Piano Music Japan

シューベルトピアノ曲がメインのブログ(のはず)。ピアニスト=佐伯周子 演奏会の紹介や、数々のシューベルト他の演奏会紹介等

新国立劇場「トスカ」初日批評(No.1714)

2009-12-02 23:41:31 | 批評
 昔々、五十嵐喜芳芸術監督時代の2シーズン目のオープニング=プッチーニ「トスカ」が「4回目の公演(=3回目の再演)」となった。ディアツの演出で、初演時も聴衆から圧倒的に支持された公演。何と6年ぶりの再演である。前芸術監督=ノボラツスキーの「トスカ嫌い」だか「五十嵐喜芳嫌い」は、日本オペラファンにとって相当な害毒を流していたようだ。亡くなった若杉弘芸術監督が再演の英断を下したことに感謝する歌唱が続けざまに聴けた公演となった。


ソリスト中心(=偏重)の新国立劇場「トスカ」


 主要3役の歌唱は充分満足行く公演だった。

  1. トスカ = タマー

  2. カヴァラドッシ = ヴェントレ

  3. スカルピア = ルントグレン


 皆「プッチーニオペラの魅力」は堪能させてくれた。脇役陣も好演で特に

スポレッタ = 松浦健


は役柄をしっかり把握した歌唱+演技で、盛り上げてくれた。他の脇役陣も好演揃い。


 ・・・で褒めちぎれるか? と問われると問題も散見。

  1. 「オーケストラだけの箇所」で盛り上がらない(例えば、カヴァラドッシ処刑の場)

  2. 新国立劇場合唱団が久しぶりにぱっとしなかった


などである。原因ははっきりしない。指揮者の問題? オケや合唱団の問題? 予算不足で「合わせ」不充分? よくわからない。五十嵐喜芳芸術監督時代の演奏の方が遙かに説得力が(主要3役の出来うんぬんを別にすると)はっきり強かった。


「バーンとアリアをカマしてほしい」人向け = 今回の新国立劇場「トスカ」


と感じる。ディアツの演出は説得力高いし、今回の「再演演出」でも基本は損なわれていない。主要3役は良いので、気質的に上記の方(=私高本タイプ)にはお薦めしたい。最近の新国立劇場オペラには極めて珍しく、客席が詰まっていたことも併せて報告する。
 ちなみに、新国立劇場合唱団は「もっと2段階くらい上の演奏」は可能だと思う。今回の歌唱は(大した聴かせどころが無い、とは言え)消化する前の演奏を聴かせてしまったことは、深く深く反省してほしい。「合唱指揮者カーテンコール時にブーイング皆無」に甘んじていないでほしい。

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