Piano Music Japan

シューベルトピアノ曲がメインのブログ(のはず)。ピアニスト=佐伯周子 演奏会の紹介や、数々のシューベルト他の演奏会紹介等

作曲家論 : スクリャービン第9回 (No.1360)

2006-09-04 21:38:53 | 作曲・スクリャービン(1872-1915
 本日は予定を少し変更して「スクリャービン:CD批評」にする。きっと皆様のお役に立つと思うのだが。 「スクリャービン楽譜」号は少なくとも後2回は近日中に掲載する。楽譜に関しては「ポンティ盤」みたいな「スカ」を取り上げることは無いので安心してほしい。
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『正確に弾いてもスクリャービンにならない実例 = グールド』演奏を掘り下げる



 スクリャービンは「楽譜の通り」に弾いても、「スクリャービンらしく」聴こえない。 これは断言する。 「断言できるのか?」と問い糺されればはっきり返答できる。「断言できる」 グールド が身を張って実証してくれたからだ!

グールド スクリャービン(SONY SM2K52622 )





2,008円(税込)



  • 演奏   :☆☆☆
  • 資料価値:☆☆☆☆
  • 音質   :☆☆☆


(スクリャービンソナタ)1968,1970年録音。
 う~ん、グールドは大好きなピアニストであり、紹介したいのだが、この2枚組CDは「メインはショパン」なんだよね(泣

  1. バッハ
  2. モーツァルト
  3. ベートーヴェン

の3名の作曲家は(もちろん大反論があることはわかっているが)、私高本は高く評価するピアニストである。
 ・・・で、何が原因かは全くわからないのだが、グールドは「スクリャービンが好き」だったことは間違いない。 有名な「バッハ :ゴルトベルク変奏曲 新録音」の後には「スクリャービン ピアノソナタ全集」が企画されていたことがほぼ断定されているのである!!!

 ・・・で、その演奏だが、「これがスクリャービン???」と疑問符を誰もが付ける演奏。 ソナタ5番は、「グールド自身が楽曲解説」しているほどの入れ込みようだが、演奏は「変」である。何故か?


  1. 細かく正確に弾くために「テンポが遅過ぎ」
  2. ペダリングは薄過ぎ & 足りな過ぎ
  3. 解釈が「形式に頼り過ぎ」
  4. 結果として、乾き過ぎた「音質」になっている

である。

 グールドは 素晴らしいピアニスト である。 代表作「バッハ : ゴルトベルク変奏曲」であれば、4回の録音全てが素晴らしい!
  • 第2回 : 1955年盤 → CBSデビュー盤
  • 第3回 : 1959年版 → ザルツブルク音楽祭ライブ盤
  • 第4回 : 1981年版 → CBS再録音盤

の3種類は、どれもが根強いファンがいるほど、全てが「史上の名演」盤である。
 う~ん、そんなグールドが遺したスクリャービン演奏は、「スクリャービンらしさ」が全く存在しないのである。

グールドは「形式尊重の作曲家で最高の演奏をする」ピアニスト


である。信じられない人は、これを聴いてほしい。

グールド「ゴルトベルク変奏曲」第4回録音(最終録音)DVD (SONY 9048424)





3,100円(税込)



  • 演奏   :☆☆☆☆☆
  • 資料価値:☆☆☆☆☆
  • 音質   :☆☆☆☆


1981年録音。
 これを聴いて何も感じない(反撥を感じても違うぞ!)人は「バッハピアノ演奏」を避けた方が無難である。 「聴いてははっきりしない」人には、このDVDをお薦め。これが「グールドの目指していた世界の最後」と思われる。 バッハ:平均律全曲の画像は残っていないようだ。「グールドのバッハ」の画像の最終回がこれだ!
 バッハ でうまく効果を発揮している手法が、スクリャービン では全く「裏目」に出ていることがはっきりと感じ取れることだろう。
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