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Mizuno on Marketing

あるマーケティング研究者の思考と行動

ボケないための政治脳

2011-01-10 23:36:16 | Weblog
私の人生の最大の目標は「絶対ボケない」です

・・・というのは半分ネタで,半分本気。実際は防ぎようがないことなのかもしれないが,できればそうなりたくない。家族の名前を思い出せない(晩年の父親がそうだった・・・)ぐらいなら可愛いが,被害妄想を抱いて罵詈雑言を口にしたり,排泄物を壁に塗ったりすることだけは絶対したくない。何とか防ぎようはないのだろうか?

絶対ボケない生活 (健康人新書)
フレディ松川
廣済堂出版

この本の著者は高齢者医療の現場で,痴呆症の実態を山ほど見てこられた。その経験によれば「ボケは防げる」という。朗報である。ボケやすい職業があるという。大学の教員はどうか?年をとっても本を読んだり,講義したりしていればボケないのでは?・・・と思ってページをめくると,どうもそうではないらしい。がっかりである。

著者によれば,一見頭を使っているようで,実は定型的なパタンに陥っていると,ボケは防げない(年をとっても,つねに講義内容を改善すべきなのだ)。ボケにくい職業として著者が挙げるのは営業,あるいは政治家である。要するに人づき合い,あるいは権謀策術が重要なのだ。同じ意味で,つねに恋愛しているのがいいらしい。

そういえば,人間の脳が発達したのは,人間関係における政治的思考のせいである,という話を聞いたことがある。マキャベリ的知性とかいうらしい。最近,WIRED VISION に出ていた次の記事は,まさにそうした仮説に基づいている:
ソーシャルネットと「脳の大きさ」は関連

研究では、成人58名を対象に、彼らの社会的ネットワークを2つの要素によって評価した。第1の要素はネットワークの大きさで、これは単純にその被験者が定期的に連絡を取っている人数の多さによって評価された。第2の要素はネットワークの複雑さだ。こちらは、被験者の知人がどれだけ多くの異なるグループに分けられるかで評価された。
・・・
線形回帰を用いて評価した結果、扁桃体の大きさは、社会的ネットワークの大きさおよび複雑さと、正の相関関係にあることが明らかになった。
なぜ脳の他の部位ではなく「扁桃体」なのかがよくわからない(原論文を読めばいいのかもしれないが・・・)。それはともかく,記事の結びが面白い:
今回の研究は、ヒトにおける扁桃体の体積と社会的ネットワークとの相関関係を初めて証明した論文の1つだ。因果関係が明らかになったらさらに興味深い――味方や敵を増やすにつれて、その人の扁桃体は大きくなっていくのだろうか。それとも、大きな扁桃体を持って生まれた人は、それゆえに大きな社会的ネットワークを構築するのだろうか。
もしかしたら,年老いても生臭く,政治的に行動していると
扁桃体は成長し続けるのかもしれない(それが痴呆とどう関係するかは全くわからないが・・・)。にしても,ボケないために政治的人間になるなんて,ボケとは違う意味で若い人に迷惑をかけそうだ。だったら,恋愛のほうがいいな,オレはそれでいくよ・・・ なんてうそぶいてみるのも何かなあ・・・