ぴか の観劇(芸術鑑賞)日記

宝塚から始まった観劇人生。ミュージカル、ストレートプレイ、歌舞伎、映画やTVドラマ等も書きます。

05/10/13 歌舞伎座『加賀美山...』千秋楽も出陣決定!

2005-10-14 01:22:06 | 観劇

10/10に観劇して以来ちょくちょく松竹のウェブサイトをのぞいてしまっていたが...。お茶屋娘さんがチケットがとれたという一報に、私も千秋楽にご一緒することを急遽決断した。玉三郎と菊之助のこの歴史的共演を1階席で観ないと後悔するという思いからだ。今頃、昨年一月の「二人道成寺」観なかったのを激しく後悔しているからね(T-T)

玉三郎の尾上は誰からも絶品という評価だが、菊之助のお初や菊五郎の岩藤の評価は賛否両論。でも私は気に入っているのだからいいんです!菊・菊父子はともに初役だし、口跡のよさでは他を寄せつけないお二人ということが何にも変えがたい。風情その他はいいけれど口の中でこもっちゃって台詞が聞きとれない人が多いのだもの。聞き取れてこその芝居です。大体。私など初見のお芝居がほとんどなんだから。
千秋楽、しゅっつじ~ん。

05/10/13 レイアウト変更工事で職場が快適になった!

2005-10-13 23:52:33 | つれづれなるままに
9/1に配属された資料室の執務スペースに机が入らず、ずっと閲覧コーナーに仮住まいしてきたが、本日ようやく業者がきてのレイアウト変更工事が入った。パーティション仕切り方を変更し、執務コーナーをL字型にして私もその中に入るようになった。机やPC、電話機などは中古品が回ってきていたが、脇机は新しいのを入れてもらったし、なかなか落ち着いた感じになった。

私のための工事だけではなく、ついでに業者にやってもらいたい工事をまとめて発注して受注生産になるようなパーティションも頼んだので、それが出来上がるのを待ったのもあって遅くなってしまったのだった。
入り口そばに隙間風除け用に角を丸くしたパーティションを置いてもらった。以前いた女性の方は冬場に半年くらい風邪をひいていたというし、男性も冬に2~3回風邪をひいていたときいたので、私は喘息もちだからと強く要望したのだった。それがまた感じよくできてきたので、女性職員ふたりが特に喜んだのだった。
机の脇にあった旧式の曇りガラスの入ったパーティションは非閲覧コーナーの仕切り用に移動し、入室してからは開放感を高めるようにしてみた。これもまたいい感じ!

普段はお金をかけてもらいにくい部署なのに私が配属されたことで、ついでにということで色々な工事を実現させたのだ。前からいる方は遠慮深いので私が先頭きって色々ふっかけたのだが、かなり実現させてしまった。ダメモトで言ってみることにしているのだが、最初からあきらめないことが肝心だというのが私の持論。押しが強いんですよ、私。
あとは、仕事の方だ。地味な仕事も引き継ぎながら、少しずつ色々な方面に役立つような仕事も見つけて提案していくつもり。「資料室の怪人」は攻めの資料室をめざすぞ!!

05/10/10 玉三郎と菊之助に泣いた泣いた-10月歌舞伎座昼の部

2005-10-11 02:03:26 | 観劇

いつもはクールなお茶屋娘さんと並んで3階席から観たのだが、ふたりとも泣かされた。私も歌舞伎でちょくちょく泣いているが、こんなに泣いたのは初めてだった。袖口でぬぐっていたが間に合わなくなりタオルハンカチまで取り出した。双眼鏡も曇ってしまうので何度もぬぐってまた釘づけになる。玉三郎と菊之助にまいりましたm(_ _)m

『加賀見山旧錦絵(かがみやまこきょうのにしきえ)』
松竹歌舞伎サイトのみどころより以下抜粋。
「女忠臣蔵」の異名を持つ敵討ち話で、「草履打ち」など名場面にも事欠かない人気作。才色兼備で人望も厚い一方、思いつめる内向性と高いプライドの持ち主である尾上に玉三郎、高飛車で意地の悪い憎まれ役の岩藤に菊五郎、きびきびと元気で主人想いのけなげな少女お初に菊之助と、魅力的な顔ぶれが揃いました...とのこと。

