ぴか の観劇(芸術鑑賞)日記

宝塚から始まった観劇人生。ミュージカル、ストレートプレイ、歌舞伎、映画やTVドラマ等も書きます。

05/06/08 映画『オペレッタ狸御殿』で化かされる

2005-06-11 23:53:25 | 映画(映画館、DVD、TVを含む)
『狸御殿』ものは、戦前・戦後の日本映画の黄金時代に人気が出て連作されたシリーズのようで、ここ数年、宝塚OG達による舞台の上演もあり、気にはなっていたのだった。しかしながら、話が馬鹿馬鹿しいのとOG達の昔のお姿を封印したかったために、お声がかかった時も気乗りがせずにお断りしてしまったのだった。
さて、レディースデイで1000円なら『狸御殿』もの初体験もいいかなというノリで行ってきた。映画『あずみ』の美女丸で惚れたオダギリジョーも和物でまた観てみたかったというのもあった。チャン・ツィイーも『LOVERS』で可愛さわかっていたし、平幹二朗の怪しい殿も観たかった。
観た感想は...うーん、面白くなかったような面白かったような...。清順狸にケムに巻かれて化かされたような感じだ。

背景もなんか日本の昔の水墨画だったり金屏風に書いた極彩色の日本画のような絵をつかってその前でしゃべったり歌ったりするのもなんか変な感じだった。満開の桜は岩手まで行って撮影してきたらしいが、そこは美しかった。
狸姫役のチャン・ツィイー、文句なく可愛いし、日本語で歌も頑張ってました。対する雨千代役のオダギリジョー、袴姿はいいが、着流しの足さばきが見苦しい。男は足の見せ方が大事(これ私の持論)。もっと時代劇の俳優さんのように勉強しないとダメ。歌も音ははずしてないんだけどリズムに乗れないようで棒読みならぬ棒歌い状態。これではオペレッタといえない。
びるぜん婆々役の由紀さおりはもちろん、歌はうまい。やはり歌手だった家老狸役の高橋元太郎も歌がうまい。姫の乳母役の薬師丸ひろ子もまあまあうまい。そして、雨千代の父役の平幹二朗も♪「生きとし生ける者の中で一番美しい者は誰じゃ」♪って歌うのだが、昔、帝劇で蜷川幸雄演出の『三文オペラ』の主役マックヒース役で歌っていたのを思い出した。『義経』の後白河法皇同様、とっても怪しくていい。この映画で一番よかったのは平幹二朗だった。

歌なしで笑いをとるための人間の村での篠井英介、市川実和子、山本太郎の三人はそれはそれで面白かった。CGで合成された美空ひばりは雨千代の母親役の幽霊?役で出演?していたが、実物よりスマートになっていて、はあ出てるなあという感じ。『狸御殿』に主演したこともある関係での登場。
最後の歌で盛り上がるところの迫力もあまりなくて、これでオペレッタと銘うつなんてちょっと許せない感じ。鈴木清順監督が青春時代に心を奪われた『狸御殿』ものへのオマージュなのだろう。私の母親も宮城千賀子主演のもので2回くらいは観たとか言っていた。ちなみに宮城千賀子は宝塚の男役出身なので狸吉郎役。
カンヌ映画祭の特別招待作品で好評だったということだ。ジャパンイメージということでは外国人受けはいいと思う。しかし、現代の日本ではどうかなあというのが率直な感想。

写真は東宝スタジオでの合同インタビューの様子をHPより転載。
追記
12月の新橋演舞場は、藤山直美と澤潟屋一門による『狸御殿』らしい。直美の赤姫姿を見ることができるのだろうと思っている。こちらは、華やかにそしてちゃんと面白くやってくれるだろうから是非観にいきたいと思っている。