毎月 × 1程度のお楽しみ、MET ライブ・ビューイング 。
アメリカNYにある代表的オペラハウス、ニューヨーク・メトロポリタン歌劇場(MET)のライブ・ビューイング。
最新のオペラ公演を、高品質のHD映像と最新の音響で収録し、映画館で上映、というシリーズ。
既に満10年(2006年〜)
今回のお題は、フィンランド人のサアリアホが作曲した、はるかな愛 L'amour de Loin(2000)
その音楽、出演陣なども良かったが、当ブログは「演出」にフォーカスしたい。
というのは、今回の演出担当が、ワグナーの「リング」4部作の斬新な演出を担当したロベール・ルパージュ(Robert Lepage)だからだ!
ロベール・ルパージュは、ケベック出身の演出家で、アエラの表紙(2006/04/17号)にもなるくらいの有名人。
最も有名なのは、ラスベガスでのシルク・ド・ソレイユ「KA」の驚異の舞台演出。
前回は見逃したが、その前の公演「アンデルセン・プロジェクト」(当ブログ 2006/06/04アップ)では、3次元を有効に組み合わせた構成で、さすが!と思わせた。
一度モントリオールで、彼のスタジオ兼オフィスを見学(当ブログ 2006/05/17アップ)したことも。
オペラ演出では、ワグナー「リング」4部作のルパージュ演出を、当ブログは「21世紀のリング」と褒め讃えている。
「マシン」と呼ばれる45トンの映像も映し出す巨大装置を、最新の技術を使って縦横無尽に展開。
ワルキューレたちが闘いによる死者の中から魂をよりすぐる設定なので「残酷」サイドにどうやってもこぼれがち。
舞台をシンプルにすることで、逆に見えてくるドラマもあるのだ。
ここが21世紀的で、新しいと考えている。
さて、はるかな愛 L'amour de Loin(2000)
今回も過去みたことのないような、斬新な演出!(写真)
LEDを敷き詰めたオビが、ステージ全体に張り巡らせられ、その一個一個がそれぞれの光を放つ。
物語が「海」で展開される内容なので、海の様々な表情をみせていく。
例えば、夕方の陽に照らされる 黄金の海、夜の海、荒海、etc…
シルク・ドゥ・ソレイユのテントものでの演出も良いが、劇場で予算をかけた演出はやはり一味違う!
前半だけでこの海を堪能しきったと思っていたら、後半冒頭でも新たな手を出され、さらに驚かされる。
観てのお楽しみだが、リング4部作のオープニングとエンディングのような詩情を感じさせる、とだけは言っておこう!
残念ながら、この公開は今週金曜まで。
出口を出る時、なぜかまぶしく、これまでになく素晴らしい場所のようにいつも思える(笑)
というくらい、入場料(3600円)の価値はあると断言したい!