ICMはウクライナの模型会社で、Mini-artとかMasterboxといったユニークなプラモデルを製造するウクライナの模型メーカーの中ではオーソドックスな部類に属します。政変後はどのような活動か不明ですが、製造はICM、販売はイタレリというイタリアの模型メーカーが行っていて、これは大分前に購入したものです。
せっかくなのでエンジンルームが見える様にカバーを開けました。
I-16は小型機ながら700-900馬力のエンジンを搭載してスピード、上昇力などは1930年代中場としては優れていましたが、ずんぐりした形を見ても解る様に扱いが困難で錐揉みからの回復など難しく、また武装も新型の戦闘機には劣るためにMigやラボーチキンなどに次第に取って代わられました。それでも8,000機以上が生産され、20mm機関砲や対空ロケットを装備して爆撃機などへの迎撃を果敢に試みた記録も多く、ドイツ軍を悩ませたようです。飛行特性などを比較的忠実に再現したフライトシミュレーター(IL-2とか)では、性能が上のメッサーシュミットとは勝負にならないのですが、ユンカース87や88などの爆撃機を撃墜することは可能で、それなりに楽しめます。Polikalpovの製造した航空機で、一つ前のI-15は複葉機で戦闘爆撃機であり、上翼を胴体から出して引き込み脚とした改良型の3(tar)はI-153として、その後空飛ぶ重戦車と言われたIL-2(イリューシン2型)の登場まで陸上戦の援護のため多用されました。
20年くらい前に作ったI-153と並べてみました。 実機で飛行中のI-153とI-16
ICMのI-16は1/72縮尺ながら、見えないエンジン内までも精密に再現されていて組み合わせも比較的良好な模型です。しかしカウリング中央のプロペラシャフトの穴がなかったり(1-1.5mmドリルで開ければ済みますが)、昇降舵が可動する不要な機能のために水平尾翼との合わせが悪かったりと凝った所とポカが同居している模型でした。しかし全体としては楽しみながら作れて、良く出来た奇麗なモデルと思いました。
毎度に「どこから先生はこういうプラモを見つけてこられるのだろう?」と不思議に思います。
ところで質問。
ドイツ軍機とロケット弾で迎撃したとの記述です。
1930年代でですか?
同時に追尾式の誘導弾が存在したのですか?
私は朝鮮戦争が最初かと想うてました。有線式ならば対戦車ロケット弾が私の在隊時代にも存在しましたが、空中で有線はないでしょうから、赤外線追尾式ですよね?
ロケットは初速がライフルと違い0ですから、狙ってから撃ったら追尾式でないと当たらないかと。しかし30年代に……
いや、確かに……魚雷ならば東欧出身の(交流式モーターを発明した)ニコラ・テスラが第一次大戦前夜に誘導式発明をしている。米軍に採用されませんでしたけど。
テスラはセルビア系クロアチア人で、東欧をあちこち留学していますし、1930年代の活劇パルプ雑誌のヒーローもの(「ドック・サヴェッジ」=チームを組むバットマンみたいの。科学者がチーム組んでマフィアやナチスと闘う)には赤外線追尾装置や暗視装置が出てきますから、科学・工学に詳しい作家には、実用化可能な技術と見られていたのは(戦間期の時点で)間違いないのですが……まさか大戦中に実用化されていたとは知りませんでした。驚きです!!
ロシアのロケット弾はカチューシャが有名ですが、1930年代からRS−82(wikiにも載っているようです)と言われる航空機搭載用のロケットがあり、多様されたようです。但し誘導弾でなく「飛ばしっぱなし」なのでそう当たる物ではない。しかしIL-2などが対地用に使用した場合はかなり有効でドイツ軍を苦しめたようです(フライトシミュレーターでの経験ですが)。