容楊黛作の浄瑠璃を歌舞伎に移した作で、原作は加賀騒動を仕組んだ全11段の大作。そのうちの脇筋の6・7段目を独立させて補綴を加えたのが今の通し上演。さらに玉三郎の工夫がある。浄瑠璃に立ち返り、歌舞伎になって加わった場面=入れ事を省いている。
このブログで『桜姫』の時に紹介した木原敏江の漫画集の中にもこの話があり、予習しておいたのだが、玉三郎の工夫で趣がずいぶん違っていた(詳細は後述)。漫画の紹介記事はこちら
菊五郎の岩藤のメイクは他の方の岩藤の写真で見たメイクと異なり、目がつりあがったように書いたりはしていなかった。政岡で見たメイクよりちょっとコワイめ。ところが台詞回しが相当憎憎しげ。この初役、いいんじゃないと気に入る。
大姫(隼人)の前で尾上をいびり、武家奉公でたしなんでいるはずの武術の試合を受けろと町人出身の尾上に迫る。求女(松也)が助け舟を出すが、ぴしゃりと封じて「さあ」「さあ」と尾上を追い込む。そこに尾上の部屋子お初(菊之助)が登場し、尾上の名代として試合を受けて岩藤方の腰元たち(全員立役がコミカルに演じる)を散々に打ち据え岩藤にも勝ちそうになるが止められ、尾上に下がるように言われて立ち去る。菊之助、溌剌としてとてもいい。最初の菊・菊父子対決もなかなか面白くきまる。

「草履打ち」場面では玉三郎の辛抱の演技が凄味あり。尾上が預かる蘭奢待の香木がなくなっており岩藤に盗みの疑いがかかるように企んだと言われ、満座の中で草履で何度も何度も打ちすえられる。一人残された尾上の引っ込みは舞台中央から花道の鳥屋までを無言で足取りの重さを表わす足袋が畳をこする音だけが歌舞伎座中を響き渡るという演出。こ、これが1階席でないと観ることができない演出なのか!

「尾上部屋」での尾上・お初主従のやりとりの温かさと切なさ。下がってくるのが遅い主を心配するお初。屋敷の中で尾上の辱めは噂になりお初の耳にも入っている。忠臣蔵のエピソードにかこつけて主の短慮なきように諌めるお初。ここが噂の強すぎる演技かと思われるが、8年前の勘九郎のお初ならもう少し愛嬌を盛り込んでの諌めとなると想像できるが、若い菊之助である。まあ若さゆえの硬さということで私としては許容範囲。主従でありながら人間的な親愛の情に結ばれた関係性が十分に伝わってくる。
尾上に実家に手紙を届けるように言いつかり、明日早朝に届けると頑張るがそれならもう主従の縁を切るとまで言われてやむを得ず屋敷を離れる。見送りに「怪我のないよう気をつけていきゃ」と声をかける尾上の玉三郎の情感こもる芝居のあたりから、私の涙腺はもうダメ。
そこから自害までの玉三郎の独壇場。先立つ不孝をする親を思い、主を思うお初を思い、しかし町人出身だからとてこの辱めを受けたままではいられないとそれらの思いを振り切って仏壇の前へと向かうのだ。玉三郎は懐紙で涙を拭きながらひとりで語っていく。息を吸う時にはすすりあげる音が混じりながらも台詞はきちんと情感と共に伝わってきて、こちらも涙、涙。

使いに出されたお初は胸騒ぎがして仕方がない。灯りも消えた夜の塀の外で蘭奢待をめぐってのだんまりに紛れることとなり、封印された文箱が開けられ中から草履と書付が出てくる。主人の決意を確信して戻るお初。
そこでの「入れ事」は自害してもすぐに命がつきなかった尾上のところへ岩藤がきていろいろあったり、お初が尾上の最後に間に合ってまたいろいろあるという場面追加のようだ。それを一切やめて、お初が部屋に戻ると尾上はこときれて横たわっている状態に。玉三郎が以前にそのような工夫をした時には批判もあったというが、その入れ事を省いたことによって大きな効果があったように思った(漫画との比較で言っていて恐縮だが)。

