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ねこ庭の独り言

ちいさな猫庭で、風にそよぐ雑草の繰り言

メタンハイドレート問題 - 11 ( 経済産業省の本気度 ? )

2025-03-16 14:47:00 | 徒然の記

 〈 経済産業省の本気度 ? 〉

 前回『中間評価報告書』の中から、過去5年間の事業に使われた金額データを紹介しました。

 データは資源エネルギー庁資源・燃料部資源開発課が提供したものですが、数字はこれ以外にも次のように出ています。

  ・2002 ( 平成14 ) 年度から2018 ( 平成30 )年度までの16年間の予算額、235億円

 平成14年と言えば、小泉内閣の時代です。経済産業省が本格的に取り組んだのは平成27年の「COP21・パリ会議」以後ですが、金額のデータは小泉内閣の頃から整理していました。
 
 実際に使った金額は不明ですが、16年間で235億円。年額にすると、約15億円です。緊縮財政派の財務省を相手にしていると言っても、この数字では経済産業省の本気度が見えません。
 
 2020 ( 令和2 )年にロシアの記者がシベリアのツンドラ地帯で、メタンハイドレートのメタンが爆発したできたと思われる巨大クレーターを発見したというニュースが、大きく報道されています。
 
 今後の「メタンハイドレート」事業に新たな難題を提起するものと説明されていますが、経済産業省のプロジェクトに参加している学者は、2014 ( 平成26 )年の段階で、ロシア石油ガス研究所から情報を得ていたようです。
 
 従って『中間評価報告書』の中で問題点として取り上げられ、次のように首相に報告されていました。
 
 〈 三次元地震探査の準備・実施・解析 〉
 
  ・三次元地震探査等による有望濃集帯候補の抽出と、試掘によるデータ取得により原始資源量・貯留層性状等が把握されること。

     ・現在は一部達成 2025( 令和7 ) 年度に目標達成 予定

 〈 環境影響評価手法の研究 〉

  ・表層型メタンハイドレートの海洋産出試験等が、海洋環境に及ぼす潜在的な影響の度合いや、その時空間スケールを事前に予測する環境影響評価技術の構築に向け、メタンハイドレート賦存海域の物理・化学及び生物学的特性に関する知見とデータを蓄積する

       ・現在は一部達成 2025( 令和7 ) 年度に目標達成 予定

 問題点の大きさと緊急性を考えますと、同省の報告には緊張感が足りません。この言葉が繰り返されるだけですから、青山繁晴氏が批判したくなる気持が理解できます。

 経済産業省が国家プロジェクトを進めている組織は、「国と三者のコンソーシアム体制」と呼ばれています。

  国とは経済産業省だけでなく、外務省、環境省、文部科学省などの関係省庁で、コンソーシアムの下記3者が、国の委託を受けて業務を遂行します。

      独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構

   国立研究開発法人産業技術総合研究所
 
      日本メタンハイドレート調査株式会社
 
 地震探査、海洋環境変化探査のためには、海底ロボットだけでなく、深海底での大掛かりな作業設備、新たな仕様の海洋調査船の建造などが上げられますが、同省の立てた予算は役に立ちません。
 
 これまで経済産業省を新たな観点から眺め、酷評するのをやめていましたが、ここまで検討を進めますと考えが変わります。
 
 次回は「戦後レジームからの脱却」を掲げる安倍首相が、「自前資源の開発」の国益のためどのような決断をしたかについて報告いたします。
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メタンハイドレート問題 - 10 ( 経済産業省の意見 ( 『中間評価報告書』 )

2025-03-16 09:39:28 | 徒然の記

 〈 経済産業省の意見 〉 (『中間評価報告書』) 令和6 (2024) 年8月

 「はじめに」

 ・研究開発の評価は、研究開発活動の効率化・活性化、優れた成果の獲得や社会・経済への還元等 を図るとともに、国民に対して説明責任を果たすために、極めて重要な活動であり、このため、経 済産業省では、「国の研究開発評価に関する大綱的指針」(平成28年12月21日、内閣総理大 臣決定)等に沿った適切な評価を実施すべく「経済産業省研究開発評価指針」(令和4年10月改 正)を定め、これに基づいて研究開発の評価を実施している。

 最初に『報告書』が作成されたのが平成28年で、「COP21・パリ会議」の翌年ですから、安倍首相に提出されていたことが分かります。

 元首相が暗殺されたのが令和4年7月なので、この『中間報告書』は岸田首相に提出されていることになります。民主党のバイデン政権は「石油スーパーメジャー」と「巨大国際金融資本」に支配されており、岸田首相は大統領の言いなりなので、経済産業省は伸び伸びと意見を述べているような気がします。

 ・経済産業省において実施している「国内石油天然ガス地質調査・メタンハイドレート研究開発等 事業」は、日本周辺海域に相当量の賦存が期待されるメタンハイドレートについて、我が国のエネ ルギー安定供給に資する重要なエネルギー資源として、将来の商業生産を可能とするための技術開発を 2002 年度から実施しているものである。

 2002年度から実施し12年が経過しているのに、具体的なことを述べていません。切れ目のない長い文章が続くだけで、中身がありません。「ねこ庭」は、別途平成31年の『中間報告書』に目を通しましたが、似たような書きぶりでした。

 ・今般、省外の評価者から本事業に係る事業実施の意義・アウトカム ( 社会実装 ) 達成までの道筋・目標達成状況・マネジメントの妥当性について経済産業省研究開発評価指針に基づく標準的評価項目・評価基準を踏まえて評価いただき、その評価結果としてとりまとめられた「メタンハイド レート研究開発事業 中間評価報告書」の原案について、産業構造審議会 イノベーション・環境分 科会 イノベーション小委員会 評価ワーキンググループ ( 座長:鈴木 潤 政策研究大学院大学教 授 ) において審議し、了承した。

 ・本書は、これらの評価結果を取りまとめたものである。

 以上「はじめに」の意見を紹介しましたが、「メタンハイドレート」開発事業がうまく進んでいるのか、問題点がどこにあるのか、肝心のことが書かれていません。

   ・「経済産業省研究開発評価指針」( 令和4年10月改 正 ) を定め、これに基づいて研究開発の評価を実施している。
 
  ・商業生産を可能とするための技術開発を 2002 年度から実施している
 
  ・評価基準を踏まえて評価いただき、その評価結果としてとりまとめた
 
  ・審議し、了承した。
 
 12年費やしている巨大国家プロジェクトですから、実行したことを大小合わせて列挙すれば、いくらでも報告書が埋まります。同省の本気度を見るのは、やはり投入した金額ではないでしょうか。
 
 添付されている「メタンハイドレートの研究開発事業 中間評価 補足説明資料」の中に、金額の推移が書かれています。
 
       2019         2020            2021         2022         2023             
      ( 令和元年 )       ( 令和2年 )      ( 令和3年 )     ( 令和4年 )      ( 令和5年 )       合   計      単位: 億円
 
 予算額    75                   109                   115                  145                139                583
 
 実 績          41                    46                   158                  153                150               548
 
  ・メタンハイドレートの採掘時に、地震誘発や地盤沈下を引き起こすリスクも指摘されている。
 
  ・採掘時に海の環境が変わることで、生態系を乱す恐れもある。
 
 こうした地質学上の大問題が指摘されてことを考えますと、青山氏が述べているように兆円単位の研究資金投入が、研究者たちへの支援に不可欠と思えてなりません。この金額で、経済産業省の本気度が伺えるのではないでしょうか。
 
 スペースがなくなりましたので、関心のある方はどうか次回へお越しください。
コメント (2)
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