ぴか の観劇(芸術鑑賞)日記

宝塚から始まった観劇人生。ミュージカル、ストレートプレイ、歌舞伎、映画やTVドラマ等も書きます。

07/08/26 映画「怪談」のちオフ会

2007-08-26 23:59:23 | 映画(映画館、DVD、TVを含む)

三遊亭円朝原作の「真景累ヶ淵」が菊之助主演で映画化された。私はホラー映画が苦手。「リング」などで有名な中田秀夫監督の作品ということにさらに怖気づき、菊之助贔屓どうしということでさちぎくさんにおつきあいいただいて丸の内ピカデリーで観た。
あらかじめさちぎくさんの「すずめ二人会」の怪談「真景累ヶ淵」の‘豊志賀の死’の上演をご覧になったというレポを読んで心の準備もOKに。
講談師の一龍斉貞水が新吉の父が豊志賀の父を斬り殺したという因縁話を語った上で物語の世界へ。

配役は以下の通り。
尾上菊之助=新吉(煙草売り)
黒木瞳=豊志賀(三味線の師匠)
井上真央=お久(豊志賀の弟子)
麻生久美子=お累(羽生で新吉の妻となる)
木村多江=お園(豊志賀の妹)
津川雅彦=お累の父でお久の伯父
瀬戸朝香=お賤(芸者あがりでお累の父の妾)
榎木孝明=(新吉の父)、六平直政=(豊志賀の父)、他
あらすじは省略。
菊之助の新吉は登場から美男子オーラ全開。ところが黒木瞳の豊志賀は登場から粋な三味線の師匠というにはかなり無理がある。ここで二人が運命的な一目惚れをするというところから納得がいかない。ということで作品からの距離がぐっと開いてしまった。黒木瞳の切れ長でない目がこの役には合わないのではないか?アップで何回も大写しになるのだが「魔性の女」度が薄い。だから幽霊になってからもあまり怖くない。一番怖かったのはこの写真の場面くらい。

ただし菊之助の美男子さは可愛いという感じで、何人も女が惚れて放っておけなくなるというフェロモンは感じない。伏し目にしている時はいいのだが、目を開いて微笑むと女顔的なのだ。睫毛も長くディズニーのバンビちゃんのお目目みたいに見えてしまった。とにかく可愛い。映画評論家?のおすぎは好みのタイプなのであんなに「綺麗、綺麗」と騒いでいたのだろうなぁと思った。私の脳裏に残る菊五郎の若い頃の大河ドラマの義経のお顔の方が女が放っておけなくなる美男ぶりだった(あらためて菊パパの若い頃を回想)。

豊志賀が顔にできた傷が悪化して身体も弱り、新吉に見とられることなく「この後女房を持てば必ずや取り殺すからそう思え」という遺書を残して死ぬ。継母のいじめに耐えかねて羽生の伯父を頼っていくお久とともに駆け落ちを決意しようと新吉が決意した矢先のことだ。その怨みの言葉通り、新吉に関わった女たちは次々と新吉に殺されてしまう。いずれも豊志賀の亡霊が新吉を恐怖に追い込んで錯乱させた上でのことだ。
お久は師匠の豊志賀の亡霊の気配を感じながら羽生に向かっている。羽生の一歩手前で豪雨に足止めされたのは累ヶ淵。恐怖の中で「新さんはどうしてそんなに綺麗な顔なの」と問うのだが、私としてはここが今ひとつ盛り上がれなかった。井上真央のお久があまり好みでないせいでもある。あまりにもギャルっぽいのがダメ。
お累の麻生久美子は影が薄い感じが○。お園の木村多江も○。木村多江にもう少し花があったら豊志賀がいいかもしれないと思えた。お賤の瀬戸朝香は顔はいいのだが、しゃべり方やしぐさや芸者上がりにみえないので△。
お累の父の津川雅彦はいい味を出していて◎。「有頂天ホテル」でもそうだったが、年をとってもお盛んなおじさん役にぴったりハマる役者だ。因縁のふたりの父親の榎木孝明と六平直政も○。
新吉はお累の父まで殺し、犯人として追い詰められて抵抗。大量殺人の末に自分も瀕死の重傷。お園に助けられて舟に乗せられたものの累ヶ淵で水の中に引きずり込まれる。最後にお園の前に姉の亡霊が新吉の首を抱いて現れる。まるでサロメとヨカナーン。新吉も豊志賀もお互いに微笑んで満足したように消えていく。ここでようやく因縁は断ち切られたのか?!

主要な女優陣3人に満足が得られなくて残念。菊之助のアップを楽しめたから1000円で1回観るならまぁいいかなという作品だった(歌舞伎会カードで割引!)。1800円で観たくないと言った友人は正解?!

その後、映画を観た2人にお茶会から合流の3人でデニーズでオフ会。一人はNYに勉強に行って帰国の直後だった。ブロードウェイで「オペラ座の怪人」「レ・ミゼラブル」と勘三郎のNY公演も観てきているのでその熱いレポもしてくれた。
歌舞伎座建替え中の歌舞伎の海外公演をNYでもロンドンでもパリでも入れ替わり立ち代わりやってもらいたいという話も盛り上がった。その他、夏バテ対策の話からワールドワイドにアートから社会全体の話にまで広がって充実の時間となってしまった。オフ会参加の皆様、お疲れ様でした。またの機会を楽しみにしていま~す(^O^)/

写真はMOVIXのウェブサイトの作品紹介の宣伝画像。