ぴか の観劇(芸術鑑賞)日記

宝塚から始まった観劇人生。ミュージカル、ストレートプレイ、歌舞伎、映画やTVドラマ等も書きます。

07/08/15 医者に怒られた(T-T)

2007-08-15 23:59:39 | つれづれなるままに

娘からうつされた風邪ですっかり喉が痛くなって咳が少し出始めた。身体も痛い感じがある。日曜日も月曜日の夜もいつもより早く横になるのだが寝つけないし、寝付いても暑くなって細切れに起きてしまう。熱帯夜がうらめしい。
エアコンの運転音でも眠れないので、部屋を冷やしてからエアコンを切って寝るのだが、どんどん室温が上がると我慢できなくなってエアコンのスイッチオン。冷えたらまた寝るの繰り返し。
ついに水曜日の朝起きての体調を見て医者に行こうと決断。お盆なので喘息でかかりつけの医者がやっていなかったら、娘を連れて行こうと思っていた病院に行くことにした。
そして朝起きるとやっぱり風邪が悪化。電話をしたらかかりつけの方がやっているのでそちらへ行った。

胸の音もけっこうあると言われてしまい、自分でも驚く。医者が喘息の吸入薬の処方の話を始めるのでまだあると答えると怒られた。喘息の吸入薬は予防薬なので症状がない時期もやめてはいけないと言う。ダルくなると言うと飲み薬ならそうなるが、吸入薬でダルさが出るわけがないとのこと。花粉の時期だけ使ってそうでない時は使いたくないと答えたが、正直なところは面倒くさいのと吸入薬は高いので使いたくないのだ。
喘息は一生治らないのだから悪くしないように治療しているので、ちゃんと予防の吸入薬を使っていれば風邪くらいではこんなに悪くならないのだと怒られた。
勝手にやめると気管支の壁が硬くなってしまい、拡がらないといけない時に拡がらなくなってしまうと気管支の模型を使って説明された。かなりの迫力で言われたのでさすがの私もタジタジ。

だったらこういう説明をもっと早くして欲しかったと反論したい思いもあったが、気勢をそがれた。
今回は残りがあるので風邪薬といつもの点鼻薬と睡眠導入剤を処方してもらった。薬局で払った薬代は約2000円。喘息の薬の時はいつも6000円くらいになるのだ。それにクリニックでも支払っているから、毎月8500円もかかるのはけっこう痛い。喘息の医療費補助も以前すすめられたことがあるが、医者は重篤な患者しか申請できないというのであきらめたのだ。そうなったら症状がなければ薬を使わないというのは普通の行動だと思うのだが......。
気管支の壁が硬くなるという説明までされたらもう少し真面目に吸入しないといけないかなぁと思った。でももっと相性のいい医者が近くにいて欲しいのだが......。

07/08/12 USAから帰省の友を囲んでミニミニ同窓会

2007-08-13 23:58:26 | つれづれなるままに

7/1の集まりの第2弾!USAに住んでいるメンバーの帰省の帰省に合わせて、母校のある街での開催となった。8/12(日)15時浦和駅西口改札集合。

昨年のカラオケ会が楽しかったという情報が事後に一斉メーノレでかけめぐったため、お子様リクエストも根強く、前半はカラオケ2時間コースに!
娘が会員になっているカラオケU-STYLE浦和店を会員番号で予約を入れておいてあった。お盆で順番待ちの人もいつもより多めで予約を入れておいて正解!ここがいいのはソフトドリンクとソフトクリームがフリーということ。歌っていない間はこんどは何を飲もうかなぁと楽しめる。ホットスープからカプチーノ、コールドドリンクまだ多種類なのが嬉しい。
母娘3組+差し入れ持って前半だけ参加の先輩の7人集結!本日カラオケデビューの小学5年生から最年長がうちの娘まで。お嬢様たちの歌う今時の歌から英語に強いお母さんたちの英語の歌、私は阿久悠さんを偲んで「勝手にしやがれ」「ねらいうち」なども。「オペラ座の怪人」もうちの母娘でやらせていただいたm(_ _)m

「もっと歌いたい」という声もありながら次の予約のレストランへ。ここでメンバーが一部入れ替わって、後半のみ参加者が加わる。もう1組の母娘(生徒会本部役員仲間じゃないけどUSAメンバーと)と役員メンバー3人合流で11人に!!小部屋貸切状態となった。
浦和ワシントンホテル2階の自然食ビュッフェさんばしへ。
2時間のバイキング。写真のようにトレイに自分の好きなものを持ってくる。お嬢様たちは好き嫌いも強い世代でこれなら文句なし。私はピーマンの丸焼き(皿の左上のところに濃い緑でゴロンと写っている)が一番美味しいと思ったが、サイトを見たらやはりご自慢メニューのようだ。飲みたい人だけ飲んで飲まない人はソフトドリンクはフリー。これで一人2600円ならば子連れでもリーズナブル!!

大人たちはまたまた話に花が咲く。障害者福祉法人で役員もつとめるメンバーも久しぶりに参加してくれたので自立支援法改正運動の話題も含めて福祉の話題は重要。ジェンダー問題も引き続き盛り上がり、先ごろの参議院選挙の結果からこれからの政局への問題意識、地元埼玉県知事選の話やらいろいろと社会派としては楽しい話の盛り上がり。今回の選挙で同窓の先輩(後輩だそうです。お詫び訂正しますm(_ _)m)が地方の選挙区で自民党を破って当選したという情報も得た。まだまだ政界進出者は少ない。
なぜかメンバーの子どもは圧倒的に女の子が多いので、女性に不利益な社会の壁をどうしたらいいかという話も多い。もちろん今の自分たちの状況も踏まえての話だからリアルなのだ。
一方、お嬢様たちはお絵かきやらゲーム機やらそれなりの共通の遊びをやっているのであった。

とっても濃い内容のミニ同窓会だった。またこういう場が持てる日が楽しみだ。私も定年後はいろいろ地域で勉強会やら何やらやりたいという思いを強くした。えっ?定年後というツッコミもいただいたのだが、うーん、今はまだ精神的な余裕がないのだよ~(^^ゞ

散会したらまたまた厳しい現実が待っていた。というか、家を出る時に発覚したのだが、娘の自転車のサドルが盗まれていて使えなくなっていて、娘に自転車を譲って私は早歩きしたのだ。帰りもまた私が歩くというわけだ。うちのお嬢様は「風邪をひいているのに、お母さんの友達の集まりに付き合ってあげたからいたわられるのが当然」というわけである。カラオケの最中は元気だったじゃないか!また勿論かかったお金は全部私もちだ。ハイハイ、お付き合いいただき有難うm(_ _)mでもこういう友達づきあいっていいなぁって思ってくれないかなぁなどと考えてしまうのが私のエゴである。

