Piano Music Japan

シューベルトピアノ曲がメインのブログ(のはず)。ピアニスト=佐伯周子 演奏会の紹介や、数々のシューベルト他の演奏会紹介等

2012.10.28 インバル指揮都響:マーラー交響曲第3番 批評(No.2154)

2012-10-28 23:29:01 | 批評

『マーラーのデモーニッシュな力』を見事に惹き出した インバル+都響 交響曲第3番!


  インバル + 都響「マーラー:交響曲全曲演奏会」も第3番まで来た。第1番「巨人」、第2番「復活」を「鳴らす」で押し通して来た インバル だが、第3番は一転して「響かせる」に転じた。

インバル と 都響 の「息遣い」がはっきり密になった


第3番では、第1、第3、第6楽章 にピークを作り、第2、第4、第5楽章 は控えめ


だった。

最も良くなっていたのが、フォルティシモ方向を『響かせる』に変えた


である。さらに

ピアニッシモ方向での「楽器間の受け渡し」が抜群に良くなった


ことを明記して置く。
 インバル の構想力は、交響曲第3番では優れており、第1楽章のリズミックな中の「おどけ」が外に向けて発散しまくって開始され、声楽が入る 第4楽章 が「内向きに思索」する。池田香織の歌唱も素晴らしかった。女声合唱38名 + 少年合唱30名 は、第2番「復活」よりも小型であったが、第3番では声楽を響かせることを優先し、オケを被せることはしなかった。特に素晴らしかったのは、終楽章=第6楽章。

緊張感高いピアニッシモで開始され、パート間の旋律線が微妙に絡み合わせながら、延々と持続してして、最後のクライマックスに到達する「マーラー設計図」通りの演奏となった!


 言うは易し、行うは難し。パート同士も緊張感を持ち「聴き合って」の演奏だった。都響でこれだけ緊密な演奏は、最近では初めてである。


 終演後の聴衆の熱狂もこれまでに無いほど! 割れんばかりの拍手とブラヴォーの嵐は延々と続き、拍手は客電全開になっても、オケも合唱も袖に引っ込んでも鳴り止まない。ついに、インバル が出てきて、「参賀」は終わった。

インバルが「巨匠」になった瞬間


に感じる次第である。第4番以降も第3番と同じ水準の演奏を聴かせてほしいばかりである。
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