ぴか の観劇(芸術鑑賞)日記

宝塚から始まった観劇人生。ミュージカル、ストレートプレイ、歌舞伎、映画やTVドラマ等も書きます。

06/12/15 初めての「社会人のための文楽鑑賞教室」

2007-01-05 23:58:00 | 観劇
あぜくら会先行予約2日目にして、ようやく2月の国立劇場の文楽のチケットがとれた。結局一等席しかとれないので端でもいいからなるべく前の方にした。
12月の文楽もちゃんと観たので思い出しながら感想をアップしておこう。2公演あった「社会人のための文楽鑑賞教室」を12/15のAプロにて鑑賞。文楽の鑑賞教室は初めて。

1.「伊達娘恋緋鹿子~火の見櫓の段」=菅専助ら3人の合作
まずは短いけれどまとまった文楽の舞台をいきなり見せてくれる構成。床に大勢居並ぶ義太夫と三味線の中で八百屋お七の火の見櫓の段。作品概要は「文楽名作鑑賞」さんの記事をご紹介。6段目「八百屋の段」の最後の部分が「火の見櫓の段」として上演することがほとんどだという。
京都に行くと「ギオンコーナー」という京都の文化の体験施設でも文楽で見せてくれる演目だそうだ。それを教えていただいた「大入り!文楽手帖」さんの記事をご紹介。→こちら
このように若手の人形遣いがお七の火の見櫓の段を遣って見せるというのは大切な修行の場となっているのだろう。
今回Aプロでお七を遣うのは一輔。なかなか二枚目。私はまだまだ人形遣いの上手い下手はわからないのだが、この演目は本当に短い中に女の人形のいろいろな動きがもりだくさん。吉三からの手紙を広げて読んだり、吉三への想いをみせるクドキ、ついには決死の覚悟を固めて半狂乱になり、髪をさばいて前後に振るという見せ場もあり、さらには櫓を登り、太鼓を叩く等々。本当に派手派手で初心者にも楽しめる演目だ。
特に櫓の梯子を登る場面が面白かった。登り始めると人形の主遣いは櫓の裏側に回り込む。梯子のところの切込みから遣うようになり、本当に少しずつ登っていくような人形の動きに感心してしまう。
今回の席は三等席の隣の一等席だったので、床のすぐ下。三味線が三丁、大夫が4人というこちらも賑やか華やか。お目見えして間もない若い寛太郎のすぐ近くだった。わ、若い、がんばれ~という気分。

2.解説 文楽のたのしみ
1)義太夫節について
①大夫解説:豊竹つばさ大夫
②三味線解説:鶴澤清丈
2)人形の遣い方:吉田一輔
時間がたってしまっているので記憶がかなりぼやけているが、なんといっても今回の三味線解説がダントツで印象的。どうしても目立ちにくい三味線の存在を強くアピールするものだった。「人形浄瑠璃」といって「人形」も「浄瑠璃」もあるのに「三味線」だけが名前に入っていない。義太夫を携帯メールの文章に喩えての解説がふるっていた。大夫の語りを文字だとすると、三味線は顔文字だという。文字だけでなく感覚的に気持ちを伝えるものということで若い彼がちょっと気になる女の子にメルアドを教えてもらって何回か送ってみたメールに喩えた話がおかしくてたまらない。詳細はやはり「大入り!文楽手帖」さんの記事をご紹介。
こちら
文楽の鑑賞教室は歌舞伎よりもずっと面白いなぁと思ってしまった。
それと今月の通常公演「義経千本桜」の方の筋書で、落語家の立川志の輔が文楽を取り入れた落語を上演した経験が書かれた文章を読んだ。一輔と一緒に取り組んだという。「輔」の字が共通する二人なのでそういうところもあるんじゃないかと推測した。とにかく自分も古典芸能をやっているのに「文楽」を観るのは50過ぎてからだったという。それなのに観てからすぐにこういうコラボレーションを企画するところまでいってしまったというのは本当に素晴らしいことだ。

写真は「社会人のための文楽鑑賞教室」のプログラムの表紙の櫓を登るお七をアップで撮影。
後半の「恋女房染分手綱」も感想アップ!→こちら