帰宅して『家庭の医学』に目を通した娘は「気管支炎になってるかもしれないから医者に明日連れて行って」という。お盆真っ最中じゃないか~。月曜日に朝から病院に電話をかけて救急車騒ぎをして通院実績のある病院だとやっていることが判明。付き添うならまた私だけ長距離の歩きなのを覚悟したのに、今度は起きられないと寝ぼけている。せっかく半休したが時間が勿体ない。まずは自転車を直しに行くことに急遽変更。お盆だけれど娘のバイト先だったところには自転車コーナーもあって簡単な修理もOKなのだ。サドルのない自転車を立ちこぎして行ったが、朝から大汗ものだった。そして昼に間に合うように出勤。こういう生活はいつまで続く~?!余裕のなさの最大要因はココにあり(T-T)

心なしか風邪をうつされたような嫌な感じ~。同席した皆さんにもお願いしたが、私もビタミン剤をたっぷり飲んだ。いつもよりは早く寝るんだけど、熱帯夜のために何度か途中で起きてしまって眠りが浅い。地球温暖化に悩まされる日々だ。




      

07/07/27 夏休み親子のための狂言の会②「附子」「菌」

2007-08-12 14:25:33 | 観劇

夏休み親子のための狂言の会の狂言3本立てで狂言デビュー。
前半の記事①「二人袴」はこちら
夏休み親子のための会ということで親子づれがあふれている。平日ということもあり母親に連れられた子どもたちばかり。孫を連れてきた高齢のご夫婦や、子どもを連れたお母さんとその親という3世代で来ているというグループも。それにしても観客層が真面目そうな方が多いように感じる。着物は少ない。歌舞伎座よりも国立劇場の歌舞伎公演に近い?国立劇場の平日の歌舞伎の観客は高齢率が高く、歌舞伎座よりも硬い感じ。そのお子さんと孫たちの世代??女の子も姉妹で同じ布のワンピースなどの夏服を着て連れてきている母娘も多い。やっぱり能・狂言の観客層ってこういう感じかと思ってしまった。
狂言面の体験コーナーがあって、親が子どもに「つけてみなさいよ」と声をかけて子どもたちがこわごわと手を出しているのをスタッフが手伝っている。私もしっかり「武悪」の面をつけてスタッフさんに携帯で撮影してもらってしまった。

【附子(ぶす)】(和泉流)
あらすじ
主人が留守番を言いつけた太郎冠者と次郎冠者に、桶の中に「附子」という猛毒が入っているから近づいてはならぬと言いおいて出かけていく。すると太郎冠者が桶の中を見てみようと言い出し、次郎冠者に扇であおがせながら桶の中をのぞく。ついには食べてしまうが、それは砂糖だった。主人が砂糖をふたりに食べさせまいとついた嘘だとわかり、二人で皆食べてしまう。
食べて落ち着いてみると、さてどう主人に言い逃れるかと頭を捻り、太郎冠者が言うままに次郎冠者は掛軸を破り、天目茶碗を打ち割る。主人が帰宅すると二人揃って泣きまね。太郎冠者は言い募る。留守中に居眠りをせぬように相撲をとるうちに勢い余ってそれらを壊してしまい、主人の大切な品を損なったお詫びに死のうと附子を食べたがまだ死ねないとの言い訳。主人は怒りを抑えられず、逃げる二人を追う。
配役は以下の通り。
シテ/太郎冠者:野村万禄 アド/主人:野村萬
アド/次郎冠者:野村万蔵
和泉流の若手のふたりが13:00と16:00の部で入れ替わる。桶を奪い合って食べる場面で一人がうまそうに食べていると下の桶をもうひとりが自分の方に動かしてしまうというのを繰り返した上で、最後には桶とその蓋に半分ずつわけて食べつくすとう演じ方。写真でよく見る桶にふたりがたかって食べるというような演じ方でなかったので、これも流派によっていろいろあるのかと推測。
娘の教科書には載っていたというが、私の教科書は「柿山伏」だった。「柿山伏」よりも「附子」の方が面白い。ブスという読み方を気にして教科書に載せなかったのかしら。

【菌(くさびら)】(大蔵流)
あらすじ家の中に大きなきのこ(菌)がはびこって困った男が山伏に祈祷で退治を頼む。山伏は祈祷を始めると最初は効果があったようにみえたが、すぐにきのこたちの勢いに負け、どんどん増えるきのこたち。増長したきのこたちは山伏や男に悪戯をしかける。山伏も頼りにならず二人は逃げ出す。
配役は以下の通り。
シテ/山伏:山本則孝 アド/何某:山本東次郎
アド/次郎冠者:野村万蔵
立衆/菌:山本則重、則秀、凛太郎、ほか8人
山本東次郎が2005年のNHKの「能・狂言入門」の解説者だったので馴染みがあって、それで今回の観劇を決めた。役が役だけにけっこう元気がないように見えてしまったが。山伏に祈祷を頼んできてもらうあたりでところが仕事帰りだし3演目は緊張が途中で途切れて途中で意識がとんでしまった。隣の方にのぞきこまれてハッと気がついた。確かに最前列だからなぁ(^^ゞ

菌たちの扮装は面をつけて笠をかぶって腰を落としてすり足で動き回る。男の面は大人がつけ、女の面は子どもがつけているのか、体格に差がある。女面の菌は可愛いが、にじり口からどんどん人数が増えていくとやはり不気味。
菌たちにも山本東次郎家の若手が揃って出ている。
この「夏休み親子のための狂言の会」とは主だった流派が顔ぶれを揃えて出演するあなどれない企画なんじゃないかとあらためて思ってしまった。これは毎年チェックだ!!

本当は8/11土曜日の「能楽公演」にも心が動いたのだが、通院日になってしまったのであきらめた。毎年セットでチェックすることにしよう。

07/07/27 夏休み親子のための狂言の会①「二人袴」

2007-08-11 23:59:10 | 観劇

夏休み狂言の会の情報をさちぎくさんのブログで教えていただいて、気軽に狂言デビューをすることにした。7/27金曜日だがフレックスで早上がりして国立能楽堂へ。

あぜくら会の会員割引もあるし、チケットセンターに電話したら脇正面1列目がとれた。ただ、柱に近いのでやはり見えない部分もあり、残っているのも納得した。

国立能楽堂に「紅天女」でお能デビューした時にはなかった「字幕表示機」が入っていたのも楽しみにしていった。日本で初めてのパーソナルタイプの字幕システムということで話題になっていた。最前列の字幕は前の椅子の背ではなく、肘掛の中に「手持ち字幕表示機」が入っていた。それを出して膝の上に置いて見ることになっていた。そして今回は親子のための会だったので、台詞をそのままではなく、おおざっぱに現代語訳した文章が表示された。画面のコントラストもけっこうよかった。機械があったかくなってしまうのが夏だけにちょっと困った。冬は逆にいいかもしれないが(笑)椅子の後ろだとどうだろうか?その体験はまた次回以降。

