史な側面がありますが。
そういう暗黒面を無視して作り過ぎるのです。
このネット社会で、そうした裏を無視してドラマを作るのは無理です!
一言で原作者の彫り込みが浅すぎる!
だからNHKが登用したのかも知れませんが。
国営放送としてのNHKの立場は解るのですが、
そんな安逸な立場に浸りたいのならば、
水戸黄門のパテントを買い取り、再放映していれば良いのではないでしょうか?
返信する
一言だけ訂正します (河太郎)
2018-08-28 03:01:52
桐野は利秋でした。人斬り半次郎ですね。
返信する
どこで終わる? (rakitarou)
2018-08-28 08:32:32
このドラマ後半の山場に近づいてやっと薩長同盟です。西南戦争が終わって明治維新・西郷が完結するという評価が多い中で、西郷の生涯をどこまで描く予定なのか、大政奉還?江戸無血開城?かなり中途半端な展開になりそうです(私が心配してもしょうがないですが)。
返信する
Unknown (Unknown)
2018-09-09 21:08:57
若者の7割が大学進学する時代で、小中学校の歴史の内容では視聴率は落ちます。高校の日本史でないと。個人的には、嘉吉の乱とか高島炭鉱事件とかが好きだけど。
返信する
近代日本史を複視眼的に種々の見方で描く (rakitarou)
2018-09-10 13:25:00
私は高校世界史だったので余り深く学ばなかったのですが、近代日本史を様々な見方で「どの立場の人もそれなりに熟慮して理由があってこうなった」といった感じに描いた作品ができれば見応えがありそうですね。
返信する
さすがに酷すぎませんか (河太郎)
2018-09-10 19:15:33
rakitarou様
ご無沙汰しております。
昨夜、実家にて家族と観たのですが、製作者側があまりに不理解なのに唖然としました。
本当に時代考証をしているのか怪しいです。
先ず昨夜、勝海舟が長州に赴き藩主の面前で交渉するシーンがあるのですが、
将軍がお隠れになったので、戦争を休戦したいと申す勝に、兵士らが激昂して銃口を向けるのですよ。
ヤクザの手打ちでもあり得ません!
主君の目の前で命令なくして使者へ銃を向けるなどあり得ませんし、なによりも彼らは近代軍隊の訓練を受けている武士です。
近代軍隊の訓練を受けた兵士は、上官の命令なくして銃口を向ける事はありません!
勝手に個人の感情で銃を向けていたら、部隊としての統制は取れません。軍事行動が政治の延長である以上、この種の規律は訓練で徹底的に仕込まれるものです。これは自衛隊という近代軍隊で兵士であったわたしから見れば「当たり前」の事です。
長州の侍は山賊と同じなのか?
指揮官は兵士を止めもしないですし。
バイキングじゃあるまいし。
根本的に軍事力や軍隊と言うものが解ってない。その程度に統制されない集団や、指揮官が
維新を成功させられるはずもない。
軍隊と山賊の区別がついてない?

フランス大使に貴君とか貴殿を尊称する将軍に対して、大使がファーストネームで呼ぶ。
あり得ない!
個人的な宴ならともかく、英国もフランスも国家や国王の代理人として参上しており、公式な会談の場で、相手国の国家元首に対してファーストネームはあり得ない!
そもそもアヘン戦争が起きたのだって、通商の許可を取りに清朝皇帝に面談した全権大使が、
三願九掏の、頭を床につける返礼を要求された事に始まります。
英国大使は英国王の代理人ですから、土下座するのは英国王への侮辱を容認する事になる。
これが国会に報告され、「野蛮人」と議員に見なされた事が、アヘン戦争のトリガーになっています。
フランス政府の全権大使が知らぬ訳はなく、
密談といえ、政府の看板を背負った会談で、相手国の国家元首を尊称抜きで呼ぶなどあり得ません!
他にも多々あるのですが、ここまで感情的な連中が維新など起こせる訳がない!
正直、「歴史もの」を作る常識や基本的な常識がないとしか思えません!
ファンタジーの世界ならばいざ知らず、やめて欲しいものです。
NHKの大河ドラマも終わりましたね。
返信する
本当にふざけるな!です。 (河太郎)
2018-09-10 19:40:17
かつて災害出動でサヨク系の記者らに、税金泥棒!と呼ばれた事があります。
私は若かったのでブチ切れて列から出て殴ろうとしました。瞬間、取り押さえられました。
その為に班長も、いや三尉殿も親父殿(先任陸曹)まで始末書を書かせる事になりました!
これが近代国家の軍隊です!
どんなに逆上しようと、上官の命なくして腕力を振るってはならない!!
近代的な軍隊に変じようと努力する集団で、まして藩主の前に警備する精鋭が、使者に逆上して銃口を向けるなど。あり得ません!
左翼だらけのNHKが、自衛隊を侮辱する為にプロパガンダした映像としか思えません!
本当に本当に本当に腹が立ちます!
返信する
あまりもう真剣に見てないので (rakitarou)
2018-09-10 23:02:06
内容が酷すぎてあまり真剣に見ていないので腹も立たなくなりました。武士も軍隊もさらに命の取り合いという「戦」という物さえまともに考えて理解して脚本を作っていないのでしょう。医療系のドラマを手がけていた売れっ子脚本家のようですが、私は見てませんが医療というものの真剣さや厳しさなど理解せずにかっこよさだけで描いていた薄っぺらいドラマだったのだろうと想像します。
返信する

コメントを投稿

その他」カテゴリの最新記事