〈 経済産業省の本気度 ? 〉
前回『中間評価報告書』の中から、過去5年間の事業に使われた金額データを紹介しました。
データは資源エネルギー庁資源・燃料部資源開発課が提供したものですが、数字はこれ以外にも次のように出ています。
・2002 ( 平成14 ) 年度から2018 ( 平成30 )年度までの16年間の予算額、235億円
平成14年と言えば、小泉内閣の時代です。経済産業省が本格的に取り組んだのは平成27年の「COP21・パリ会議」以後ですが、金額のデータは小泉内閣の頃から整理していました。
実際に使った金額は不明ですが、16年間で235億円。年額にすると、約15億円です。緊縮財政派の財務省を相手にしていると言っても、この数字では経済産業省の本気度が見えません。
2020 ( 令和2 )年にロシアの記者がシベリアのツンドラ地帯で、メタンハイドレートのメタンが爆発したできたと思われる巨大クレーターを発見したというニュースが、大きく報道されています。
今後の「メタンハイドレート」事業に新たな難題を提起するものと説明されていますが、経済産業省のプロジェクトに参加している学者は、2014 ( 平成26 )年の段階で、ロシア石油ガス研究所から情報を得ていたようです。
従って『中間評価報告書』の中で問題点として取り上げられ、次のように首相に報告されていました。
〈 三次元地震探査の準備・実施・解析 〉
・三次元地震探査等による有望濃集帯候補の抽出と、試掘によるデータ取得により原始資源量・貯留層性状等が把握されること。
・現在は一部達成 2025( 令和7 ) 年度に目標達成 予定
〈 環境影響評価手法の研究 〉
・表層型メタンハイドレートの海洋産出試験等が、海洋環境に及ぼす潜在的な影響の度合いや、その時空間スケールを事前に予測する環境影響評価技術の構築に向け、メタンハイドレート賦存海域の物理・化学及び生物学的特性に関する知見とデータを蓄積する
・現在は一部達成 2025( 令和7 ) 年度に目標達成 予定
問題点の大きさと緊急性を考えますと、同省の報告には緊張感が足りません。この言葉が繰り返されるだけですから、青山繁晴氏が批判したくなる気持が理解できます。
経済産業省が国家プロジェクトを進めている組織は、「国と三者のコンソーシアム体制」と呼ばれています。
国とは経済産業省だけでなく、外務省、環境省、文部科学省などの関係省庁で、コンソーシアムの下記3者が、国の委託を受けて業務を遂行します。
独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構
国立研究開発法人産業技術総合研究所
日本メタンハイドレート調査株式会社
地震探査、海洋環境変化探査のためには、海底ロボットだけでなく、深海底での大掛かりな作業設備、新たな仕様の海洋調査船の建造などが上げられますが、同省の立てた予算は役に立ちません。
これまで経済産業省を新たな観点から眺め、酷評するのをやめていましたが、ここまで検討を進めますと考えが変わります。
次回は「戦後レジームからの脱却」を掲げる安倍首相が、「自前資源の開発」の国益のためどのような決断をしたかについて報告いたします。