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ねこ庭の独り言

ちいさな猫庭で、風にそよぐ雑草の繰り言

メタンハイドレート問題 - 9 ( 『中間評価報告書』 )

2025-03-15 20:36:04 | 徒然の記

 〈 経済産業省の意見  ( 『中間評価報告書』 〉

 経済産業省の意見を知る資料としては、令和6 (2024) 年8月に産業構造審議会 イノベーション・環境分科会が出している『メタンハイドレート研究開発事業  中間評価報告書』があります。

 一度では読み通せない分厚い資料で、グラフや図表が沢山挿入されています。全部紹介するとしたら、4,5日かかる量です。息子たちと「ねこ庭」を訪問される方々に結論だけを言いますと、次のようになります。

  ・「国際社会協調」志向の安倍首相と、「自前資源開発」推進の安倍首相と、双方に忖度した「曖昧な報告書」になっている

 どうしてこういう「報告書」が可能になるかと言いますと、理由が二つあります。

  1.  メタンハイドレート開発上の問題点を解決するには、巨額の投資と時間を要する
  2.  財務省が予算を出し渋る
 
  1. については前回5つの問題点を紹介しましたが、調査・研究には巨額の資金が要ります。青山氏の説明では、何十兆円という予算をつけ短期間に解決する必要があると言います。これまで投入した金額は後ほど資料の中で説明しますが、毎年微々たるものです。
 
  2. については前回説明をした通り、財務省は国益よりも「財政規律」「プライマリーバランス」の順守を絶対とする最強の省庁ですから、経済産業省は抑え込まれます。
 
 1.  2. 共に日本が抱える難題なので、経済産業省はこの範囲内で最大限の努力をすれば、二つの顔を持つ安倍首相に言い訳が立ちます。
 
 おそらく『メタンハイドレート研究開発事業  中間評価報告書』は、同じ形式で毎年更新されて首相に報告されていたのでないかと思われますが、
 
 「経済産業省は、日本の国益のためこんなにも頑張っています。」
 
 という説明が、専門用語にグラフと図表が添えられて、毎年これでもかと作られていたようです。いかに複雑に作られているのかを知るため、参考までに「中間報告書」の目次部分を紹介します。
 
 〈 メタンハイドレート研究開発事   中間評価報告書 〉
            2024年8月 産業構造審議会 イノベーション・環境分科会
 
 【 本中間評価の審議経過 】
 
    ◆ 外部評価者による評価(意見聴取)  
 
     実施時期    2024年5月14日~20 日
 
     外部評価者
      荒戸 裕之 元 秋田大学大学院国際資源学研究科 教授
          大森 嘉彦 一般財団法人日本エネルギー経済研究所 理事
      岡田 修一 一般社団法人日本ガス協会 普及部 技術開発担当部長
      島 美穂子 森・濱田松本法律事務所 パートナー弁護士
      長縄 成実 秋田大学大学院国際資源学研究科 教授   ※50 音順

   ◆ 産業構造審議会 イノベーション・環境分科会 イノベーション小委員会 評価ワーキンググループ

     実施時期    2024年8月28日

     本研究開発評価に係る省内関係者

       事業担当課   資源エネルギー庁 資源・燃料部 資源開発課長 長谷川 裕也

       評価担当部署  イノベーション・環境局 研究開発課 技術評価調整官 大隅 一聡

   ◆目 次

     事業情報            ・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1

     第1章  外部評価者からの評価果      ・・・・・・・・・・・・・5

                          1. 評点法による評価結果     ・・・・・・・・・・・・・6

                          2.    評価コメント          ・・・・・・・・・・・・・・7

                          3.   評価コメントに対する対処方針・見解  ・・・・・・・・・13

     第2章 評価ワーキンググループの所見と その対処方針      ・・・・・・17

     第3章 評価対象事業に係る資料             ・・・・・・・・ ・・・・・・23

 「中間報告書」の書き出しに「はじめに」という項目があり、ここに同省の考えが述べられています。次回は、これを省略せずに紹介します。

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メタンハイドレート問題 - 8 ( 知恵を絞った経済産業省 ? )

2025-03-15 12:31:35 | 徒然の記

 青山氏の【ぼくらの国会】だけを見ていますと、経済産業省が「自前資源開発」を妨害する張本人と思えてきます。

 しかし「COP21 パリ会議」以後の世界的な動きと、高揚している関係省庁を知ると、主管の経済産業省が果たして同調せずにおれただろうかという疑問が出てきます。

 欧米諸国が「脱炭素」「再生エネルギー」「地球を守れ ! 」と叫んでいる時、安倍首相も参加した国際会議に賛成するなという方が、無理ではなかったのでしょうか。

 同省は、「メタンハイドレートの採掘」を強力に主張する青山氏と氏を支援する安倍首相、国際会議では国際協調の姿勢を見せている安倍首相を見て、思案に暮れたのでは無いか。

 これが現在の「ねこ庭」の視点です。

 政策上の課題について、どんな難題でも知恵を絞るのが官僚の使命です。「国際協調」と「自前資源開発の国益」を前に並べ、首相の本意がいずれにあるのか掴めなかったのでないかと、これが「ねこ庭」の新しい解釈です。

 首相に確認すれば良いと考える人がいるのかもしれませんが、恐らくそれは無理でしょう。

 「国際協調」と「自前資源開発」は国運を左右する大問題であると共に、対立している難題です。質問しても首相は答えないでしょうし、立場を考えると「忖度」する以外にない微妙な問題だったのではないでしょうか。