お子様向きのプログラムにお金を出すのも読むところが少ないので、会場内の書籍売り場で『狂言ハンドブック(三省堂)』を買って、帰りの電車で観た演目のところをしっかり読んだ。

今回は狂言3本立て。そのうちの1本目をまず書こう。
狂言(大蔵流)【二人袴(ふたりばかま)】
あらすじ
聟が挨拶に来そうだというある最上吉日。舅は聟を迎えるために太郎冠者その用意を申し付ける。聟の家では父親が息子に舅に挨拶に行くように言うが、恥ずかしいからできないと言うので、父についてきてもらう。一人で挨拶の予定だったので正装の袴は1つしか持って来ていない。妻の実家の門前まで着て息子に袴をつけるように言うが袴のつけ方を知らないという。ようやく身に付けさせ、挨拶にいかせる。父は門前で待っていることになるが、付いてきた供は家来だと言えと言い含めて行かせると…。なんと太郎冠者が婿の父の顔を知っていた。太郎冠者がそのことを舅に知らせてしまう。婿が父に知らせに出て父が袴を履いて挨拶に伺う。ところが舅は婿がその父と揃わないと杯事はならぬと言う。いよいよ困った二人は袴を取り合ううちに袴の縫い目がさけて前後の2枚に!その片身をそれぞれが前掛け丈につけて後ろを見せないように振舞うことで急場をしのごうとする父と息子。
舅は杯事の後で祝に舞いを所望する。後ろを見られないように苦心惨憺。4人での連れ舞も所望され、舞っているうちに太郎冠者にふたりの事態を気づかれてしまい、面目をなくした父と息子は逃げ出してしまう。舅はそんなことは気にしないでくれと後を追っていき、皆退場。

配役は以下の通り。
シテ/婿:茂山茂 アド/父:茂山千五郎
アド/舅:丸石やすし アド/太郎冠者:茂山千之丞
TVで京都大蔵流の茂山家のドキュメンタリーをやっていたのを途中から見て、観劇仲間のおひとりにビデオも借りてしっかり見たので茂山家の皆さんとは少し馴染みがある気がしていた。今回はしっかり確認もしていなかったので直前に配役を調べてびっくりした。えっ?ご当主自ら次男さんと共演なのね?!

やはり千五郎が立派。あまり息子のできの悪さに嘆きあきれながらも放っておけないという人間味あふれる父親像に引き込まれる。そのあまりにも精神的に幼いまま身体だけ大人になってしまっている息子を茂が好演。実の親子だけに雰囲気もぴったり!婿入り(=挨拶にいくこと)を承知させるために欲しいものを買ってやるからという父とそれに喜んで弁慶(武者だったかな?)の人形を買ってくれという息子の「この親にしてこの子あり」という芝居がありそうでありそうで共感を持った笑いがこぼれてしまう。袴も長袴なので初めてつけた息子がこけそうになりながらも歩いていく様を心配そうに見送るのにもほだされる。
舅が父の挨拶も所望したと戻ってきて交替する時のドタバタも可笑しかったが、二人揃ってと言われた時にはまず自分が正装をと、息子を二の次にしようとする本性が出てしまうところも可笑しい。(それで取り合う末に袴がさけるのだが、流派によっては知恵をめぐらしてわざと割くという演出もあるらしい。)とにかく、この人間の本性が思わず出てしまうというような場面がすごい。
二人揃ってまともな袴でないところがバレないようにする工夫も笑えた。とにかく、この3本立て、いきなりの大笑劇だった。

ドキュメンタリー番組で、千作と名乗って千五郎の名を譲った父の偉業のプレッシャーを乗り越えて茂山千五郎家の当主となった姿を見ていただけに、今回の舞台を観ることができてとても感動。確かご贔屓の会では住んでいる地名を踏まえて「今出川(だったと思う)のジュリー」と呼ばれているそうな。白のスーツが決まっていた!元祖ジュリー贔屓としてもこれは応援しなくてはいけない。
千五郎親子の狂言で狂言デビューができた私はすごく幸運だったと思えるスタートとなった!!

写真は会のおみやげの団扇。終演後、出口で手渡された。絵:ヤマグチタカシと名が入っていたが、チラシやプログラムにも同氏のイラストがあってなかなか可愛かった。
②「附子」「菌」に続く

07/08/10 スポーツクラブ、チケットGETいろいろ...

2007-08-10 23:58:57 | つれづれなるままに

7/30に地元のスポーツクラブにデビュー(「ボディー・ひぃーリング」としてすでにご報告済み)。
「ボディーヒーリング」のクラスがけっこう気に入って実はもう3回通っている。8/4に女性のコーチ(こう呼ぶらしい)で1回、8/8に一回目と同じ男性コーチに1回。それぞれスタジオと体育館でのプログラムだった。
8/8は娘も一緒に行ってオリエンテーションから私もつきあった。今回のスタッフは娘にどんな目的で通うのかと聞いて「ダイエット」と答えたのを機に有料の「減量プログラム」をすすめにかかる。マンツーマンで週回マシンジムとカウンセリングでダイエット食品と込みで5万円コースだ。とにかく娘は言われるままに無料体験だけでもと申し込んだが、同席していた私は「本人はいま無職だから無理だし、私もお金出しませんから」と釘を刺しておいた。後で娘は「ああいうことまで言わなくていいの。無料で一回受ければいいんだから」とか言っていた。まぁねぇ、未成年だしもし押し切られて契約しても無効って主張すればいいと思いつつも、なんかちょっと嫌だったのだ。

それはおいておこう。私が気に入った可愛いお兄さんのコーチは娘はあまり好みのタイプではなかったらしい。オリエンテーションスタッフのお兄さんの方が好みらしい(だから危ないのだ!)。2回目の女性コーチよりも身体の動かし方の指示の仕方がわかりやすいので思いっきりストレッチできるのも有難い。そういうことでよけいに気に入っているというのもある。

そしてそして娘のその後。直後は「身体を動かして気持ちよかった。高校の体育の時間以来だ~」と満足していたのだが......。私よりも重症の筋肉痛に襲われていた。2~3日身体を動かすたびに痛いと引きこもり生活の中でもよけいにゴロゴロしている(笑)その上、一緒に「パイレーツ・オブ・カリビアン」を観に行った友人に風邪をうつされてきて喉が痛い、咳が出てきたと大騒ぎだった。

