Piano Music Japan

シューベルトピアノ曲がメインのブログ(のはず)。ピアニスト=佐伯周子 演奏会の紹介や、数々のシューベルト他の演奏会紹介等

作曲家論 : スクリャービン第3回 (No.1353)

2006-08-28 10:05:32 | 作曲・スクリャービン(1872-1915
 本日は「スクリャービンピアノソナタ全集」CD批評を掲載する。 スクリャービンピアノ作品中、最も規模が大きいので、ピアニストの意欲をそそるらしく、数多く発売されて来たし、今後もされて行くことだろう。
 尚、人気ある「中期ソナタ」だけ力が入って、「後期ソナタ」は聴くに耐えないCDが多い中、初期~後期 がムラ無く良いモノだけを選んだので、安心してほしい。
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スクリャービン ピアノソナタ 全集 Best3 一挙掲載!



第1位 アムラン (Hyperion CDA 67131/2)





4,024円(税込)



  • 演奏   :☆☆☆☆☆
  • 資料価値:☆☆☆☆
  • 音質   :☆☆☆☆☆


1995年録音。
 とても「爽やかなスクリャービン」である。技巧的な難しさは全く感じさせない。 スクリャービン自身が「技巧的に悩ましく感じてほしいと思ったパッセージ」さえも、きちんと弾く。 単一楽章ソナタとして作曲された「幻想曲ロ短調 作品28」や、若き日の生前未出版の「ソナタ 嬰ト短調(1886)」も収録されているので、1種類だけ購入するならば、これがお薦め!
 録音は信じられないほど、鮮やか。オーディオファンの方は是非是非この盤を聴いてほしい。

第2位 シドン (DG B00002477)





2,596円(税込)



  • 演奏   :☆☆☆☆
  • 資料価値:☆☆☆☆☆
  • 音質   :☆☆☆


1968~1971録音。
 アムラン盤とは対照的に、1音1音を押し込むような演奏である。「アムランと対極のスクリャービン像」を聴くならば、コレが最適。重くくらいシドンのタッチが、深く沈み込んでいく「スクリャービンの思索」を暗示する。後期ソナタでの色合いは、他のCDでは聴けない。 技巧は全く不足が無く、「弾けている」。

 資料的価値は最高! 変ホ短調ソナタ(1889) は、過去2枚しかCDが発売されていないと思うが、世界初録音がこれであった。シドンは

変ホ短調ソナタ(1889)世界初出版楽譜 の 共同補筆者 & 校訂者!



であり、世界で最も スクリャービン変ホ短調ソナタ(1889) を熟知しているピアニスト!
 アムランに含まれている単一楽章ソナタとして作曲された「幻想曲ロ短調 作品28」や、若き日の生前未出版の「ソナタ 嬰ト短調(1886)」も収録されていて、史上最大曲数収録盤でもある。
 使用ピアノは、おそらくベーゼンドルファー。

第3位 オーストビュ (BRILLIANT 99963)





792円(税込)



  • 演奏   :☆☆☆☆
  • 資料価値:☆☆☆
  • 音質   :☆☆☆☆


1990録音。
 「廉価盤しか買わない人」には絶対のお薦めがコレ! 全曲で 800円未満!

 以前は、ノルウェイの Simax レーベルで録音発売され、今も現役盤のようである。丁寧に弾き込まれた演奏で、「おだやかに流れて行くスクリャービン」。BRILLIANTレーベル 中でも最も質の高い演奏の1つ。
 生前に出版された10曲のソナタだけの収録。現在も、楽譜は全ての版で「ソナタ全集」楽譜が、この盤の10曲だけを掲載している。嬰ト短調ソナタ(1886)も、変ホ短調ソナタ(1889)も、幻想曲ロ短調作品28 も「別の楽譜」で売られている。
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