Mizuno on Marketing

あるマーケティング研究者の思考と行動

お奨め Kindle マーケ本

2013-02-15 08:54:57 | Weblog
Kindle Paperwhite 購入後,すぐに買ったのが以下の3冊だ。いずれもページ数はそう多くなく,100~200円程度の低価格。どれもマーケティング関係者には面白い内容で,電子書籍がどういうものか体験するのを兼ねて読むことをお奨めしたい(スマホでも十分読めます)。

最初の本は,日本において定性調査やクチコミマーケティングの草分け手存在であるドゥ・ハウスを率いる稲垣佳伸氏の著書。タイトルが示唆するように,消費者が語ったことを真に受けているのでは誤った意思決定をしてしまう。そのために同社が実践する工夫が紹介される。

消費者の意見を聞いてはいけない。
稲垣佳伸

1つ興味深かったのは,消費者やその接点にいる営業からネガティブな声を募ることに著者が否定的なことだ。それよりは,ポジティブな声を集めるほうが,新しい発想につながるという。これは社内の打ち合わせでも同じであると。この指摘には,目から鱗が落ちた。

次の本は,先ほどの本とタイトルが似ている。冒頭の「日本メーカーがAppleに負けっ放しの理由」という記事で,まさにタイトル通りの教訓が得られている。「自動車はできるのに、家電はなぜできないか?」という記事にも,まさにその通り!という気持ちになる。

素人の顧客の意見は聞くな 永江一石のITマーケティング日記
永江一石
プチ・レトル

著者の永江一石氏はウェブマーケティング分野で活躍するコンサルタントで,本書は氏のブログ記事をまとめたもの。視点や語り口が面白いので,以前からよく読んでいる。本書は全体にウェブ・マーケティングの話題が中心で,しばしば常識を覆す見方が提示される。

最後の本は少し異色かもしれない。アフィリエイトで儲けようとした著者の努力の軌跡が紹介されている。ここ数年,アフィリエイト広告を研究してきた者として大変参考になる。しかし,ある程度成功したにもかかわらず,著者は結局アフィリエイトを止めている。

アフィリエイトは儲からないからやめなさい
ブラッキー 原田

アフィリエイトには持続性があるのだろうか・・・。このブログもamazonのアソシエイト・プログラムに入っており,どなたかが上で紹介した Kindle 本を買えば,1冊数円の報酬になる。あり得ないことだが百人買っても百円ちょい。それでも続けているのはなぜだろう?

最後に全体の感想を一言。前出の稲垣氏がいうように、何百ページも費やさないで十分メッセージが伝えられる本はけっこう多い。そこで,これらの本のように非常にコンパクトなサイズで,数百円で買える電子本が「新書」の代替品として次々出版されるのを歓迎したい。