そこからはお初の独壇場になる。尾上の亡骸を見つけて「遅かった」「遅かった」「遅かった」と嘆き、内掛けをかけ屏風で亡骸を隠し、尾上の残した書付などで状況を把握し、敵討ちの決意を固めるまでのひとり芝居。菊之助も3階席からだと双眼鏡でもよく見えないのだが汗か涙かのしずくを光らせて落としながら、すすりあげながらの長台詞。玉三郎のひとり芝居をきちんと観ているのだろう。このふたりの師弟関係がよく現れるような情感の高まった二人のひとり芝居の連続の見事さに私の心は波立つばかり。

最後の「仕返し」の場で、岩藤とお初が対決し、余裕たっぷりだった岩藤がお初に討たれるのだが、ここの菊・菊父子対決も素晴らしい。敵を討った後、自害しようとしたお初を求女がとめ、尾上の二代目を名乗るように上意を伝え、めでたしめでたしで幕となった。
これはすごい舞台を観たという興奮がなかなか引かなかった。夜の部の玉三郎・菊之助の舞踊も楽しみが増してきた。

『廓三番叟(くるわさんばそう)』
本当はこちらが先の演目だが後から書き足す形になった。「三番叟」ものも初めての私だったが、いきなりかなりの変化球バージョン。
松竹歌舞伎サイトのみどころより以下抜粋。
天下太平や五穀豊穣を祈る神事をルーツに持つ「三番叟」には、翁、千歳、三番叟の三役が登場するのが約束。神聖さが身上の舞台をあえて艶やかな遊郭に移した趣向で洒落てみせる本作では、翁が傾城(芝雀)、千歳が新造(亀治郎)、三番叟が太鼓持(翫雀)にあたる...とのこと。
芝雀が雀右衛門によく似た雰囲気だなと感心し、亀治郎もきびきび踊っていて対照的でいいなと思った。翫雀、もう少しダイエットしないと二枚目は観たくないなときつい感想をひとこと。

10/26千秋楽に写真を筋書表紙の『加賀見山...』の錦絵にさしかえ。
元の写真は「能 狂言」HPより転載の菊之助画像。現代っ子っぽさが漂っていていいなあ。その転載元はこちら

05/10/09 東宝『エリザベート』ミーハーキャスト評その3

2005-10-10 00:21:32 | 観劇
その3はゾフィー、ルドルフ、マックス、ルドヴィカ。一応これでしめくくる。
(5)皇太后ゾフィー=寿ひずる
初演からの初風諄が体調不良のため休演となりピンチヒッターとして登場したが、これが素晴らしかった。昔昔、宝塚『ベルばら』の小公子を演った時に観たが、トップになる前に退団。舞台復帰後は数年前の『風とともに去りぬ』のベル・ワトリングでふくよかになったお姿にあいまみえた。そして今回の皇太后ゾフィー。初風諄もマリー・アントワネット主演以来の貫禄あるお姿だったが、いかんせん声域がミスマッチで迫力が今ひとつなかった。ここで寿ゾフィーは元男役だっただけに声域も無理なく迫力ある歌唱力も発揮され、芝居も細かく情感あふれ、息子フランツを思いながら心臓麻痺で亡くなる前に歌い上げるソロは万感胸に迫るものがあった。
初風さんには申し訳ないが、この役は今後、寿さんに演っていただきたいと思う。