私の方が毎日仕事で出かけている分、身体を動かしていたわけだ。「いくら若いといってもゴロゴロしているアンタには勝つね」と娘に負けを認めさせた。(うわっ、レベルの低い闘いだ(^^ゞ)

そんなこんなで気をとられていたら、忘れた!歌舞伎座の9月の前売日だった。観劇のお仲間のひとりからチケットGETの携帯メールがきてようやく思い出した(感謝!)。あわててウェブ松竹でチケットをとった。夜の部は千穐楽の3階2列目をなんとかとった。「阿古屋」は苦手の楽器演奏が楽しめなければ元も子もないので、玉三郎のDVDを買って予習するつもりでいたのでなんということだ。9月は文楽も二部の方が千穐楽をとれたので少し気がゆるんでしまったようだ。

それと8月の観劇予定の記事にできれば観たいと書いておいた「妻をめとらば-晶子と鉄幹-」を15日に観ることができることになった。おけぴさんのチケット譲渡サイトで譲っていただくことができたのだ(感謝!)。20日が千穐楽で全席売り切れ状態なので本当に嬉しい。

スポーツクラブがお盆休みに入る前に、日曜日も昼間のヨガのクラスに初めて行ってこようかなぁなどと悪ノリ状態?!そんなこんなの状況で感想アップも滞り気味だが、ボチボチ書いていきまするm(_ _)m

07/08/06 「ネパール音楽の夕べとシニアボランティア報告会」

2007-08-08 23:58:27 | 音楽

昨年、職場の先輩がJICAのシニア海外ボランティアになるために早期退職され、10月からネパールに赴任していた(送別会の時の記事はこちら)。
その方が年に一度の健康診断も含めての一ヶ月の帰国をされた。その際に現地でネパール音楽を習っているサーランギ奏者バラット・ネパリ(Bharat Nepali)さんのバンドがフジ・ロックフェスティバルにアジアンレゲエバンドとして招待されて一緒に日本に行くので、職場でミニ演奏会を持てないかと連絡がきて、私たちのグループで急遽開催することになった。
夕方、四ツ谷で仕事を切り上げて渋谷の本部の会議室に到着すると......。約80名という予想を大きく上回る参加があり、かけつけて嬉しい驚きだった。

【ネパール音楽の夕べ】
サーランギという胡弓のように弓で弾く弦楽器、山羊の革を張った太鼓、キーボードを3人で演奏。曲によってキーボードをやめて銅鑼や鉦のような打楽器に持ち替えたり、部分的にサーランギをやめて鈴のような楽器に持ち替えたりと多彩な演奏。太鼓は主に撥は使わずに両手で叩く。大中小と4つ位あったかな(記憶が曖昧でごめんなさい(^^ゞ)。先が山菜のゼンマイのようにくるくると丸まった細い棒も使うこともあった。細長い太鼓は紐で両足を通して膝の上に固定して叩いたがかなり高い綺麗な音がした。シンバルの小さいような鉦は両手で打ち鳴らすが、近づけてお互いにくるくる回すとバイブレーションがかかって面白い音になった。

ネパールの山々や麓で暮らす人々の暮らしのイメージが湧いてくるような音楽だった。これは○○族の音楽、今度は△△族の音楽といろいろな部族の音楽だったり、オリジナルの音楽だったりした。仏教のお寺にお参りにいく時に奏でる音楽もあり、皆でワイワイ踊りながらのお参りというのがこれまた楽しい。立って踊ってくださいというので思わず我がグループメンバーは踊り出す(恥ずかしながら私も踊った(^^ゞ)。7~8曲もたっぷり演奏してくれたので本格的だった。

前日に和太鼓のグループ“鼓童”と玉三郎のジョイント公演「アマテラス」を観てきたところだったので、同じルーツが流れているのを強く感じた。「アマテラス」での演奏も和太鼓をメインに鉦や銅鑼などの金属の打楽器に琴なども加えていて、現代的でアジア的な音楽性を楽しんだ。今回のネパール音楽の演奏はネパールの伝統楽器にキーボードも加わっていて、やはり伝統を踏まえた現代のアジアの音楽の素晴らしさの認識を深めた。

終了後、閉館時間まで短時間ではあったがネパリさんたちを囲んで主催者の私たちのグループと懇親会を開催。シニアボランティアになった先輩が私を英語のサークルで一緒だったことがあると私を紹介してしまうのに困ってしまった。彼は文法が苦手だったから私と同じクラスだっただけで会話は不自由しない人。私は会話も単語を並べる永遠の初級者なのに(^^ゞ
しかし意を決して、「アマテラス」のプログラムを見せて「鼓童=ジャパニーズ・ドラムス・グループ」を知っていますかと拙い英語で聞いたら「イエ~ス」とくいいるように観ていた。そしてこの表紙はジャパニーズアクター玉三郎って言ったらそれも知っているって!世界の玉三郎、世界の鼓童なんだって思い知った。
ネパリさんが「タイコ」って言っていたので、“タイコ”ももはや世界で通用する言葉だと実感した。民族の伝統を継承しつつ世界へ現代的に発信しあって響きあう中で平和な地球が実現しそうな気がして、嬉しくなった。

【ネパールでのシニアボランティア活動報告】
短時間でプロジェクターを使ってパワーポイントによるビジュアルなご報告。現地でも研修センターで活動されているのを応用されている。ネパールの人々の抱えるいろいろな問題も自分たちで解決していくお手伝いをされている。そのことで日本にいた時よりも生きがいを感じていらっしゃる様子が伝わってきた。既に何回かインターネットでの活動報告のおたよりもいただいているが、具体的なお仕事の様子は今回のご報告でよくわかった。次の帰国の際も是非お話を聞く機会をつくっていただくと嬉しいとアンケート用紙に書いておいた。

私たちのグループでは継続的にセカンドライフ準備のための学習会を開いている。グループ内の学習会の時もあるし、広く参加をよびかける企画もある(今回は後者)。最初の連絡から2週間でここまでにした渋谷の本部のメンバーの機動力は素晴らしい。私はアンケートをまとめるお役をやらせてもらった。20代から50代以上まで幅広い参加者からいろいろな感想を寄せていただいて、嬉しい気持ちでいっぱいになった。

写真は、ネパール音楽の演奏をされている3人の皆さん。
追記
懇親会で日本の仏教で使う鉦とかに似ているという話が出て、ネパリさんが「シルクロード」で伝わったと言っていた。やはり仏教とともにこういう楽器も日本にやってきたのだろう。
また海外旅行大好きメンバーはネパールに行きたいと盛り上がっていた。シニアボランティアの先輩がいる間に行ってくればと煽ってしまった私。私は住宅ローンのメドがつくまで遠征関係は全てお預けだ(^^ゞ

