Piano Music Japan

シューベルトピアノ曲がメインのブログ(のはず)。ピアニスト=佐伯周子 演奏会の紹介や、数々のシューベルト他の演奏会紹介等

スメタナ「チェコ舞曲第2集」(No.1812)

2011-03-24 21:34:58 | 作曲家・スメタナ(1824-1884)

なぜスメタナ「チェコ舞曲集第2集」は演奏頻度が極端に低いのか?


  『スメタナ4大名曲』の1つであるにも関わらず、「売られた花嫁」「わが祖国」「弦楽四重奏曲第1番」に比べても、ほとんどと言うよりも「全く」演奏されない理由を直言する。ご覧になって「よーし、チェコ舞曲集第2集を私も弾くぞ!」と言うピアニストが1名でも出てきてくれることを祈るばかりである。

  1. 楽譜が入手し辛い


      佐伯周子に「チェコ舞曲集第2集の原典版楽譜買って来て!」と言われて、多摩川を越えて東京に楽譜買いだしに行った時のことだ。銀座の有名楽譜店2店とも品切れ。本郷の有名輸入楽譜店では「新版品切れ、旧版在庫」の状態だった。事前にインターネットで版の新旧を確認してあったので、一瞬買おうか? と迷ったが、表参道の楽譜店に行った。1冊新版(2007)があったので即買った。東京でこの状態なので、川崎で買えるわけないだろう。横浜(日本第2の人口の都市)でも無理だろうな(泣

  2. 原典版楽譜なのに「校訂者」の意見が押し付けがましく押し出されている


      基本的には2011年現在2種類の楽譜しか流通していない。「ベーレンライタープラハ新版」(2007)と「スプラフォン旧版」とそのリプリント版(米マスターミュージック版)である。「ベーレンライタープラハ = 旧スプラフォン」なので、同系統の楽譜であり、印刷の鮮明さなどを除くと、(詳細を調べていないので断言はできないが)差の小さい楽譜である。新版も旧版も原典版楽譜なのだが、シューベルトやモーツァルトの原典版楽譜を見慣れている私高本の眼からすると、信じられないほど多量の「校訂者書き込み」が『楽譜上に直接書き込まれている』のが特徴。スメタナが「ff持続」と指示している箇所で(ピアニストの負担を軽くするためか)「f に落とせ」の指示が何回出てきたことか! 無用なペダル指示もあまりに多い。これが原典版楽譜と言えるかどうかは私高本は判断する立場に無いが、シューベルトやモーツァルトの原典版楽譜とは「全く異なる風景」が書かれていることだけは間違いない。

  3. 「決定的名演」録音が存在しない


      「シューベルト後期のブレンデル」とか「ショパンエチュードのポリーニ」のような「模範演奏」がどこにも存在しない。私高本は3種類の2011年現在カタログ上で生きている「チェコ舞曲集第2集全曲録音盤」3種類全部持っており聴いているが、どれもがスメタナの意図通りには演奏していない。「ピアニズムの難所ではピアニストの技巧水準まで下げての演奏」になっている。このCD聴いては演奏意欲は湧かない。私高本は少なくとも全く湧かない。佐伯周子 の楽譜の読みの深さには感心するばかりだ!

  4. リスト並みの超絶技巧を要求される


      リストのピアノ曲、と言っても「愛の夢」第3番とかではない。「超絶技巧練習曲」とか「ロ短調ソナタ」とか「巡礼の年」とかの超絶技巧を要求される。特に「声部進行の明確さ」。「縦の線」よりも「横の線」の方が大事な作品なのだが、多くの演奏(モラヴェッツ以外は全てかも知れない)では、声部進行はほとんど聞こえない。リスト作品のCDカタログでは見たことないピアニストだからだろうか? リストでこんな「ベタッ」とした演奏したら、評判にならないぞ! あぁ、だから「チェコ舞曲集第2集」CDは評判になっていないのか、、、

  5. 全曲が長く、プログラムの半分以上を占めてしまう


      これは「演奏会プロデューサー」としては最も困るところ。「チェコ舞曲集第2集」全10曲を演奏してしまうと、残りの半分弱の印象が弱くなってしまうのだ。バッハでもベートーヴェンでもショパンでも。こうなると「マーラー交響曲第3番」のように、1曲でプログラム全部を占有してくれた方がむしろありがたい。ブルックナー交響曲の第1番とか第6番がこのパターンで演奏頻度が低い。

 名曲であるにも関わらず、これだけ困難がある曲を弾いてくれる佐伯周子には感謝するばかりである。尚、今日も3本「3/28の佐伯周子リサイタルは実施しますか?」の電話を頂戴したが、上演します。18:30開場、18:45プレトーク、19:00開演です。当日券あります。(尚、暖房を節電のため弱くしますので、寒がりな方はマフラーやコートを着たまま聴いて下さい。お願いします。)
コメント (1)
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