(6)皇太子ルドルフ=パク・トンハ
他のおふたりは今回観れず。昨年の公演からの登場だが、3人の中で一番のお兄さん的雰囲気のルドルフで熱血派という感じがいい。韓国ミュージカル界で主役をはっていただけにダンスシーンは一番よかった。日本に活躍の場を求めて来日し劇団四季にも在団して鍛えられている。四季がアジアのミュージカル界の人材を育てる役割を果たしていることは大いに評価したい。
実際のルドルフは本当は30過ぎのカイゼル髭をたくわえた妻子持ちで、映画『うたかたの恋』でよく知られているようにずいぶん年下のマリー・ベッツェラ男爵令嬢と心中したわけだけど、脇筋は簡素化でこのミュージカルではまるで独身の若者のような設定になっている。しかしながら十分な大人になって政策的に父親と対立した末の自殺というのが史実だ。だからその辺の政治活動の様子を独立派とともに活動する場面やドイツ民族主義の台頭に対して怒りをあらわにする場面、父親に自分の主張をする場面などで大人の男としての振る舞いを感じさせたパク・トンハに好感をもった。それと韓国では男子に2年間の徴兵制がしかれているので日本人よりも政治意識がしっかりせざるを得ないという社会の違いがあることの影響もあると思う。だからそういう意識の違いが演技にも出てきているのだと思っている。

(7)マックス(エリザベートの父親)=村井国夫
マックスは自由奔放に生きた変わり者の公爵で、娘のエリザベートがその生き方に憧れて「パパみたいになりたい」と歌うような魅力あふれる人物として演じなければならない役だ。村井マックスは昨年の公演からの登場だが、冒頭の娘の家庭教師との浮気現場からその魅力が炸裂。好色さもその魅力に女の方から寄ってくるような感じで嫌らしさがなく、実にいい。♪「結婚は失敗だ」♪と寿ゾフィーとデュエットする場面など今回の公演で初めてうなってしまった。コルフ島で霊として現れ、娘と不協和音でデュエットする場面もきちんと成り立っている。初演の寺泉憲はちょっと歌が力及ばずだった。ここは二人とも歌が上手くないとひどい場面になってしまう。村井マックスによってエリザベートの不幸な人生が際立ついい場面になった。

(8)ルドヴィカ(エリザベートの母)=春風ひとみ
初演の阿知波悟美も悪くはなかった。しかしゾフィーと姉妹には見えなかった(失礼m(_ _)m)。春風ルドヴィカが娘ふたり、姉ゾフィーと並ぶとちゃんと貴族が並んでいるように見える。それってけっこう大事だと思っている。
春風ひとみのひとり舞台『壁の中の妖精』を今年は観たかったのだが、8月の短期間の上演だったし体調をくずしていたのでまた見送ってしまった。次回こそ是非観たいと思っている。

キャスト評、以上8人でしめくくる。次回の公演あたりからまたキャスト一新の噂があるが、またそれもありだろう。作品も進化しているし長く上演を続けていってほしいものだ。

写真は、東宝のHPから皇太后ゾフィーの寿ひずるの画像。

05/10/09 東宝『エリザベート』ミーハーキャスト評その2

2005-10-09 22:48:04 | 観劇
その2はフランツとルキーニ。
(3)皇帝フランツ・ヨーゼフ=石川禅
昨年の公演からダブルキャストになり加わった石川禅。鈴木綜馬は今回観れず。昨年はまだまだ役にはまっていなかった感じがあったが、それでもの最後の「悪夢」の場面はトートと感情を爆発させて対決する芝居がすごい迫力だったのが印象に残っている。また、青年時代のメイクで宝塚のように目に青いラインを入れていたのがいただけなかった。今回観たら青ラインは入れずにマリウスメイクっぽくなっていてホッとした。彼は細かい芝居をきちんとしてくれるし、歌詞もはっきり伝わるように歌ってくれるので、マリウス時代からご贔屓だ。

表情も豊かで笑顔も可愛いのでエリザベートに惚れてにっこり微笑みかけるところなどは青年フランツの純情さが伝わるし、年をとるにつれて頑固に硬い表情になっていく変化もよい。母親のゾフィーとの絶縁の場面も苦悩がよく伝わってきた。
今回「夜のボート」でのエリザとのデュエットは思わず涙が出てきてしまうほど素晴らしかった。そこで妻への思いの強さが伝わってきたからこそ、最後のトートとの対決の場面で髪を振り乱してもその真剣な思いがさらに迫力を持って伝わってきてクライマックスが盛り上がるのだった。
この禅さんを観て『ジキル&ハイド』のチケを買ってしまった。これまでは最後の結婚式で鹿賀ジキルに殺される憎まれ役だったが、次は鹿賀ジキルに殺してくれるよう頼まれる友人弁護士役だ。鹿賀さんとの共演も多くて信頼も厚くなっているようだし楽しみが増してきた。

(4)ルイジ・ルキーニ=高嶋政宏
初演からシングルキャストで頑張っている。ジャペール役はあまりよくなかったが、この役は実にハマリ役だと思う。とてもアクを強く出して濃い役づくりをしているのがなかないい。エッセン版などでもっと軽い役の感じでルキーニが歌っているのと比べても、高嶋ルキーニはとても個性的だ。プログラムにあった実際のルキーニの写真もとてもムサイし(笑)役づくり的確かもしれないと思った。

初演でマダム・ヴォルフ役をやったシルビア・グラブとこの『エリザ』での共演をきっかけにおつきあいし結婚されたというし、彼の人生でもよい出会いの場になったんだなあと思っていた。そうしたら今回公演の終盤、舞台で怪我をされてしまったようで、千秋楽のカテコは車椅子で登場したときいている。早くお元気になられるように祈りたい。

写真は、東宝のHPから皇帝フランツの石川禅の画像。

05/10/09 東宝『エリザベート』ミーハーキャスト評その1

2005-10-09 15:36:18 | 観劇

帝劇で9月1ヶ月だけの上演で9/17マチネと9/18マチネで観劇。9/17マチネ山口トート公演はVISA貸切でゆきさんに譲っていただき、観劇後お茶をご一緒させていただいた。9/18マチネ内野トートは自力でとって観劇後yukariさんお茶屋娘さんとミニオフ会。連日の盛り上がり。皆さん、楽しい時をありがとう。遅ればせながら御礼申し上げますm(_ _)m
さて、ミーハーキャスト評を書く。まずはエリザベートとトートから。

(1)エリザベート=一路真輝
2000年以来の東宝版主演で完全に彼女の代表作になっている。その彼女が「私だけに」の一番の高音が裏返る恐怖といつも闘っていて、それはピアさんや各国のエリザベートをつとめる女優さんが皆抱く思いだということをプログラムで読んで、その苦労を理解した。♪「私に~」♪はいつも不安定でハラハラする。エッセン盤とききくらべても最後の音が日本語の歌詞はきれいに出にくいと思う。
それにしても少女時代の側転など軽い身のこなしを見せてくれるし、夢見がちな少女が自分を殺して皇后としての務めを果たす義務を押し付ける姑とのたたかいにも勝って自分の人生を生き始める強さをストイックに演じ、時々にみせる気持ちのゆらぎをはかなく見せ、最後の最後まで孤独の中で生きていく孤高の存在を魅力的に演じ切っている。その見事さに感嘆しながらもいつまでもシングルキャストで大丈夫なんだろうかという心配がよぎる。だからといって他にエリザベートを演れる人がいるだろうか?今のところ誰も思いつかない。

(2)トート
9/17=山口祐一郎
このトート役は早くから自分のものにされていて(そういう時は魅力的な大きな目が見開いている)、歌もくせになる「麻薬声」で文句のつけようがない。細かい芝居部分はあまり上手くないのでバルジャンなどよりもトート役のような人間ではない役がとても似合うというのが私の評価だった。ところが死神なのに昨年のトートはちょっと太られて二重顎顔になってしまっていてちょっと??になってきていた。

8月の『モーツァルト!』でダイエットされたことを確認したのでやはり観たくなり、今回観たらトートでも輪郭がすっきりしていた。ただし、目の周りがパンダ状態になっていたのは死神メイクだったのだろうか?二枚目がちょっとだいなし。
余裕たっぷりのせいか素の根の明るいところがところどころ出てくるのが気になった。適度なら微笑ましいのだが、熱烈ファンでない私はちょっと引く。だから1回観られただけで満足。それよりも来年の『ヴァンパイヤ』が楽しみになってきている。

9/18=内野聖陽
初演では芝居部分はいいが、歌になると声量が落ちて山口さんとダブルキャストというわりに圧倒的な差があって一度でいいやという感じだった。ところが、公演のたびにヴォイストレーニングの成果が上がっているのがはっきりわかった。スリムな身体のこなしもしなやか。エリザの机に身を横たえてすべり降りて誘惑したり、ルドルフに近づくために装置の2階部分からバーを使って降りるところなどもう堪らない。指先まで神経の行き届く繊細な演技は両性具有的なセクシーさを増している。

子ども時代のルドルフに近づく場面の表情の変化についてどなたかのブログで拝見して双眼鏡で確認すると本当に死神らしいリアクションをされていてそれも感心。そのルドルフを追いつめ「死のキス」で命を奪う場面などもう耽美的でドキドキものだ。エリザベートに勝手に惚れて「愛と死の輪舞」で決意表明したようにずっとストーカー的に追いかけていくいくのだが、この魅力に勝ち続けたエリザベートの自我の強さには脱帽する。それくらい魅力的だ。しかし、今年井上ひさしの『箱根強羅ホテル』で角刈りの植木職人実は陸軍軍人を演じた同じ人だとは思えないセクシーな演技。うーん、これはもう次の『ベガーズ・オペラ』のマクヒースは期待◎!女にモテモテの超ヤバイ男の役ですから。コクーン蜷川版の『三文オペラ』の鹿賀マクヒースに負けないものになる予感!!!

写真は、東宝のHPからエリザベートの一路真輝の画像。
今回公演の全体の感想はこちら

05/10/07 「勘三郎箱」届きました

2005-10-07 23:58:44 | 映画(映画館、DVD、TVを含む)

18代目中村勘三郎襲名の歌舞伎座3ヶ月公演は全部観た私。中学時代にTVで見た若侍姿に惚れて以来、ずっと心の奥深くにひっかかっていた勘九郎。それでもそんなに真面目に彼の舞台を観ていたわけではなく、今年の勘三郎襲名公演を期に今後は彼の舞台を真面目に観ていこうと決意したのだった。
そしてしっかり3ヶ月昼と夜の公演に通った、通った。その時期に売り出された「勘九郎箱」の誘惑には打ち勝った。ところが、襲名の公演に通ううちにこの公演のDVDセットが出たら誘惑に勝てないだろうなという予感がしだした。

その 「勘三郎箱」、やはり買ってしまった。アマゾンがいけない。「勘九郎箱」の時は扱わなかったくせに「勘三郎箱」から扱いを始め、20%引きときたもんだ。『映画版オペラ座の怪人』もスペシャルバージョンを20%引きでアマゾンから買ってしまった私は、ついにその割引販売の誘惑に勝てなかった。これで一生楽しめると思ってしまったのだ。そして仕事に復帰した私の自分へのご褒美として決断。アマゾン画面の注文のボタンをクリックしてしまった。

それが今日宅配便で届いた。ずしりと重い。開けるのがコワイ。開けるのはこの3連休にしよう。
そうそう「勘九郎箱」の三人吉三、どなたか貸していただけませんか?「勘三郎箱」で観たいものがあればお貸ししてもいいし。ってこういうことをここで書いてもいいのかなあ。

さて、今日の晩はmidoriさんと2人だけのミニミニオフ会だった。職場が近いので仕事帰りに四谷で集合。居酒屋で3時間、しゃべるしゃべる。midoriさんのブログタイトルではないけれど、お互い「好きなことはやめられない」ですねえ。とても楽しかったです。ありがとうございましたm(_ _)mこうして人の輪が広がっていくのですねえ。

写真は我が家にも鎮座ましますことになった「勘三郎箱」の写真。



05/10/06 進化するミュージカル『エリザベート』!ついに感想アップしました

2005-10-06 20:31:23 | 観劇
今年帝劇で1ヶ月だけのミュージカル『エリザベート』を9/17と9/18の連日、トート役のダブルキャストのそれぞれで観劇することができた。自力ではとれなかった山口トートの公演のチケットを譲っていただいた友人に感謝m(_ _)m。
ようやく感想を書く時間がとれ、エッセン版のCDをききながら書いている。まずは全体の感想から。キャスト評は後ほど。