07/08/05 玉三郎・鼓童の「アマテラス」に感じた未来への力

2007-08-05 23:59:44 | 観劇

昨年、鼓童結成25周年記念企画として坂東玉三郎と鼓童が共演した「AMATERASU(アマテラス)」初演は、楽器演奏鑑賞は苦手な方なので様子見で見送った。上演までのドキュメンタリーなどのTV番組を観ていたのでNHKの「劇場への招待」も予約録画しつつ後半だけ観たのだが、通しでは見直すこともないままになっていた。

昨年7月の泉鏡花作品の歌舞伎座公演で、以降の東京における玉三郎公演はしっかりと観ることを決意したので、今回の歌舞伎座公演は即決!しかし、直前まで太鼓の演奏ばっかりで寝るんじゃないかなぁという不安を抱きつつ、玲小姐さんと並んで着席・・・・・・。

予想もしなかった一幕38分。あまりの素晴らしさに二人とも包まれていた。
一応筋書から物語部分をそのまま引用。
(一幕)「アマテラス・ツクヨミ・スサノオの誕生から物語は始まる。アマテラス(坂東玉三郎)は、光あふれる楽土・高天原を治めている。そこへ荒れ狂うスサノオ(鼓童・藤本吉利)が現れた。アマテラスの慈愛もその荒ぶる魂を鎮めることができない。アマテラスが嘆きの裡に天の岩屋戸に姿を隠すと世界は闇に包まれた。」
(二幕)八百万の神々が岩屋戸の前にやってきて宴を始めた。音楽と踊りはやがて大きなうねりとなって、アメノウズメ(鼓童・小島千絵子)が踊り出す。神々は囃し立て、その熱気と躍動感は最高潮に。アマテラスはそっと岩屋戸をあけた。」

日本の神話物語でご存知!のお話である。台詞は全くない。若干の歌があって物語の大筋はわかるようになっている。
舞台装置の段になった部分にある大きな丸い銅鑼のようなものは眼を表しているようで、左目からアマテラスが右目からツクヨミが、そして真ん中部分=鼻の部分からスサノオが生まれたということが歌で語られる。国生みの2神からそれぞれの支配の分担を命じられている。衣裳もそのイメージカラー。太陽を司るアマテラスは陽光の黄色。月を司るツクヨミは白。海を司るスサノオは青。ツクヨミは鼓童の笛吹きの男性が演じている(物語の進行上、見せ場はない)。
アマテラスの玉三郎が鼓童のアンサンブルと舞う。高松塚古墳の壁画の女性が身につけているような衣裳で裳をヒラヒラさせながら舞う。いつもの歌舞伎舞踊と違った舞い。指が分かれていない足袋のような金色の布靴の爪先までの柔らかい動きに目がいく。玉三郎は♪アー~アー~♪とメロディだけをアルトのような声で歌い、女性アンサンブルが歌詞を乗せた歌を高い声で歌ってのハーモニーを響かせたのも心地よかった。日本を飛び越えてアジア的な感じの舞台だ。
楽土の平安ムードは青い大きな布を持ったスサノオの登場で破られる。大きな大きな青い布。青一色ではなく紫や緑など青系に染め上げられた布を大きく動かして魂の動きを表現している。床に投げ捨てられた青布はアマテラスに拾い上げられて何度か静かにスサノオの肩にかけられる。それをまた邪険に振り払う弟神。スサノオが、ねぶた祭りのじょっぱり太鼓のように大きな太鼓を叩く姿は迫力いっぱい。その顔には黒い隈取が入れられ、カ~っと口を開いた時には鬼面そのものに見えた。

また鼓童の太鼓を叩く男性メンバーの衣裳は太鼓をたたく時の身体の美しさがきちんと見えるような上半身の素肌がよく見える衣裳だ。スサノオの藤本吉利は若者とはいえないお年だと思うが、筋肉が浮き出る見事な身体だった。若いメンバーまでそれは見事な身体でこれも鍛えた人間の身体の美しさもしっかりと見せていただける舞台になっている。

一幕最後には太鼓の間にたたんで置いてあったアマテラスの陽光を表す大きな大きな黄色い布。これも橙色やら何色かの黄色系に染め上げられている。この光沢・この質感・落ちる時の感じからシルクの布にこだわりの染色を施したものと推測した。ともにそれぞれの布を操って舞台を舞う。歌舞伎座の横長の舞台いっぱいに2色の絹布を翻して舞う美しさに恍惚感が湧いてくる。
アマテラスはついに天の岩屋戸に走りこむ。大きな絹布をなびかせ、その色が残光となって観ている者の目に焼きつく。布も消え、世界は闇・・・・・・。
圧倒的玉三郎ワールドだ。もうあまりの見事さに興奮するしかなかった幕間20分。

二幕は天の岩屋戸に集まってくる八百万の神々=鼓童のアンサンブル。火を焚き、法華の太鼓・鉦・木魚という小さな打楽器の演奏者から少しずつ音を出し始め、どんどんサイズが大きな太鼓が登場してくる。女性太鼓奏者の堀つばさ。初演のTVで玉三郎とともに何かの番組に出ていたのを見て宝塚の男役みたいでカッコイイと思って覚えていた。その彼女が4人の男性奏者を従えて肩から吊り下げる太鼓を叩いていた場面がとっても印象的。TVに出ていた頃は顔がこわばっていたが、世田谷パブリックシアター、京都南座の公演を経て自信がついた表情になっていた。他の奏者もみんな自信にあふれた表情をしているのが嬉しい。
男性の奏者が片手で一つの太鼓の両側をハイスピードで叩くところや、3台を三角に配置して3人の奏者が移動しながら叩くところもすごかった。いずれも大きく足を開いて重心を落として叩いているのも見事。全身が鍛えあがっていて、その筋肉をバネにして叩いているからこんな迫力の音が出るんだろうなぁと感嘆するしかない。

アメノウズメの踊りがトランス状態にまでなるといよいよ宴は最高潮ムードに!
そしてついにアマテラスが好奇心をおさえられずに戸を開き光が漏れてくる。その白い衣裳の玉三郎の姿が見えた瞬間、あまりの神々しさにじわっと涙が湧いてきてしまった。力持ちたちがぐっと扉を開いてしまうとアマテラスは宴を自分も楽しみ始める。アメノウズメの踊りを真似して踊り、2枚の扇を使っての舞、両手に鈴を持ち鳴らしながらの舞へ(心底楽しそうな表情。多神教の神々は人間くさいところがいいのだ!)。
玉三郎の手首のスナップの強さはシュノーケリングで鍛えられているからだろうか。その鈴の音の切れのよさ。海に潜って全身に身につけた大自然との一体感がこのアマテラスの神々しさを裏打ちしているような気がしてしまう。男性女性の性別を越えた菩薩のような神のような存在を具現化するのに玉三郎の今の肉体こそふさわしいと思う。

アマテラスも加わった宴が最高潮に達して終幕。現代アジアの舞台作品として一級の舞台だった。太鼓の音楽美、演奏する肉体美、演奏する動きの踊りのような美しさ、舞踊の美しさ。演出・主演した玉三郎の作り出した舞台すべてが美しい。鼓童メンバーも玉三郎の指導によくここまでついていって見事な舞台をつくってくれたものだとつくづく思った。
幕が下りてもあまりの素晴らしさに続く拍手。だんだん手拍子に変わっていく。幕がまた上がる。繰り返すうちに3階席でも少しずつスタンディングオベイションになる。歓呼に応える玉三郎と鼓童のメンバー。玉三郎は常に鼓童のメンバーを気づかい、若手を花道に行かせたり、藤本吉利や小島千絵子を両脇に立たせて引き立たせている。この気持ちの通い合う関係の素晴らしさに惜しみのない拍手を送るしかない。何度も幕が上がり、玉三郎に促されてアンコール曲の太鼓の演奏が始まる。幕が下りてもまだ続く。また上がってアンコールでもう1曲。掛け声のように歌う歌だった。歌舞伎座いっぱいに響く歌声の力強さに満足して打ち出された。

玉三郎がアマテラスを演じながらも師匠が弟子の成長を確認できた慈愛に満ちた表情を垣間見せることも嬉しかった。こうして玉三郎が歌舞伎の世界を越えて彼の芸術の継承をする若手を育てていることが有難い。
玉三郎がどこまでいくのかをしっかりと見届けたいと、あらためて強く思った一日となった。

写真は、松竹の公式サイトより今回の公演のチラシ画像。

07/08/03 「エクウス(馬)」前楽・日下武史の至芸

2007-08-04 23:57:42 | 観劇

劇団四季の「エクウス(馬)」は今回が初見。私のご贔屓市村正親が少年アランを演じた伝説的な舞台は本で読んで溜息をつくばかり。その初演時から精神医師ダイサートを日下武史が今もやっているという情報に、今見逃すと先がないかもとおけぴさんのサイトでチケットを譲っていただき、前楽の自由劇場にかけつけた。
同じピーター・シェーファーが書いた「アマデウス」は幸四郎の舞台で2回、映画も観てDVDも持っているほどお気に入りなのだが、さてこちらはいかに......。

私が観た日のキャストは以下の通り。
マーティン・ダイサート=日下武史
アラン・ストラング=望月龍平 ジル・メイソン=田村圭 
フランク・ストラング=山口嘉三 ドーラ・ストラング=木村不時子
へスター・ソロモン=中野今日子 看護婦=岡本結花
ハリー・ダルトン=志村要(劇団俳優座)
ナジェット(馬)=田島康成(劇団昴)
他の馬たち=岡本繁治、芹沢秀明、徳永義満、渡邊今人、森健太郎

家裁判事のへスター・ソロモンが初老の精神科医ダイサートに事件を起こした17歳の少年を連れてくる。世話をしていた馬6頭の目をつぶし、尋問には答えずにCMソングばかり歌っているという少年アラン。
♪「ダブルダイヤモンド、(ナントカカントカ)~」♪と歌い出すアランの望月龍平。台詞も歌もしっかりしている。身体は細くしなやかで馬に飛び乗る身体の動きも敏捷。心の秘密を守るために硬く心を閉ざしている。しかし夜には悪夢にうなされている様子が看護婦からも報告される。
精神科医としてベテランのダイサートは少しずつ少しずつ少年の心を開いていく。
ベンチの背もたれと座る部分が離れるように動き、座面を垂直に動かしたり戻したりするだけで大きな変化を作り出す。厩の場面では金属パイプで作り出した馬のマスクを茶色のセーターとパンツ姿の男優が頭にかぶり、蹄鉄を打ったひずめをあらわす金属パイプの履物を履いて登場する。その場面が終っても常に馬のマスクは舞台正面にひとつ、左右に2つずつかけられている。
アランの幼少時に浜辺で遠乗りしてきた馬に出会った原体験。信仰に生きる教師だった母と無神論者の父とで教育方針が大きく違っていた。母が神の愛を息子に語りきかせるのを嫌った父は息子が部屋に飾ったキリストの絵を捨てさせ、代わりに息子がせがんだのはこちらをじっと見る馬の写真。人間の友達をうまくつくれないアランは馬をラテン語でいうエクウスと呼び、絶対的に心を寄せるようになる。

バイト先で知り合った年上の女性ジルの紹介で厩舎で週末だけ馬の世話ができるようになったアラン。そのジルの話になると急に心を硬く閉ざす。
心を開きかけては閉ざしたり、ダイサートを挑発したりするアラン。一つ質問したら本当のことを答えるというキャッチボール。その駆け引きがシンプルな舞台で白熱する。
思春期の性愛に揺れる少年は、切り返しに熟年のダイサートの夫婦関係に鋭い質問を浴びせる。そこに触れることを避けてきたダイサートだが、アランの事件の核心にふれるため、自分の心の闇にも向き合っていかざるをえなくなる。

厩舎の合鍵をつくって3週間に一度だけ夜中に一番のお気に入りの馬ナジェットを連れ出し、鞍もつけずに裸になってまたがって疾走し、馬との一体感を味わうことが生きがいになっていたアラン。そのアランを混乱させたのがジルの誘惑だった。初デートで出かけた映画館で父も同じポルノ映画を観ていたところに遭遇。厳格にふるまっていた父がただの男だったことを知り、自分も男になろうとする。ジルが選んだ場所は厩舎の藁の中。馬たちの気配の中ではうまくいかなかった。ジルを一人で帰したアランはその自分の姿をナジェットが見ていたことに気づき、・・・・・・問題の行動に及んだのだった。
ダイサートは自分のやっていることに疑問を抱くようになりながらも、仕事遂行のためにアランに安らかな眠りを約束して、催眠術を使い、自白剤を使い、心の秘密を吐き出させる。その場を再現するために全裸になって語り、行動を再現したアラン。その身体を優しく包み込み、アランが眠りに落ちていくのを「君の勝ち取った眠りだ」と賞賛する。
最後にダイサートの独白。与えられた仕事(問題行動を起こす青少年をよき夫、よき市民に更正して社会復帰させる)は果たした。しかしそのことで彼は果たして幸せになったのだろうかという確信的に明らかになってしまった自分の疑問をぶちまけて終るのだ。そのことによってこの初老の男の不幸がくっきりと浮かび上がっての終幕。

うーん、この作品は一回観ればいいな。アランやダイサートの心の闇につきあうのは一回でいい。自分のそれにつきあっているだけで私はもう精一杯という感じ。ご馳走さまであった。

