アル・ゴアのアップが多用、まるでプロモーション・ビデオのようだった映画「不都合な真実」の反動で読み始めた、ロンボルグ「環境危機をあおってはいけない 地球環境のホントの実態」。
この人はもともとグリーンピースで統計学者。こういう人が自分で再確認した地球環境問題。
環境危機の様々な側面、食料、福祉、寿命、エネルギー、水、化学物質 etc...を検証しながら、最後のトリの第24章が「地球温暖化」。
天変地異と地球温暖化はホントに関連があるかなど、読み応えアリ。
ここでは全体の論旨は置いておいて、ゴアへの反論という点に集中しますと、この「地球温暖化」の次、最終章「窮地なのか、進歩なのか?」の頭、p.533~の5ページで直接の批判を展開しています。
この5ページを読むだけでも、映画を鑑賞した場合の中和剤になるかと思います。
だいたいどこの図書館にもこの本はありますので、映画をご覧になった方は読んでみてはいかがでしょうか?
もちろん、この本でも決して地球温暖化を軽んじているのでは全くなく、いかに正確にデータを収集し提示することが非常に重要で、コストの概念を抜きにして環境問題は語れず、最適配分をどう行なうかが重要であるとしています。
その視点からすると、ゴアの主張は 現在の人類の成長を頭から否定するという「定番」的な「神話」=「機能不全の文化」という批判を展開し、文化的否定論者の仲間入りしてしまっていると指摘しています。
この本でもふれていますが、「環境」を語ることはやや「宗教」っぽいところも出てきたしまうので要注意です。
このような微妙なトピックを、あのように配慮のない映像で綴った映画にしたり、今度は大々的なコンサート(これも世の中にある程度のうねりは創れるものの、政治・宗教的なモノ・コトへの注意が必要な仕掛け)までやらかしそうという点で、ゴア氏にはどうしても「?」がついてしまいます。
ついゴア大王!、とかおちょくりたくなってしまいます.....
一方、この本は発行が2003年6月なので、その点のフォローは必要で、各々のデータの最新版も含めた議論ができたらなとは思います。
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