Mizuno on Marketing

あるマーケティング研究者の思考と行動

50歳からの「夢」

2007-01-07 15:51:48 | Weblog
本屋で思わず「プレジデント・フィフティプラス」なる雑誌を買った。「プレジデント」の別冊なのだが,50歳以上の男性をターゲットに,セカンドステージの人生設計に焦点を当てている。「夢」の値段,という特集では,50~65歳のビジネスマン38人を取り上げ,60歳以降の生活にどんなビジョンを持ち,その予算がいくらかを紹介している。他人事のように眺めていたが,実は自分にも50代はすぐそこに迫っている。

この雑誌から伝わってくるのは,50代とは,60代からの第2の人生(セカンドライフというと,最近では別の意味になるが…)に向けた準備期間だという考え方だ。家族への責任を果たした上での,最後の自己実現の機会ともいえる。ただ,そのような考え方は,子どもを持たない夫婦や独身者が増えていくと,だんだん希薄になるかもしれない。

ぼく自身,60代から新たな生活が始まるとか,いまはそれに備えて頑張ろうとか,ほとんど考えていない。40代という「中途半端な」年齢で企業から大学に移り,「講師」というこれまた中途半端な職位にあるせいだろう。老いがひたひたと歩み寄っていることを感じつつ,職場(あるいは学界)では「若手」の気分でいる。だが,それは幻想であって,正しくない戦略のように思えてきた。

親しくしている研究者の大半は30代だ。彼らとぼくの決定的な違いは,残された時間の違いにある。あと何年働けるかわからないが,それが30代のときに比べ圧倒的に短いことだけは確かだ。ということは,まずは基礎を固めてからとか,好機が訪れるのを待とうなどと考えて迂回戦術をとっていると,結局ゲームオーバーになってしまうおそれがある。

実は,この雑誌と一緒に買ったのが『イキガミ』第3巻。これは国民の0.1%が,18~24歳に死亡するよう国家によってプログラムされるという「荒唐無稽」かつシリアスな劇画である。死の24時間前に死亡予告書=逝き紙(イキガミ)が届く。それをもらった若者が,残された時間をどう生きるかが,毎回の主題である。あと24時間というのはあまりにキツいが,24ヶ月であればどうだろう・・・あるいは24四半期(=6年)では・・・。