 息子たちと「ねこ庭」を訪問される方々に「経済産業省の意見」を紹介する前に、

 「メタンハイドレートの開発」にある問題点

 をネットで検索してみました。日付のある情報とない情報、あるいは松本教授の意見が混じっているのかもしれませんが、記載がないのでそのまま紹介します。

 〈 メタンハイドレートはなぜ採掘されないのか? 〉H25/03/22

   ・メタンハイドレートは、
   ①海底500m以上の深海に存在する、
   ②石油や天然ガスのように流動性がなく固体であるため、自噴もしない
 
   など難しい状況にあるため、海外から輸入している既存の天然ガスと比較し競争力のある価格で採掘できるかどうかが課題になっている
 
 〈 メタンハイドレートの採掘費用はいくらですか? 〉
 
  ・メタンハイドレートのメタンガス採掘コストは 1バレルあたり200ドル以上かかるのに対し、石油の採掘コストは1バレルあたり10ドルと言われており、その差は20倍
 
 〈 メタンハイドレートの埋蔵量は? 〉
 
  ・日本近海の海底地層内に相当量の存在が見込まれている。
 
  ・我が国年間天然ガス消費量の約100年分との試算
  
  ・世界では404兆m3埋蔵されているとの試算があり、これは在来型天然ガスの埋蔵量に匹敵
 
 〈 メタンハイドレートの短所は ? 〉R3/09/03
 
  ・二酸化炭素排出量の少ないメタンハイドレートだが、主成分であるメタンガスの温室効果は二酸化炭素の約20倍。

 〈 メタンハイドレートの危険性は? 〉R5/08/16

  ・採掘により大量のメタンガスが大気中に放出されれば、さらなる地球温暖化を招くリスクがある
 
  ・またメタンハイドレートの採掘時に、地震誘発や地盤沈下を引き起こすリスクも指摘されている。
 
  ・採掘時に海の環境が変わることで、生態系を乱す恐れもある。
 
 国家的重要問題になると、互いに迂闊なことが言えないのか、それとも庇いあっているのか。不思議でならないのは、これらの問題点について青山氏と経済産業省が双方とも国民へ率直な説明をしていない点です。
 
 先へ進むと見えてくるものがあるのかもしれないと、期待しながら次回を続けます。
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メタンハイドレート問題 - 7 ( 関係する他省庁の動き )

2025-03-15 09:14:28 | 徒然の記

  省  庁 ・・・ 経済産業省 国土交通省 環境省 文部科学省 外務省 厚生労働省   財務省など、

  経 済 界  ・・・ 石油各社  経団連

  研究機関 ・・・ 明治大学 :「知財機構ガスハイドレート研究所」

           日本財団 : 東京財団政策研究所

 外務省、環境省と主務官庁である経済産業省以外は、「脱炭素」「再生エネルギー開発」について特に言及していません。

 経済産業省の複雑な立場は最後に述べることにして、残る省庁は過去に検討した情報を再報告します。

 〈 国土交通省の立場 〉

  ・国土交通大臣は、親中派の公明党の大臣の指定席 ( 日本側の動きが、中国へ筒抜けか ? )

  ・尖閣諸島海域が海洋資源の宝庫と判明して以来、中国が日本の領海水域付近に掘削用タワーを設置し作業を始めた

  ・沖縄と尖閣諸島は中国の領土と言い出し、尖閣の領海を武装した公船で侵犯し、日本漁民の漁場を奪った  ( 国土交通省と外務省は「遺憾、遺憾」と呟くだけ )

  ・「メタンハイドレート」に否定的な見解を述べる、「日本財団 : 東京財団政策研究所」を所管しているのは国土交通省である (  両者は「阿吽の呼吸」の関係 )

 〈 文部科学省の立場 〉

  ・「メタンハイドレート」を含む海洋資源研究のため建造した調査船を、東京海洋大学大学等に貸与している

  ・松本良教授と青山ちはる教授は、共に同船での調査研究に参加している

  ・海洋学者、地質学者に研究の場を提供するというのが、同省の立場

  ・明治大学、東京海洋大学共に、文部科学省の管轄下にある大学

 〈 厚生労働省の立場 〉

  ・公益財団法人の行政庁として、「日本財団 : 東京財団政策研究所」と無関係ではない

 〈 財務省の立場 〉

  ・代わりとなる財源が無い支出については、何であっても反対する日本最強の省庁

  ・何十兆円も初期投資を要する「自前資源開発」には、文句なしに反対

  ・経済産業省が安倍首相の名前を出して頼んでも、良い返事をしない

  ・むしろ安倍氏の動きを、米国内の反日勢力へ伝えている節がある

 敗戦以来アメリカに協力する優等生となり、政財界に君臨している財務省が政治家を操る力を持っていることが、最近に国民に知られるようになりました。

 「財務省にデモをするなど、本末転倒だろう。悪いのは政治家じゃないか。」

 事情を知らない人が批判していますが、それほど財務省は国民の目に触れない場所にいて、アメリカに協力し国を貧しくする政策を続けてきた省庁です。同省に正面から挑んでいる政治家を、「ねこ庭」は安倍元首相と西田昌司氏の二人しか知りません。

 青山氏は経済産業省を批判するのに忙しく、急先鋒だった安倍首相はすでに旅立ってしまいました。森永卓郎氏が、死の直前まで財務省の悪行を語り続けましたが氏も旅立ち、依然として同省は「日本版DS ( ディープステイト ) 」の座にいます。

 次回は、「メタンハイドレート問題」の主務省庁である経済産業省について、新しい視点から検討してみます。

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