ぴか の観劇(芸術鑑賞)日記

宝塚から始まった観劇人生。ミュージカル、ストレートプレイ、歌舞伎、映画やTVドラマ等も書きます。

07/07/27 夏休み親子のための狂言の会②「附子」「菌」

2007-08-12 14:25:33 | 観劇

夏休み親子のための狂言の会の狂言3本立てで狂言デビュー。
前半の記事①「二人袴」はこちら
夏休み親子のための会ということで親子づれがあふれている。平日ということもあり母親に連れられた子どもたちばかり。孫を連れてきた高齢のご夫婦や、子どもを連れたお母さんとその親という3世代で来ているというグループも。それにしても観客層が真面目そうな方が多いように感じる。着物は少ない。歌舞伎座よりも国立劇場の歌舞伎公演に近い?国立劇場の平日の歌舞伎の観客は高齢率が高く、歌舞伎座よりも硬い感じ。そのお子さんと孫たちの世代??女の子も姉妹で同じ布のワンピースなどの夏服を着て連れてきている母娘も多い。やっぱり能・狂言の観客層ってこういう感じかと思ってしまった。
狂言面の体験コーナーがあって、親が子どもに「つけてみなさいよ」と声をかけて子どもたちがこわごわと手を出しているのをスタッフが手伝っている。私もしっかり「武悪」の面をつけてスタッフさんに携帯で撮影してもらってしまった。

【附子(ぶす)】(和泉流)
あらすじ
主人が留守番を言いつけた太郎冠者と次郎冠者に、桶の中に「附子」という猛毒が入っているから近づいてはならぬと言いおいて出かけていく。すると太郎冠者が桶の中を見てみようと言い出し、次郎冠者に扇であおがせながら桶の中をのぞく。ついには食べてしまうが、それは砂糖だった。主人が砂糖をふたりに食べさせまいとついた嘘だとわかり、二人で皆食べてしまう。
食べて落ち着いてみると、さてどう主人に言い逃れるかと頭を捻り、太郎冠者が言うままに次郎冠者は掛軸を破り、天目茶碗を打ち割る。主人が帰宅すると二人揃って泣きまね。太郎冠者は言い募る。留守中に居眠りをせぬように相撲をとるうちに勢い余ってそれらを壊してしまい、主人の大切な品を損なったお詫びに死のうと附子を食べたがまだ死ねないとの言い訳。主人は怒りを抑えられず、逃げる二人を追う。
配役は以下の通り。
シテ/太郎冠者:野村万禄 アド/主人:野村萬
アド/次郎冠者:野村万蔵
和泉流の若手のふたりが13:00と16:00の部で入れ替わる。桶を奪い合って食べる場面で一人がうまそうに食べていると下の桶をもうひとりが自分の方に動かしてしまうというのを繰り返した上で、最後には桶とその蓋に半分ずつわけて食べつくすとう演じ方。写真でよく見る桶にふたりがたかって食べるというような演じ方でなかったので、これも流派によっていろいろあるのかと推測。
娘の教科書には載っていたというが、私の教科書は「柿山伏」だった。「柿山伏」よりも「附子」の方が面白い。ブスという読み方を気にして教科書に載せなかったのかしら。

【菌(くさびら)】(大蔵流)
あらすじ家の中に大きなきのこ(菌)がはびこって困った男が山伏に祈祷で退治を頼む。山伏は祈祷を始めると最初は効果があったようにみえたが、すぐにきのこたちの勢いに負け、どんどん増えるきのこたち。増長したきのこたちは山伏や男に悪戯をしかける。山伏も頼りにならず二人は逃げ出す。
配役は以下の通り。
シテ/山伏:山本則孝 アド/何某:山本東次郎
アド/次郎冠者:野村万蔵
立衆/菌:山本則重、則秀、凛太郎、ほか8人
山本東次郎が2005年のNHKの「能・狂言入門」の解説者だったので馴染みがあって、それで今回の観劇を決めた。役が役だけにけっこう元気がないように見えてしまったが。山伏に祈祷を頼んできてもらうあたりでところが仕事帰りだし3演目は緊張が途中で途切れて途中で意識がとんでしまった。隣の方にのぞきこまれてハッと気がついた。確かに最前列だからなぁ(^^ゞ

菌たちの扮装は面をつけて笠をかぶって腰を落としてすり足で動き回る。男の面は大人がつけ、女の面は子どもがつけているのか、体格に差がある。女面の菌は可愛いが、にじり口からどんどん人数が増えていくとやはり不気味。
菌たちにも山本東次郎家の若手が揃って出ている。
この「夏休み親子のための狂言の会」とは主だった流派が顔ぶれを揃えて出演するあなどれない企画なんじゃないかとあらためて思ってしまった。これは毎年チェックだ!!

本当は8/11土曜日の「能楽公演」にも心が動いたのだが、通院日になってしまったのであきらめた。毎年セットでチェックすることにしよう。