サブタイトル~電脳郊外が“あなた”を変える はあまり好きになれない。
本を読み通しても、その気持ちは変わらなかった。
どう考えても、「郊外」という言葉がフィットしていないと思ったからだ。
本の中でもふれているように、せいぜい「仲間」という感じだ。
原著のカバー(写真)をみても、そんなイメージは全くわいてこない。
(もちろん、言葉としてはsuburbia 「郊外」のもじりではあるものの)
と書くと、この本をけなしているかのようだが、そういうことではない(笑)
特に強いインパクトを受けたのは前半の第2章~4章。
2章で強く印象に残ったのが、1960年代のヒッピー・ムーブメント、コミューンの中から生まれた「ホールアースカタログ」
恥ずかしながら、このWhole Earth Catalog ホールアースカタログの存在を初めて知った。
スティーブン・ジョブスのあの有名な「Stay hungry. Stay foolish.」スピーチの中でも 彼のルーツとして多く語られている。
のだが、スルーしてしまっていた。。。。
と言うより!
その言葉さえ、ジョブスはホールアースカタログ最終号から引用していたのだった。
その演説の映像を改めてチェックして驚いた。。。。
本より引用すると、
「ホールアースカタログ」の基本的価値は、仲間(ビア)、つまり対等の人々が集まるコミューンに参加し、連続的な「情報ループ」を通じて情報を交換すること。
(つまり、まるで現在のネットに近い!)
興味深いのは、この「情報ループ」には「政治色」は一切取り込まれなかったこと。
その理由は、そうなった瞬間に「読者に高見から指図をするようなことに陥る」と編集者が判断していたという点だ。
(コミューンで流通していたということから、政治色はつくのは簡単なはずなのに=編集方針)
3章では、サイバネティックスの提唱者の1人、マクルーハンが登場。
先週日曜の朝日新聞の書評「グーテンベルグからグーグル」(これも早々に読もう)でふれているが、新しい書物の形態を「電子本」と呼ぶならば、これまでの本は「印刷本」と呼ばれるようになるだろう、という指摘は非常に刺激的だった。
が、彼はグーテンベルグに関して記述した本も含め、現在そしてこれから起ころうとしていることを見通していたかのよう。
「さまざまなものが電子化され、工業を機会に頼った工業生産の時代から電気回路の時代に移ったことで、
しだいに世の中の人々に結びつきが生まれ、ついにはこれまで考えられなかった方法で人類がひとつにまとまる」
最近のブログ関連のネット系のコミュニケーションの可能性を予見したというのは凄いことだ。
たかが(といわせていただく)twitterでさえ、手探りで実行しているが、その先のビジョンを示すのは厳しい。
いろいろな角度のヒントを得られたという点で、この本をお勧めしたい!
| Trackback ( 0 )
|