日々 是 変化ナリ ~ DAYS OF STRUGGLE ~
このプラットフォーム上で思いついた企画を実行、仮説・検証を行う場。基本ロジック=整理・ソートすることで面白さが増大・拡大
 






冒頭のエピソードからして、すこぶる面白い。
リーマンショック後2010年 5月 6日に発生した「フラッシュ・クラッシュ」事件。
何の理由もなく、世界の株式市場がほんの数分の間に一気に下落、新記録をたたき出し、数分後には急上昇。
どこかのシステムのアルゴリズムが狂ったのだろうとされているが、そういう状況は正に本のタイトルに重なる=アルゴリズムが世界を支配する

そして第1章に入ると、ある苦労人ハッカーが1970年代に仮説から始めた証券業界での「初」アルゴリズム導入の苦闘。
この第1章だけで元を取った気分になるくらい面白い!
めずらしくこの章だけで読後評ならぬ読中評(前)をかこうと思ったくらい。


その後、アルゴリズムの歴史を数世紀前から俯瞰したあと、様々な世界に広がったアルゴリズムを次々と紹介していく。

ヒット曲を掘り当てるアルゴリズム、同様に映画ヒットの予測アルゴリズム、など
ビートルズ「ハードデイズナイト」の印取り1発ジャーン!のコードを探るボールとジョンの作曲特徴を分析するアルゴリズム(笑)
あるいは、ギャンブル予測、チェス勝利プログラム、NASAに採用された宇宙飛行チーム編成最適化プログラム、が登場する。


ただし話の中心はやはり証券業界。
第1章に続き第4章では、単なるアルリズムを組むのではなく、市場間の差の情報を利用しようという試み。
わすか1000分の3秒早く掴みアルゴリズムをまわすために、シカゴーNY間に光ケーブルを直線距離で埋設し、成功する企業が登場。

そして本のラストももやはり証券業界。
だが、ここは最後にやや救いがある終わり方となって、ちょっとホッとする。
アルゴリズム中心主義に陥った証券業界は、採用リクルートで他業界を圧倒する高給で根こそぎアルゴリズムを組める学生をもぎ取っていた。
さすがに転機が訪れる。
それはもちろんリーマンショック、そして続いてフェイスブックなどのSNSの登場で決定打となる。
ここで学生たちの流れが一気に変わるのだ = お金ありきではなく、世の中を変えような風潮
とはいえ、アルゴリズムが良くも悪くも我々の生活周辺にも忍び寄ってきたわけだが...


作者のクリストファー・スタイナー氏は元々プログラマで起業もし、その後技術ライターに転じた方だそう。
なので、技術に強いことで湛然なインタビューからこの本を紡ぎ出しており、好感が持てた。
新年早々、刺激的な読書に!

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