ねこ庭の独り言

ちいさな猫庭で、風にそよぐ雑草の繰り言

宮内庁御用達

2016-06-02 19:26:36 | 徒然の記

 衣料品や食品で、宮内庁御用達と書かれていたり、言葉で聞いたりすると、それだけで私たちはかしこまってしまう。

 詳しい説明がされなくとも、最高級の品物であると、信じてしまう。決して、手の届かないものだけに、理屈なしに立派だと感じて眺める。宮内庁がいったいなんだと、へそ曲がりの人間がたまにそっぽを向いたりするが、一般的には、何となく感激する国民の方が多数だろう。

 先日JALの広告で、アテンダントの女性が、コンスのお辞儀をしていると苦情を述べたが、なんとANAもNHKのニュース番組も、そうだった。そればかりか、先日の伊勢志摩サミットでは、コンスを広めている団体に、政府から礼法指導の依頼があり、接遇関係者の教育に当たったと、そんな報道を目にした。

 いい加減止めにして欲しい醜い挨拶だというのに、政府が協力し、伝統破壊を進めていると知り、心穏やかならざるものがある。外務省や文部省の元官僚たちまで、コンス式挨拶の普及に手を貸しているというのだから、何をか言わんやである。

 この上、「皇后陛下もなさっています。」と言われれば、わが国では「宮内庁御用達」の金看板以上の力を発揮する。若い人はどうか知らないが、国民の多くは皇室に敬意を抱き、陛下のされることに間違いのあろうはずがないと、信頼している。

 皇后陛下がどこまで意識されているか、知るすべもないが、皇室を疑わない国民の善意を利用し、金儲けに精を出している不心得者がいる。先日ブログで初めて知ったが、小笠原敬承斉と自称する女性が、その中心の一人だった。本家の小笠原礼法では、コンスが否定されているのに、時流に乗った彼女は、小笠原を名乗る資格もないのに、大々的な活動を展開している。コンスの名称こそ使っていないが、朝鮮式礼法を、国際標準の挨拶だと説明している厚かましさだ。

 彼女の立ち上げている団体の名前は、「日本プロトコール協会」と言い、日本の一流企業が、社員教育の一環として、こぞって礼儀作法の教育を一任している。航空会社だけでなく、生命保険会社、デパート、コンビニ業界、果てはNHKを筆頭とするテレビ業界までだ。

 航空会社の元社員や、外務省の元役人などが女性講師として名を連ね、会社の新人教育で指導している。この団体の役員名や構成について、ネットで調べてみたら、韓国に思いを寄せる有名な弁護士や、九条を守る会の活動家や、元の駐韓大使などの名前が書かれていた。

 こうした人々にとって、コンスを広めることは、政治活動の一環であると共に、金儲けにもなっている。ここまでの広がりを持つコンス浸透の実情を知ると、それはもう、私のような一庶民の手に負えるものではない。「プロトコール協会」を構成する人々の思想と信条は、皇后陛下のそれと重なっており、いわばこれらの人々は、宮内庁御用達の看板より、更に強力な金看板を活用している 「 日本文化の破壊者 」たちである。「皇后陛下もなさっています。」 とわざわざ口で言わなくとも、テレビの報道で、皇后陛下の挨拶姿を見ていれば、誰にでも分かるからだ。

 世間では勇気のある人たちがいて、皇后陛下のコンスを非難しているが、臆病な私は、ただ祈るしかできない。皇后陛下が亡くなられ、取り巻きの亡国者たちが支えを失い、日本から消えて行く日を、静かに祈るしかない。

 思えば平成の陛下は、皇后陛下の望まれる通り、庶民と同様の開かれたお姿になられた。あることないこと、芸能人のように週刊誌に書かれ、女性たちを喜ばせたり、悲しませたりしている。私たち庶民の家庭では、かかあ天下が幅を利かせ、それはそれで家庭円満の一助になっている。

 だが国民統合の象徴である天皇家は、果たしてそれで良いのだろうか。一般庶民と同様に、どこへ行くにも、手を組んで歩かれたり、妻が夫より前面に出たり、そのような下世話な姿を、他国の王族たちは国民の前に晒されているのだろうか。

 毅然としておられるからこそ、国民の象徴であり、国民の敬意の中心におられるのだと、私は思料する。陛下が全国に示されているかかあ天下は、国民に悲しみと失望を与えるものでしかなく、庶民のかかあ天下とは、そもそもレベルが同じであるはずがない。庶民の家庭のかかあ天下は、世間の人々になんの影響も与えず、個人の範囲で収束する。

 陛下が黙認されているかかあ天下は、日本の歴史と伝統を壊し、ひいては皇室そのものの、ゆかしい伝統と文化を消滅させていくものにつながると、どうして想いを致されないのか。庶民と違ったお立場にある「国民統合の象徴」は、どうあるべきか。昭和天皇の慎重さを、なぜ引き継がれなかったのか。

 ただ私は、静かに祈るしかない。皇后陛下がお亡くなりになられ、取り巻きの亡国者たちが支えを失い、日本から消えて行く日を・・・・。不遜だと非難する人もいるだろうが、私はこのような時いつも北畠親房の言葉を、心の支えとする。

    「君は尊くましませど、民を苦しめれば、天これを許さず。」

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする