歌舞伎座の寿初春大歌舞伎昼の部を観た後、銀座松坂屋で開催されていた「石山寺と紫式部展」へ。歌舞伎会から会報と一緒に招待券が2枚送られてきていたのでお茶屋娘さんと二人で行った。1/8が最終日だったので閉場時間が午後5時と早いのでお茶会は後回し。
石山寺で紫式部が源氏物語を書いたという話はちらっとは知っていた。昨年12月の日生劇場『紫式部ものがたり』を観たところなので実にタイムリー。その公演のスチール写真には江戸時代の土佐光起の筆による「紫式部図」を踏まえて作られていた。その絵は今回の展覧会のチラシにも使われている(写真はチラシのその部分とチケットを組み合わせて撮影)。
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石山寺は聖武天皇が良弁僧正につくらせた歴史のある寺(東大寺よりも前)で、多くの信仰を集めた。紫式部は彰子から新しい物語を書くように命じられ、石山寺に参籠。ある夜、琵琶湖の湖面に映る満月を見て構想が湧き上がったのだという。そのため「紫式部石山寺観月図」というものが日本画の画題のひとつになり、多くの画家たちによる絵が残されているのだ。
良弁僧正といえば、11月に観た仁左衛門の良弁が思い出されてぐっと身近に感じる。
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日本史専攻のお茶屋娘さんのレクチャーもいただきながら観て回る。狭い会場なのに石山寺と紫式部が描かれた掛け軸や絵巻物や屏風の絵から蒔絵箱のような工芸品まで70点の展示があって見ごたえたっぷりだった。土佐光芳と光成の全く同じ構図の六曲一双の屏風もあり、祖父と孫の競作も楽しめた。構図は同じでもタッチが違うところが個性だ。
日本画の大きな流れである土佐派は室町初期から、狩野派は室町中期から活躍。場所の違いから得意な絵もそれぞれに違うというようなことも理解。勉強になった。
私は抽象絵画は苦手。こういう具象的な絵の方が楽しめる。「石山寺縁起絵巻」はその写本の展示があり、その中に出てくる庶民たちの表情が実に豊かだったのも親しみがわいた。時代を経ても人間の喜怒哀楽は同じようにあるのだ。紫式部が奉納した写経も展示されていて、しっかりとした楷書の文字に感じ入った。
さすがに祝日だけあって人は多かった。私と同様に歌舞伎座帰りの人も多い感じ。終了時間が30分延長になり、じっくりと観て満足した。出口にはしっかりと関連商品販売コーナーがあり、石山寺グッズもいろいろあるのに感心。大阪に住んでいた頃に一度行っておけばよかったと今更ながら後の祭り。
その後にお茶会。久しぶりに銀座不二家の2階へ。以前4人でミニミニオフ会をした時以来だ。その時よりも店内が綺麗になっていて改装していい感じになっていた。モンブランホットケーキも美味しかったし。そこで音羽屋父子による「勧進帳」待望論などをぶち上げていたのだった。
ところが、ウン?不二家で問題発覚のニュース。埼玉工場で賞味期限切れの材料を使って洋菓子を製造。昨年11月に社内で発覚しても雪印の二の舞になることを恐れて公表してこなかったのだという。品質管理の徹底を確認できるまで全国の不二家チェーン店での洋菓子販売を休止するという。TVにはシャッターの閉まった銀座不二家も映し出されていた。
オイオイ、このブログでも書いたけれどクリスマスケーキも不二家のだったぞ。別に私はなんともないからいいけれど、不二家の信用はガタ落ちだ。コンプライアンス経営とかが喧伝されるようになってだいぶ経つが、こういうおそまつなレベルの企業経営があちこちでまかり通っていると思う。今回だって氷山の一角だろう。今回もどうして今頃発表されたのかな。マスコミに情報がもれそうになってあわてての発表だったのだろうか。
洋菓子部門の赤字が続いていたというが、老舗の名に胡坐をかいていた経営姿勢を抜本的にあらためなければダメだろう。気の毒なのは多くの社員と販売チェーンの人たちだ。
私は別にしつこくこだわらない方だけれど、せめてきちんとした対応だけは見届けてから買うことにしよう。