『エリザベート』は1992年オーストリア初演のミュージカル。日本では世界各国に先駆けて宝塚歌劇団で1996年に初演。ミヒャエル・クンツェのオリジナル脚本を小池修一郎が男役トップが主役になるという宝塚歌劇に合わせてトート役を主役に置き換えて潤色・演出し宝塚版として上演されて大ヒット。宝塚初演時にトート役をつとめた一路真輝が退団後、東宝での『エリザベート』初演でタイトルロールをつとめて、現在まで再演を重ねている。
この作品はクンツェの脚本が魅力的なことととシルヴェスター・リーヴァイの音楽がよくて何回も観たくなるのだが、初演から内容が少しずつ変えられ、進化してきているということが素晴らしいと思っている。作詞・作曲コンビのクンツェ・リーヴァイ両氏が作品に対して極めてフレキシブルな姿勢をお持ちなのだ。ウィーン初演と宝塚で主役を変えての上演を快諾したのも珍しいことだが、各地での上演プロダクションで曲の追加や場面の入れ替えなどが続き、初演からはだいぶ趣も変わってきているようだ。

2000年の東宝版の初演を観ての私の印象。天衣無縫に育った田舎の貴族の娘が母方の従兄である皇帝と淑やかな姉の見合いの席で番狂わせに見初められ、なるはずのなかった皇后の地位に上ったが、宮廷に押し込められることに我慢できずに精神的におかしくなり、放浪の末に死に憧れるようになり、暗殺されたことでようやく魂が救われるという話。死の象徴のトートは確かに魅力的だったのだが、エリザベート自体は「個性に合わない家に嫁いで逃れられなかった哀れな嫁」という感じであまり感情移入できなかった。エリザベートのソロ「私だけに」で失敗だった結婚を嘆き、一路のために追加されたソロ「夢とうつつの狭間に」でさらにその境遇を嘆きという「嘆き」の曲2曲が重たすぎた。エリザベートにあまり魅力が感じられないためにトートは結局のところ彼女に勝手に惚れたストーカーという感じが強かった。

その後、ウィーンでトート役を演じたウーヴェ・クレーガーたちが皇帝とエリザベートのデュエットはあるのにトートとのデュエットがない、是非つくってほしいと要望し、「私が踊る時」というデュエット曲が新たに加えられた。
「私が踊る時」は日本でも宝塚花組での公演から加わり、2004年の東宝版からも加わった(「夢とうつつの狭間に」はなくなった)。この変更が大きく舞台の印象を変えた。このデュエットは、ハンガリーに自治権を与える主導権をエリザベートがもち、オーストリア・ハンガリー二重帝国の誕生に大きな役割を果たし、ハンガリーでの戴冠式に続く場面で歌われる。一番はエリザベートが主に歌ってその時点での勝利、自分の人生を自分なりに生きていく決意をしめす。二番はトートが主に歌ってそのうちに彼女が人生を憎みだすことを予告し、その時こそ自分が必要になるのだという。このふたりの対等な対峙の曲、緊張感があってとてもいい。

「夢と現の間に」はなくなって「私が踊る時」が入ったことによって、エリザベート像が大きく変わったと思う。嘆くだけでなく、自分なりに主体的に人生を切り拓いて生きていこうとしたという姿がより魅力的に浮かび上がってきたのだ。そういう魅力的な女性をめぐって皇帝とトートが争うという構図もよりくっきりし、皇帝の役もトートの役も魅力が増した。
皇帝とその母ゾフィーが争う場面やゾフィーが死ぬ前に歌うソロが加わったことも人間ドラマの深みを増した。ゾフィーが息子をどれだけ愛していたかが明らかになり、その母を捨て去るほどの妻への愛情を注ぐ皇帝フランツ。その後のフランツとのデュエット「夜のボート」が、より哀切さを増した。