さて、アランというお役。望月龍平は頑張っていた。服を脱いだところも無駄のない美しい身体がまぶしい。しかし、この作品のキーワードは「目」だ。催眠術で目を開いたり閉じたりする場面も含めて、これがあの目の大きな市村正親だったらもっとすごかったろうなぁとかイメージしながら観てしまった。そうなると私の頭の中では観てもいない若かった市村正親のアランの幻想に置換されて観ている状態に陥っていて、我ながら驚いた。若い頃の市村正親は写真集などでしか知らないのに、ここまで脳内置換している自分にびっくりしていた。そしてこの役を39歳までやらされたというのは酷な話だというのも納得。

滝田栄が馬で出ていて、背の高い素敵な馬だったという話も何かで読んだ。初演の頃の話ではないかと思う。実はそれも脳内置換していたので、今回の馬さんたちには申し訳ないm(_ _)m
初演からダイサートの日下武史。若いアランとのやりとりも緩急自在。白熱の前楽ということもあってか、すごい迫力でたたみかけていった。プログラムを読んだら四季でつとめた役でご自分が好きな2つの役のうちのひとつがこのダイサートだという。その役を見ておくことができたのは私には幸いだった。日下武史のダイサートを観たことでこの作品はもう封印してもいいなという気がしている。

最近の四季のストレートプレイは、「ヴェニスの商人」「鹿鳴館」と日下武史を観ておくことに重点を置いて観ている。昔、高校時代に観た「桜の園」で藤野節子のラネフスカヤと並んでいたお姿は若かったなぁ。次はどんなお役を観ることができるだろうか。

写真は劇団四季自由劇場入り口の掲示板を撮影したもの。
追記
プログラムに載っていたが、イギリスではハリー・ポッター役で人気者になったダニエル・ラドクリフが「エクウス」の舞台でアランをつとめ、本物の実力を見せつけたという。「ハリー・ポッター」最新作は作品的に評判が今ひとつのようだが、ちゃんと観なくては!!

07/07/29 「NINAGAWA十二夜」千穐楽を堪能

2007-08-02 23:58:53 | 観劇

『NINAGAWA十二夜』は初演で一度観て、今回が2度目。蜷川さんの舞台はけっこう濃厚なので、私は滅多に同じ月にリピートはしない。
しかしながら今回はかなり久しぶりだし、初演時にTVでオンエアされたものの録画を前日に観て予習。初演にかなり手を入れているということだったので、きちんとチェックしたかったからだ。冒頭の菊之助インタビューも観て、だんだん菊ちゃんモードに入っていく。やっぱり声が好きだなぁ。若手の中で声が一番綺麗だと思う。蜷川さんが「菊に思いつめた目で言われたら断れない」って言ってるけどわかるなぁ(^^ゞ

2005年7/31千秋楽昼の部の感想はこちら
他に初演時に書いた関連記事もまとめておく。
05/08/01 『NINAGAWA十二夜』チェンバロ?スピネット?
05/08/03 「演劇界」で『NINAGAWA十二夜』を読む~菊之助の二人三役について

今、読み返すと菊之助が主膳之助と琵琶姫の兄妹で一緒に舞台にいることができるようにするための仮面をかぶった身替りへの違和感をかなり書き立てている。主膳之助は松也あたりにやってもらってもよかったのではないかとかも書いていたようだ。
さて今回はその違和感が薄らいでいた。初演時は、船の上で琵琶姫と一緒に仮面のの主膳之助も出てきたりして最初からちょっとしらけたというのもある。
今回は身替りの登場は、波布を使っての難破の場面で海に落ちた主膳之助が浮きつ沈みつするところで奥の方で姿を見せるくらいに控えていた、早替わりの時間を稼ぐ最低限にしたことがよかったと思う。物語の世界に入りきってしまってから身替りが舞台の正面には出てきたので、初演時ほど気にならなくなってしまった。大きなネックをクリア!

その難破の場面のスペクタクル性が増しているという前評判もその通り。初演も一回しか観ていないので波布も併用していたと勘違いしていたが、録画を観ると照明と幕と照明だけの処理だった。今回の波布が大きな船を洗うように荒れ狂い、主膳之助が飲み込まれるという見ごたえのある場面にバージョンアップしていた。

初演時にも普通の舞台では考えられないくらいの1週間と言う短い稽古期間でこの膨大な台詞量をこなして開幕したのが見事と評判だった(左團次はあまりの台詞の量の多さに辞退しようかと思ったくらいだと筋書に書かれていたくらいだ)。今回はさらにさらに台詞を自在に操り、余裕のある芝居になっていて、さらにぐっと引きつけられた。
主要キャストで安藤英竹役だけが松緑から翫雀になっているが、その翫雀がなかなかよくて見直してしまった。松緑の英竹はエキセントリックでかなり面白かったのは確かだ。しかしながら翫雀の英竹はかなりの変人なのだが一応の貴族らしさが全体に調和している。その中でのずれ具合が可笑しい。大体ピンクの衣裳にあわせて髪にピンクのメッシュを入れるだけでなく、マツケンサンバのように鬢のほつれを片側に強調。首周りの紫のスカーフといい、「トレビア~ン」とか知ったかぶりのフランス語の単語をちりばめるなどの気障な馬鹿という役づくりがうまい。鐘道にそそのかされての獅子丸との決闘への身ごしらえは最高だった。背中に弁慶の七つ道具をしょって前には太い鉄砲を下げ、髪は総髪にして鉢巻。なんだかんだという場面を経て退場する時には「またメッシュ染めなくっちゃ」とか言っているし。今回は翫雀を褒めたい(初めて褒める)!!

前回けなしたもう一点。菊五郎の捨助と坊太夫の二役。日本にない道化を無理やり阿呆として盛り込んだことへの違和感が強かったのだ。シェイクスピア劇を日本の歌舞伎にしたというような感じで捉えすぎていたのかもしれない。今回は歌舞伎に仕立てたシェイクスピア劇として観ているせいか、あまり違和感を感じなくなった。今回の菊五郎の捨助が初演よりさらに飄々としていたのも好ましかった。そして、坊太夫のはじけっぷりにもう感動ものだ。ウコン色の装束の時に烏帽子にさらに観音像が冠につけている瓔珞のように垂れるウコン色の紙の飾りがあまりにも可笑しくて可愛くてやられた。「俳優祭」の北千住観音もスゴカッタが、チャリ場でないお芝居の中でこの扮装というのは、これはもしかしたらスゴイことなんじゃないだろうか。ちゃんとこの扮装での舞台写真1枚GET。これは我が家に永久保存だ<娘に引き継いでくれるように頼んである(笑)>。それとマルボーリオの黄色いガーターと坊太夫のウコン色の下帯を比べると、後者のおかしみの方が笑える。それを長く引きづり出して・・・●×△★っていうことよね!凄すぎる!!

