正直「ヘヴィ・メタル」に対し、「アーティスト」とはあまりいいたくない自分が昨日まではいた。
が、映画終了までには、そんな気持ちは完全に消失していた。
この映画は、80年代に頭角を現した「ヘヴィ・メタル」バンド、アンヴィル ANVIL の現在を追ったドキュメンタリー。
冒頭で、90年代に成功したバンドのメンバーたち(メタリカ、ガンズ他)から、このアンヴィルの影響力が語られる。
一方で、バンドをリードするメンバー、リップスがやっているのは地味な給食サービスの仕事。
ツアーに行っても全く収入にはならず、CDを出そうとしてもどこにも相手にされず、ついには自費出版に追い込まれる。
一方で、熱狂的に追いかけてくれるファンがいたりする、なんたって30年の蓄積があるから。
ので、彼らも辞められない。
だいたい「音楽する」ことが彼らの生き甲斐だから!
この自分の表現を追い求めるリップスの姿がとても「素直」でいじましい。
自分のファンに紹介され、一時は通販の売り込みコール・センターの仕事にもつくが、信じるものを裏切ってまで、人に物を押し付けられない自分に気付く。
「アーティスト」とは、純粋に自分の作品を追い求めて昇華していくことで、尊敬される。
そういう姿が美しいし、その結果、彼の活動をサポートする周囲がいて、売れずとも「素晴らしい人生」にみえてくる。
最後に冷静になっていくつか。。。。
「ヘヴィ・メタル」という様式ジャンルを超えて(時代にあわせるという意味ではなく)、クリエイトする柔軟性を持っても良かったのでは?
あるいは21世紀に入ったのだから、様式は変えずとも、やり方をかえてみてもいいのでは?
アンヴィルには30年蓄積された一定の数のファンがいるのだから、彼らをネット活用で組織化していくことで、もう少しスムーズにいくように思う。
結論:これだけいろいろ想いを廻らせることができる「音楽映画」は貴重。
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