示唆に富む氏の著作は、どの部分を取っても啓蒙してくれます。元勲西園寺公望公を語る近衛公の言葉を、氏が紹介しています。
・西園寺公は、偉い人だった。終始一貫自由主義者であり、議会主義、政党主義で、徹しておられた。
・私が進めた大政翼賛会は、拙かった。やはり政党が良かった。
・しかし自分が、強く陸軍に対抗して、一国一党の独裁政党を作らせなかったことは、せめて誉めてもらっても良い。
公の言葉を聞いた富田氏は、当時の陸軍の勢力を知り抜いていた身として、公の述懐に共感しています。
・それにつけても、政党人たるもの、自守自負しなければならぬ。
・顧みて現在の政党を見、政党人の行動を見せつけられる時、このままでは、昭和15年の新政治体制発足時のごとき、議会軽視、政治家不信の空気が、断じて起こり得ないとは、果たして言い切れるか、どうか。
氏が公を回想しつつ、昭和31年に語った言葉です。この時氏は自民党の衆議院議員でしたから、自戒を込めた言葉だったのでしょう。
神武景気とも言われていた昭和31年出来事を、調べてみました。当時の世相と重ね、氏の言葉を読みますと心に響きます。
1月 鳩山首相「軍備をもたない現行憲法には反対」と答弁( 2月2日 取り消し )
3月 羽田など4空港管制権、米側から日本へ
4月 衆院本会議、「新教育委員会法案」をめぐり大混乱。議長職権の暁の国会
衆院本会議、「小選挙区法案」をめぐり大混乱、散会(審議未了・廃案)
5月 科学技術庁発足
7月 沖縄問題解決国民総決起大会、東京で開催。返還運動高まる。
経済自書発表「もはや戦後ではない」流行語に
10月 砂川町第二次強制測量。警官隊と地元反対派学生など衝突。政府、測量中止を決定
炭労、波状スト(~12.8) 佐久間ダム完成
「日ソ国交回復共同宣言」(12.12発効)
11月 東海道本線全線電化。
12月 日本の国連加盟、総会で可決
鳩山内閣総辞職 石橋湛山内閣成立
鳩山首相が、「軍備をもたない現行憲法には反対」と答弁し、三日後に取り消していたと初めて知りました。病を押し「日ソ国交回復」を実現するなど、功績のある政治家ですが、戦前は「統帥権干犯」と政府攻撃をして軍部に歩調を合わせ、戦後は「軍備のない憲法には反対」と答弁をしたりと、不思議な政治家です。
今のルーピー鳩山氏は、祖父の軽率さという悪いところだけを受け継いだのでしょうか。興味深い政治家の系譜です。
民主主義は「衆愚政治」とも言われますが、民主主義と議会主義が人類の英知の産物と思えてなりません。運用を誤れば「衆愚政治」に堕しますが、賢明な国民が多数を占めれば立派な政治が出現します。
富田氏の言葉が、読むたびに胸に響きます。
「議会主義は、民主政治の真髄である。」
「しからば、議会政治を実践する政党は、極めて重要なものである。」
「政党人こそ、民主主義を守る騎士でなければならぬ。」
「ねこ庭」で野党議員はもちろんのこと、保守自民党の議員にも悪態をつきますが、「議会主義は、民主政治の真髄である。」と信じる人間の一人です。だからいつも、議員諸氏に訴えています
「政党人こそ、民主主義を守る騎士でなければならぬ。」
利口者には利口者の言い分があり、馬鹿には馬鹿なりの理屈があります。与党と野党のいずれが利口で、いずれが馬鹿か、「ねこ庭」にそんな区分はありません。与野党共に、利口がいてバカがいます。「騎士でなければならぬ。」と、双方の議員諸氏へ語りかける理由がここにあります。
そうすると、自ずから答えが導かれます。
・日本の歴史、伝統と、ご先祖を忘れる政党は「獅子身中の虫」であり、「駆除すべき害虫」
そうであれば、期待できるのは保守自民党の議員諸氏しかいません。
いつもの提案を、自民党の議員諸氏にします。
1. 国会議員の二重国籍禁止法の成立
2. NHKに関する特別法の制定