ここまで妄想をはじけさせた坊太夫。物の怪つき呼ばわりされて袋をかぶせられ、麻阿や庵五郎たちにポカスカ叩かれて袋をとったその姿の哀れさが際立つ。ギャップが大きかったのが効果的。ほつれた髪で恨めしそうな目をした男はそれだけで思わず可哀相=可愛そうに思えてくるから不思議なものだ。『菊五郎の色気』という本を読んだせいか、こんなところにも色気を感じてしまう(^^ゞ

そして主役の菊之助。初演から2年たっての成長が如実にわかる。初演でも二人三役の素晴らしさを褒めちぎった私だが、再演の今回は文句のつけようがない。初演は琵琶姫の扮装の時はまだまだ硬い感じがあったのだが、女方の修行がすすんでお姫さまのやわらかさを感じることができた。その琵琶姫が男装した獅子丸の時に本性が出てしまうところも初演はスイッチが切り替わる感じで可笑しさが前面に出ていたが、今回はまた違っていた。あくまでも本性は琵琶姫であるのがわかるのだ。それが頑張って獅子丸になっているという感じなので、ちょっとでも気が抜けると琵琶姫に戻ってしまっているという感じでとっても自然。
英竹との決闘の場面が今回はすごく面白かった。庵五郎に剣術指南を受けるのだが刀の構え方も足の角度も直されてへっぴり腰。ふたりの腰の引け方は最高に可笑しかった。
琵琶姫の左大臣を思う気持ちもいつもいつもあふれている感じが強くなっている。二幕冒頭の御前での舞いも四季の舞から恋のせつなさをうたうものになっていたのもすごくよかった。前回は睡魔に襲われたが今回は「道成寺」のてぬぐいを使って踊るあたりを踏まえてるなぁとか、けっこう長唄も聞き取れて楽しめた。ここの変更も成功している。とにかく琵琶姫としての気持ちがぐっと伝わるようになって、観ている方もぐっと感情移入が深くなった。
「十二夜」という作品の主役は、まさに菊之助のように女方と立役の両方をきちんと身につけてきている者にこそふさわしい。

左大臣の錦之助も襲名でさらに大きくなっていた。さらに恋に身を焼く男の物狂おしさの烈しさが増し、その思いを自分が受けたいという琵琶姫が思うのも無理もないという感じが強くなっている。前回はあまり印象に残っていなかった舞の後で「そなたが女性(にょしょう)であったなら」という台詞に獅子丸が「ええっ」と聞き直す場面が今回はグッときた。ここに伏線があったのか!(本当に日本の話なら小姓には手を出してしまうことは普通なわけで、男だからと堪えるのはやはりキリスト教の国のお話だからだなぁと納得)。

時蔵の織笛姫もぐっと情感が深くなった。この役には時蔵の硬質な赤姫がぴったりだが、菊之助がやわらかさを増したことによる相乗効果があった感じがした。気位の高いお姉さまが若くて瑞々しい若い男(おのこ)にツンデレ~っという感じだろうか。「胸のうちの小鳥が騒ぐ」と恋の苦しさに目覚めた気位の高い姫の可愛さ、それも恋に恋するような初心な純情。これは時蔵の代表作にもなったと思える。

亀治郎の麻阿もバージョンアップ!さすがに大河ドラマの武田晴信で一回り大きくなったと思われ、麻阿もさらに堂々としている。そして左團次の鐘道も初演よりもさらに自堕落だけれど憎めない、麻阿がほっとけないであろう男の魅力を撒き散らしていた。
そして初演よりも楽しめたのは團蔵の庵五郎と松也の久利男。やっぱり回を重ねると目が広く届くようになる。こういう楽しみも増すので毎月歌舞伎座に通うことになるわけだ。

「NINAGAWA十二夜」の再演は、場面や台詞も整理されて時間も短縮されていたが、スピード感も増し、ブラッシュアップされていて素晴らしい舞台になっていた。歌舞伎の新しい可能性が着実に広がっていることも確信。歌舞伎座が建替えになっている時期に菊五郎劇団でシェイクスピアの本場ロンドンでの公演を実現して欲しい。そう思うのは私だけではないだろう。

写真は公式サイトより今回の公演のチラシ画像。初演の時よりも衣裳をつけた役者さんたちの写真のトランプが増えている。
追記
①英竹の果たし状の文面が松緑の時と同じだが、翫雀の口調はだいぶ松緑のそれとは違った。翫雀の英竹ではあんな文章を書くわけがない。そこはちゃんと文面も変えるべきだったと思った。
②歌舞伎座で『歌舞伎座掌本』とともにいつもいただいてくるフリーペーパー?『芝居茶屋新日屋かわら版』第26号の舞台美術の金井勇一郎さんのインタビューが面白かった。同じものがウェブサイトに載っているのを発見したのでご紹介!→こちら

07/08/01 8月の観劇予定

2007-08-01 21:33:15 | 観劇
月が変わったので今月はさっさと観劇などの予定を書いておこう。

3(金)16:00~劇団四季自由劇場「エクウス」
5(日)歌舞伎座「アマテラス」昼の部
6(月)「ネパール音楽の夕べとシニア海外ボランティアの現地報告」
19(日)歌舞伎座納涼歌舞伎第1部・第2部
29(水)歌舞伎座納涼歌舞伎千穐楽第3部
9月だけど
1(土)さいたま彩の国芸術劇場「エレンディラ」昼の部(前楽)

「エクウス」は花梨さんのレポに刺激され、すぐに譲渡サイトで探し始め、お譲りいただけることになった。あとは藤山直美・香川照之の「妻をめとらば」も観たいのだが、予算内の席は全部売り切れてしまった(T-T)

ネパール企画については以下のような次第で急遽開催が決まった。
昨年私の職場の男性の先輩が早期退職しておツレアイを伴ってシニア海外ボランティアでネパールに行かれた(激励会の記事はこちら)。その方が健康診断のために1ヶ月帰国される。ご夫妻で音楽を習っている先生がフジ・ロックフェスティバルに招待されているので、その方のミニ演奏会を職場で一緒に開くことになったのだ。もちろん現地での活動報告もお聞きする。労働組合のグループ企画として速攻で企画してくれている本部のメンバーにも感謝!

9月の観劇回数が7回以上になりそうなので7・8月は理性を働かせて?ぐっと絞り込んだ。
その余力をレディスデイなどで映画を観たいのだが、けっこうヘロヘロで今日も見送ったという情けない状況。

「西遊記」観たいんだけどなぁ。妖怪金角の鹿賀さまが観たい、声が聞きた~い!!