ぼくは卒論に取り組むゼミの4年生に,本書を読むよう強く薦めている。卒論なんてレポートの延長,何とかなる,そのためにわざわざ一冊本を読むなんて・・・と考える学生がいたとしたら,それは違う!と声を大にしていいたい。
著者の戸田山氏がいうように,論文の書き方については多くの本が出版されている。しかし,それらの多くが,悲しいことに現代の学生の実態からはかけ離れている。多くの学生が読み通せないだろうと容易に予想できる。
だが,本書は違う。まずは騙されたと思って書店で手にとってほしい。そして,はしがきに加えて第1章の数ページをざっと目で追ってほしい。そして,お,これなら読めるかも,と思った学生はぜひ数日間集中して読んでほしい。
*追記)品切れ中ですが新版が8月末に出る予定!
本書では,小論文の課題を与えられた学生が,教師と対話しながらアウトラインを作り,論文を作成していく。例として出された典型的なダメ論文が少しずつ改善されていくのを見ることで,論文作成プロセスを疑似体験できる。
しかも本書には「ギャグ」が随所に登場する。それに爆笑するか苦笑するかは別にして,退屈させないための工夫になっている。覚えておくと便利な tips とともに,著者の専門である論理学の基礎もしっかり学びたい。
斜め読みで有用な情報だけを仕入れる,という読み方でも読まないよりはましである。問題は,とりあえず読み始めたものの,結局読み通せなかった学生だろう。いかに読みやすく書かれているといっても,一定のハードルはある。
何かを発見し,それを論理的に述べるという営みは,当人に喜びとともにそれなりの労苦を与える。後者があまりに大きいと感じる学生は,結局のところ論文を書く能力と意欲を欠く。卒論という課題に挑むことには無理がある。
その意味で,本書を読み通せるか,一定程度理解できるかを見ることで,卒論に挑む資質の有無を判断するという手もある。では,資質がないことが分かったらどうすればいいか・・・それは大問題なので別の機会に論じることに(汗)。
最後に蛇足ながら,論文書きの専門家を自称する大学教員もぜひ読んだほうがいい。少なくともぼく自身は,読みながら深く反省した箇所がいくつもあった(それが当ブログに反映されているかって?ブログは論文ではない!)。
著者の戸田山氏がいうように,論文の書き方については多くの本が出版されている。しかし,それらの多くが,悲しいことに現代の学生の実態からはかけ離れている。多くの学生が読み通せないだろうと容易に予想できる。
だが,本書は違う。まずは騙されたと思って書店で手にとってほしい。そして,はしがきに加えて第1章の数ページをざっと目で追ってほしい。そして,お,これなら読めるかも,と思った学生はぜひ数日間集中して読んでほしい。
![]() | 論文の教室 ―レポートから卒論まで (NHKブックス) |
戸田山和久 | |
日本放送出版協会 |
本書では,小論文の課題を与えられた学生が,教師と対話しながらアウトラインを作り,論文を作成していく。例として出された典型的なダメ論文が少しずつ改善されていくのを見ることで,論文作成プロセスを疑似体験できる。
しかも本書には「ギャグ」が随所に登場する。それに爆笑するか苦笑するかは別にして,退屈させないための工夫になっている。覚えておくと便利な tips とともに,著者の専門である論理学の基礎もしっかり学びたい。
斜め読みで有用な情報だけを仕入れる,という読み方でも読まないよりはましである。問題は,とりあえず読み始めたものの,結局読み通せなかった学生だろう。いかに読みやすく書かれているといっても,一定のハードルはある。
何かを発見し,それを論理的に述べるという営みは,当人に喜びとともにそれなりの労苦を与える。後者があまりに大きいと感じる学生は,結局のところ論文を書く能力と意欲を欠く。卒論という課題に挑むことには無理がある。
その意味で,本書を読み通せるか,一定程度理解できるかを見ることで,卒論に挑む資質の有無を判断するという手もある。では,資質がないことが分かったらどうすればいいか・・・それは大問題なので別の機会に論じることに(汗)。
最後に蛇足ながら,論文書きの専門家を自称する大学教員もぜひ読んだほうがいい。少なくともぼく自身は,読みながら深く反省した箇所がいくつもあった(それが当ブログに反映されているかって?ブログは論文ではない!)。