日々 是 変化ナリ ~ DAYS OF STRUGGLE ~
このプラットフォーム上で思いついた企画を実行、仮説・検証を行う場。基本ロジック=整理・ソートすることで面白さが増大・拡大
 






8年前からはじまった、NYにあるアメリカの代表的オペラハウス、ニューヨーク・メトロポリタン歌劇場(MET)のライブ・ビューイング。
最新のオペラ公演を、高品質のHD映像と最新の音響で収録し、映画館で上映、というシリーズ。
9年目に突入!

このシリーズの素晴らしい点として、
1.適切な「字幕が出ること」で、過去になく自然にストーリーに入り込む事が可能になった。
2. 歌い手にカメラが寄ることで、実際のライブよりも、更に迫力ある体験となる。
この結果、本当にNYメトロポリタン歌劇場で体験したような、いや!それ以上のそういう高揚感に酔うことができる。


今回は、フィガロの結婚。
9年目にして、初めての登場となる マスターピース。
で、これが そうとう凄い!


何が凄いか。

その1. ジェームズ・レヴァインの指揮が凄い。
METだけで、75回目の指揮。
本人もインタビューで語っていたが、振れば振るほどより深い解釈が可能に。
長時間に渡る作品なので、全てに気が行き届いた演奏は難しいはず。
ところが今回の演奏は 細かいところまで、一音一音に至るまでがパーフェクトに近い。
これだけで既に聴き惚れてしまう!
ラスト近くのフィガロが観客に語りかける独唱をはじめ。沢山の気付きを与えられた。



その2. 出演陣の充実
いつものこととはいえ、歌手たちの歌唱・演技のレベルが全員ハイレベル(とその音声を生かす音響の分離)

特にいいな思ったのは、オイシイ役とはいえ、コシに続いての出演、イザベル・レナード。
いかにも男の子っぽい演技で、とてもチャーミングなケルビーノ!

だけでなく、奇知に富むフィガロを上手に演じる、イルダール・アブドラザコフ。
また伯爵役の ペーター・マッテイ の正確な歌唱、それらしい気品も印象に残った。

一方で強いて言えば、伯爵夫人役のアマンダ・マジェスキーは、やや気品に欠ける?
それは歌唱時に声を出す方に意識が偏ってしまうことで、表情の演技がお留守になってしまう。
オペラはかように難しい!(とも言えるし、周りの凄さから言えば、METデビューとしてはokか?)



その3. セットの工夫もあいまった、演出のキレ、が凄い
冒頭に、演出を担当するリチャード・エア本人から説明があるが、今作品ならではの瞬間的なシーンの変化。
ここをいかに上手にみせるかが、「フィガロの結婚」の演出の重要ポイント。
ヒトが隠れたり出現したり、場面の切替えが他のオペラにはありえないくらい、ひんぱんにある(写真)
これを回転セットでクリアーするとともに、そのセットを利用したキレのいい演出で、シーンの納得感を高める。
レヴァインの優れた音楽解釈に加え、リチャード・エアも能力を120%発揮したか!という印象。


結論:
シーズン2作目にして早くも、今シーズンのベストか? と思えてしまう出来。
あまりの余韻にいつまでも浸ってしまい、帰りはiTunesなしで、家に辿り着いた。

こうなってしまうと、この作品を、もう一度体験しないわけには、いかない...
いつ時間を作り、再体験できるかなあ…

今週金曜までの上映。

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