Mizuno on Marketing

あるマーケティング研究者の思考と行動

SNSが衰退する日

2007-01-17 23:04:12 | Weblog
昨年9月に大前研一氏が書いた「地デジよりSNSに注目する広告業界」という記事の最後のほうに,面白い一文を発見した。それによると,SNSは今後10年以内に,かつてのパソコン通信のフォーラムと同じ運命を辿るという。その理由として彼が挙げるのは,(1) この手のものは盛り上がったあと,いずれ別の手段に代替される,(2) 広告ビジネスが絡んでくると運営が難しくなる,(3) 現在SNSを支えている20代は,10年後には余裕がなくなる・・・である。

10年とはまた随分気の長い話である。2,3年後だって何が起きても不思議ではない。それはともかく,大前氏の挙げる(1)の理由はかなり「ある」と思う。ポストSNSとして何が出てくるか・・・いまならSecond Lifeを挙げる人が多いだろうけど,正直ぼくにはわからない。いろいろな芽が,すでにあちこちに現れているに違いない。

個人的なことをいうと,一応2つのSNSに入っているが,リンクしている友人はごくわずかで,増やす努力もしていない。どうもぼくのリアル世界の友人は,この種の世界を敬遠しているように思える・・・というよりも,ぼくが友人を「一堂に会する」ことを敬遠しているといったほうが正直かな。リアル世界の友人・知人とSNSのリンク先の共通集合がどれだけあるかが,その人の「対人一貫性」を示す指標かもしれない。オレは臆病なのか,ずるいのか・・・。

大前氏の予言に戻ろう。共通の関心や価値観を基盤とするコミュニティは,地縁・血縁に基づくコミュニティや,存続が至上命題である企業・役所のような組織に比べ,どうしたって寿命が短いはず。だが本当にそうなのか,なぜ,いつ衰退に向かうかについて,すでにいろいろ研究があって然るべき。だが,それほどでもないなら「いつか」自分でやってみたいと思う(またまた研究テーマ候補の追加・・・)。

コミュニティの栄枯盛衰は「単純な」複雑系モデルで記述できるかもしれない。それぞれのリズムやサイクルで生きている諸個人がシンクロしたとき,盛り上がりが生じる。だが,ちょっとした偶然で逆のメカニズムが廻り始めると,集団が急速に解体していく。こうした現象を,あたかも神のようにマクロに眺めるのは「楽しい」だろうけど,当事者としてミクロに目撃するのは,辛い。