162ページに、「華僑の大虐殺」というシンガポールでの話があります。
・私は噂だけは聞いていたが、初めて日本が占領した直後のひどい出来事を、詳しく聞かされたのであった。
・話にくいことではあるが、この真実をここで言わなければ、気が済まないから聞いていただきたい。
誠実な氏がためらいながら、シンガポールで耳にした話を始めます。
・シンガポールの住民の人口は、大部分が華僑である。
・華僑たちは、戦争前に激しい抗日運動をやっていたから、現地に日本軍が入っても当然治安に不安があった。
・逆に華僑の方でも、日本軍が入り、どんな目に会うかという不安が濃かったに違いない。
・そこで日本軍は少し空気が静まると、良民証のようにものを渡すから、集まれという布告を出したという。
・本当の抗日華僑は、用心して行かなかったかもしれないが、身に覚えのない華僑たちは、良民証がなければどんな目に会うか分からないので、一斉に集まってきた。
・ところが、良民証を渡すというのは口実で、実は抗日華僑の検挙をやったのだ。誰が抗日をやったか知っているという華僑を捕まえて、一人一人見分けさせたのだという。
・その男を受付けの椅子に腰掛けさせておいて、一人ずつ、右と左に分けさせたのだという。抗日をやった人間と、そうでない人間が簡単に分けられていく。
・はじめのうちは、多少の基準があったのかもしれない。だんだん疲れてくると判別がでたらめになって、その場の調子でいい加減に、ひょいひょいと分けてしまったらしいというのだ。
・抗日の方に入れられた人間は、そのままどこかへ連れて行かれて、再び帰らなかったという。
・声を潜めて人々が語るところによると、どこか海岸のある場所へ連れて行って、全部斬殺してしまったらしいという。
話はやがて日本軍の批判になりますが、ここまでの話には事実を裏付けるものがなく、他人から聞いた話です。氏もまたそのように前置きして、述べています。
・人数は、ひそひそ話をそのまま信ずるなら、何日間かにわたって、一万人前後という。軍事裁判もなく、いい加減な分け方で、それほど大勢の人間を殺してしまったと聞いた瞬間、わたくしは何かで頭をぶちのめされたような気持がした。
・どう考えても、戦争中だから仕方がないということの中には入らない。
・よそでは、もっとひどいことがあったと言うかもしれない。
・相手が戦闘員であり、抵抗できる人間であれば、戦争だから殺し合うこともあるだろう。しかし全然無抵抗な人間を、こういうやり方で虐殺したとは・・・
日本軍への批判はもっと詳細ですが、割愛し先へ進みます。
・本当か嘘か、大勢の華僑を埋めた土地は、あそこだと教えられて、そこへ行ってみると、その上には何事もなかったようにマーケットが建っている。
・大勢の人間が集まって、マーケット特有の食べ物を買って食べている。私も知らずに、何度となくその辺りを歩いていたのだ。
現在のシンガポールの人口は、約500万人です。昭和18年当時の人口がどのくらいだったのか、調べても見つかりませんでした。昭和55年が約240万人だったというデータから推察すると、200万人くらいだったのもしれません。
読後に、頭に浮かんだ疑問点を述べます。
・1万人の虐殺が小さな島国シンガポールであったのなら、なぜGHQは「東京裁判」で日本軍の罪状として取り上げなかったのか。
・「東京裁判」では実態のない「南京虐殺」を、わざわざ米国人の牧師、医師、大学教授と軍人が手を尽くし、伝聞資料で作り上げている。
・イギリスの植民地だったシンガポールでこれが事実なら、イギリスが黙っているはずがない。
・氏の文章は、「・・という。」「・・と聞いた。」と、すべて伝聞形式で書かれている。
・シンガポールの事件につき、日本人である私は今まで聞いたことがない。
日本軍が中国人を虐殺し強姦し、極悪非道なことをしたと、デタラメを書いた本多勝一が、話の矛盾点を指摘されたとき、悪びれもせずに言いました。
・自分は、中国人の話を聞いたまま書いた。文句があるのなら、中国人に言って欲しい。
氏がシンガポールでの叙述を、すべて伝聞形で書いているところに、本多勝一に似た狡さを見ました。しかも氏は、無抵抗な日本の一般市民を虐殺した米国について、一言も触れない不公平さがあります。
本土大空襲による無差別攻撃 死者 33万人
原爆投下による広島市民の虐殺 死者 20万人
原爆投下による長崎市民の虐殺 死者 14万人
平和主義者、ヒューマニストとして、シンガポールの一万人の話に憤るのなら、米国がした一般人の虐殺行為を、氏はなぜ怒らないのでしょう。
息子たちに言います。
反日左翼の人間たちは、こうして日本の過去とご先祖を貶めてきました。戦後73年間にわたり、多くの日本国民は彼らの嘘話に騙されてきました。日本の過去を自分で調べ、反日学者たちが歪めた歴史を取り戻して欲しいと思います。
本の紹介はまだ一部ですが、続ける気になりませんので本日で終わりとします。