ぴか の観劇(芸術鑑賞)日記

宝塚から始まった観劇人生。ミュージカル、ストレートプレイ、歌舞伎、映画やTVドラマ等も書きます。

07/11/25 顔見世大歌舞伎千穐楽夜の部①「宮島のだんまり」「三人吉三巴白浪」

2007-11-27 00:24:45 | 観劇

写真を新しい携帯で撮影してみた。千穐楽の幕のかかった歌舞伎座の正面。酒樽も見える。我ながら今ひとつの写りで残念(T-T)おいおい慣れていきたい。
【宮島のだんまり】
初めて観るがかなり華やかなものらしく興味しんしんの演目。筋書によると昔は顔見世興行でその年の座組みの顔ぶれを紹介するものとして独立して演じられたという。“歌舞伎美人”で「だんまり」の紹介あり
今回の「宮島のだんまり」は、宮島の厳島神社を背景に、傾城役の浮舟太夫、捌き役の畠山重忠、立役の大江広元、公卿悪の平清盛らの各役柄が勢揃いして事件の鍵となる重宝を暗闇の中で無言で探り合い、美しい絵面の見得を極めてみせるもののようだ。中でも傾城浮舟太夫が実は盗賊袈裟太郎ということで立女形が実は男だったというぶっかえりの上で傾城六方を踏んで幕外で引っ込むという見せ場があり、福助がこれをやるのは五世歌右衛門がつとめたことがあるということに因んでいるらしい。この間に読んだ本などで五世歌右衛門のイメージを膨らませていたので、尚更に期待も膨らむ。

主な配役は以下の通り。
傾城浮舟太夫実は盗賊袈裟太郎:福助
畠山庄司重忠:錦之助 大江広元:歌昇
白拍子祗王:高麗蔵 相模五郎:松江
浪越采女之助:亀寿 息女照姫:芝のぶ
御守殿おたき:歌江 河津三郎:桂三
浅野弾正:彌十郎 悪七兵衛景清:團蔵
典侍の局:萬次郎 平相国清盛:歌六

イヤホンガイドの助けも借りて、豪華キャストが華やかな衣裳で舞台に並ぶのを楽しむ。昔の見物衆には「ご存知!」という役柄を御馴染みの拵えで並ぶので盛り上がったのだろうと想像。まだ私には「息女照姫」なども誰の息女よというくらいのものだが、それでもかなり楽しかった。
傾城浮舟太夫が天紅の文を読んでいたのを重宝の文書だろうと重忠や広元が詰め寄るが、言い逃れして逃げる逃げる。
立師は芝喜松というが、こんなに大人数で変化をつけた動きを振付けるというのはさすがだと思う。やはりベテランの経験が生きているのだと納得。
舞台では清盛が赤い台の上でそこを中心に絵面引っ張りの見得!
定式幕が引かれると席を立つ人もいるが、福助が盗賊袈裟太郎の拵えになって花道スッポンから登場。菊百日の鬘に飾り簪を何本もさし、傾城の履く高い草履を履き、しかし素網をのぞかせながら裾には化粧回しのような四天も着込んで男か女かわからない不思議に傾いた姿!!
これが福助に似合う!傾城の時よりメイクもぐっと力強くしている。お歯黒の歯をグワッとみせてグロテスクなのだが美しいという耽美の極みだ!!

3階2列目からは花道の引っ込みはあまり見えないが、力者との立ち回りをしながら花道から舞台まで戻ったりもするので、「また見えた~」と喜んでしまう。
ちゃんと草履は脱いで素足で傾城六方を踏んでダダンダンダンと花道を引っ込んで行った(さすがにあの草履では心配だったからホッとした)。
最初の方で大薩摩節の演奏もあったのが派手でいい。昔は台に足を乗せて弾く三味線の人は着流しだったらしいが、脛の毛の濃い人がいて袴を履いて隠したら以後はそちらが定着したらしい。足に自信のある人にまた着流しでやってもらいたいというのはオタク度が高すぎるだろうか(^^ゞ

【三人吉三巴白浪 大川端庚申塚の場】
コクーン歌舞伎「三人吉三」の記事はこちら
歌舞伎版は今回が初めてだが、若手花形役者による「大川端庚申塚の場」だけなので気楽に観て打ち出されるための演目だろう。主な配役は以下の通り。
お嬢吉三:孝太郎 夜鷹おとせ:宗之助
お坊吉三:染五郎 和尚吉三:松緑

初日あたりはかなり台詞回しがあやしいという感想があちこちのブログにあったが、さすがに千穐楽。「月は朧に白魚の」以下のお嬢吉三の名台詞を孝太郎がちゃんと聞かせてくれた。それにしても孝太郎の男声は初めてでなかなか可愛いと思ってしまった。染五郎のお坊吉三の台詞回しはなんとか聞けるというレベル。黙阿弥の七五調の台詞をもっと安定的に聞かせてくれる声が欲しい。やはり声が不安定なのが染五郎に物足りないところ。そういった点では松緑の和尚吉三は安定している。ただ、あんまり兄貴分という貫禄を感じないのはやはり台詞・しぐさとも余裕がないせいだと思う。こうしてみるとコクーン歌舞伎の福助・橋之助・勘三郎はやはり上手かったなぁとしみじみ思ってしまった。
宗之助の夜鷹おとせは可愛くてよかったが、少し健康的すぎる感じ。もう少し儚い感じが出るといいと思った。

これを観たら、歌舞伎でも通し上演が観たくなった。

11/18昼の部①「種蒔三番叟」「素襖落」
11/18昼の部②初めて泣けた「吃又」
11/18昼の部③仁左衛門の「御所五郎蔵」
11/25千穐楽夜の部②「山科閑居」
11/25千穐楽夜の部③菊五郎の「土蜘」


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2 コメント

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イイゾ!成駒屋! (かしまし娘)
2007-11-27 15:29:12
ぴかちゅう様、まいど!
”だんまり好き”にはたまらない~。待ち焦がれてました~♪
しかも、福ちゃんで♪。こりゃまっちゃ、福助好きにはたまらな~い♪
花道でカブリついて観たかった。

いぶし銀!中堅!若手!入り乱れ! て、オメメはキョロキョロ。
誰にズームインしていいのやら。嬉しい悲鳴を上げました。

もうこれ錦絵だからさ、 クルクルっと巻いて、家に持って帰って、ゆっくりでっかい床の間で(そんなもん無いけど)
ビァ~っと広げて、楽しみたい一幕で~す♪
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★かしまし娘さま (ぴかちゅう)
2007-11-28 23:32:44

「宮島のだんまり」初めて観ました。豪華キャストが並んで眼福眼福の絵巻なんですね。
そして福助の傾城姿も後半の盗賊姿の袈裟太郎も2倍おいしかったです。
そして傾城六方の引っ込み前のニヤァの見得がよかった~!本で五世歌右衛門のイメージを膨らませていたので、そういう路線で突き進んでもらいたいと勝手に思ってしまいました。
(注)かしまし娘さんの記事は名前をクリックすると読んでいただけますのでご紹介m(_ _)m
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