パンダ イン・マイ・ライフ

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音楽と本、そしてちょっとグルメなナチュラルエッセイ

星海社の『武器としての決断思考』

2012-01-09 | book
「もっと早くに出会えていればなあ」と思わせるのが、瀧本哲史の『武器としての決断思考』だ。新書で2011年9月発刊。

大学の講義をわかりやすく、7時間という章立て構成している。その章の最後にそれぞれのまとめが一覧にしてある。講義形式はこういうスタイルが多い。社会に出る前の若い人へ、決断することの大事さを解き、そのためには、どういう思考が必要かが述べられている。

日本の学校では、いわゆる雑学的な知識は教えるが、考える力は教えない。○○するか、否か。人生の岐路や日々の暮らしの中で決断を迫れれる。決断するために、その選択肢のどちらのメリット・デメリットを考え、そのどちらにも突っ込みを入れてみろと瀧本はいう。

突込みには、情報収集が欠かせない。いわゆるディベートのやり方なのだが、それは相手をやりこめる手段ではなく、第三者に判断してもらうための提案合戦なのだ。もちろん、この判断は、正解ではなく最善策でしかない。しかし、「また、今度話しましょう」「決まらないのでこのままに」といったシーンが多い日常で、ほんとうにこの思考は新鮮だ。そして、この思考には「なぜか」の発想と、突っ込みを入れるための多くの情報が必要になる。この感性があるかどうか、そしてこの労力をどう考えるかが鍵なのだ。

世界を視野に入れたグローバル経済、過密と過疎、少子社会、超高齢社会の中で、さまざまな事件事故が多発する現代において、生き抜くには、この思考は若者だけではなく、大人にも必要なのだとつくづく考えさせられた1冊。

この発行は、「さおだけ屋はなぜ・・・」で有名になった編集者、柿内芳文が起こした星海社だ。柿内は1978年生まれ、33歳。武器としての教養をコンセプトに次世代を切り開く力をもたらしたいという。

9日は成人の日。若人の集いは、ある意味、年上の人々の生き方を問う日でもある。
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