rakitarouのきままな日常

人間様の虐待で小猫の時に隻眼になったrakitarouの名を借りて政治・医療・歴史その他人間界のもやもやを語ります。

日本は高い値で薬を買わされている事実

2010-05-10 19:14:00 | 医療
医療保険制度の根本見直しに向けた意見書提出へ-がん医療費を考えるフォーラム(医療介護CBニュース) - goo ニュース

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がんの治療薬として最近注目を浴びている「分子標的薬」と呼ばれる癌細胞の成長因子や増殖を補助する因子を阻害することで癌の成長を抑える薬剤があります。一錠数千円するため内服薬でも一日2-3万円かかる場合があります。いままで効果のある抗がん剤がなかった腎癌などにも使われていて、実際私の患者さんも1年以上進行が抑えられている良好な例もあります。このような薬剤は一ヶ月100万円近い医療費がかかり、保健診療であるため当然「高額医療」の給付対象になります。また高額医療の限度額までは患者さんが自費で負担せねばならないからそれなりに毎月数万単位での出費が必要になります。

先日泌尿器科学会の総会が盛岡であり、そこでアジア各国における分子標的剤の使用状況について口演があったのですが、数種類ある分子標的薬がことごとく韓国、台湾では日本の約半額(ドルベース)で売られていることが示されました。会場から何故日本では同じ薬剤が他国の倍の値段で売られているのか質問が出たのですが、口演した台湾の医師は「日本の事は解らないが、台湾では政府が韓国よりも高い値段でアメリカから薬を購入することはしない。」と断言していたのが印象的でした。要は日本は米国から「言い値」で薬を買わされているということなのでしょう。

これ実は薬品だけでなく、カテーテルを始めとする医療材料やCTなどの医療機器全てにおいて日本はアメリカ本国や他国に比べて明らかに割高な価格設定でものを買わされているんですね。価格設定においては、自動車など日本の米国に対する貿易黒字を減らすために割高な医療機材を輸入するという政治的配慮もあったのでしょうし、厚労省など関係官庁の技官がへたれで米国人とtough negotiationが全くできないこともあったかも知れません。しかしそれならば総枠が規定されている医療費にその分を上乗せした政府補助なりがなければ、割高な物を使わざるを得ない結果としての全てのしわ寄せが患者と医療者にかかってきてしまいます。このニュースではそのような切り口の評論がありませんが、厳然たる事実として高度な医療が必要になるほど医療費も高騰するのですから今後もこのような政治的配慮を続けるのかといった議論が当然起こってくるべきだと思います。マスコミは少なくとも国民には日本が割高な医療機材を買わされている事実くらいは知らせるべきでしょう。
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