実は今回、内野トートによって最後の方の台詞がききとれたために長年の謎がとけたという喜びもあった。息子のルドルフの自殺で生きる力を失ってトートを求めたエリザベートを「まだ俺を愛していない」と黄泉の国へ連れていくことを拒否したトートが何故、最後にルキーニに暗殺を指示したのかという流れが納得できていなかったのだ。今回ききとれた台詞は「彼女を救うのはこれだけだ」(というような内容だったと思う)。キーワードの「救う」がこれまではききとれなかったのだ。そうか、一度は拒否してみたものの、彼女が苦しみを抱えてさすらう様に見かねたトートがその苦しみに終止符を打ってやろうという気になったのかあ。と勝手に合点してみた。今回の公演は、内野トートによってその納得を得たことによって大変気持ちよく後にひくことなく、マイ楽をおさめることができたのであった。

ミュージカル『エリザベート』は、作品そのものも進化し、続投するキャストの歌も演技も進化し、観る側の受け止め方も進化し、長く長く楽しんでいける作品に育っている。そう実感できたのが嬉しい今回の公演だった。

写真は、東宝のHPから今回公演のポスター画像。
一部、今年5/6に宝塚月組『エリザベート』を観た時の感想と重複したことをお許しいただきたい。
その時の感想はこちら
以下、ミーハーだがキャスト評の記事をリンクしておく。
その1:エリザベートとトート
その2:フランツとルキーニ
その3:ゾフィー、ルドルフ、マックス、ルドヴィカ

05/10/06 ♪「友達の友達はみんな友達だ」♪ミクシィ仲間になってます

2005-10-06 01:28:49 | Weblog

この間、おふたりにお声をかけていただき、「ソーシャル・ネットワーキングサイトmixi(ミクシィ)」に入らせていただいた。すでに参加しているメンバーからのご招待メールがないと入れないようになっているので、メンバーには悪質な人がいないのではないかなあという安心感があるようだ。
そのうちのおひとりから9/20にご招待メールをいただいて参加し、さっそくその方とお互いに「マイ・ミクシィ」というのに登録する。そうすると相手の方のミクシィのトップページの「マイ・ミクシィ・コーナー」に自分のプロフィール欄に載せた画像付きで並ぶ。相手の方の他のメンバーのトップページにそこから飛んでいくことができる。♪「友達の友達はみんな友達だ」♪という感じ。
私もさっそく、お茶屋娘さんをご招待してしまい、お互いに「マイ・ミクシィ」に登録。でもまだ4人だけなの。シクシク(T-T)
 
ミクシィ、けっこう面白いですよ。これから「月光仮面」の名前で謎の招待メールがいくかもしれませんが、私のミクシィでの登録名ですから、こわがらずに開けてやってくださいませ。

そちらで遊んでいただけで、また観劇記が書けなかった。今日はお仕事休みもらったのに...体調よくないから休んだんだから仕方ないね。秋の花粉による喘息でけっこう薬を飲んでいるので身体が重い。無理しないでいきます。
そういう中で今日一番大変だったのは、11月新橋演舞場の『児雷也』のチケとり。23日祝日の昼の部でとりました。菊之助の立役のため、一等席奮発。あとは自粛の予定?!

05/10/05 gooブログにアクセスカウンターが欲しい

2005-10-05 23:53:44 | Weblog

他社のブログを持っている友人が切り番ゲットとか楽しそうにやっているのを読むとちょっと羨ましい。
gooブログではアクセス状況はデイリーとウイークリーのアクセス数とIP数はわかるのだが、アクセス数の累計とかどちらからのアクセスかというのがわからないのだ。きっと毎月290円払う有料のアドバンスパッケージに入っているのだろうと推測しているのだが、昨日までの騒動のように、ちゃんと調べずに利用している私が知らないだけなのかもしれない。

しかしながら我慢しきれずに、ずーずーしくもgooヘルプに問い合わせメールを入れてみてしまった。

他社のブログには大体ついているようなのですが、アクセス累計がわかるカウンターなどはないのでしょうか?見当たりません。
他社のブログを持っている友人は切り番ゲットとか楽しそうにやっているので羨ましく思っています。アドバンスの方を契約しないとダメなのでしょうか?それだけのために毎月290円払うのはちょっと考えてしまいます。
無料サービスの方にカウンターくらいつけていただいてもいいと思うのですが、いかがなものでしょうか?ご回答よろしくお願いします。

さてさてどんなお返事がくるかしら?お返事がきたら、こちらでまたお知らせしますね。