■市民オンブズマン群馬は、東吾妻町萩生地区で、サンパイの有害スラグが混入され無許可処理された偽装再生砕石が敷砂利として使われていることを住民監査請求で指摘しました。吾妻農業事務所は「下層路盤工として使用した」と苦し紛れに説明していますが、監査委員から「路面敷砂利として積算しているので、農村整備課及び吾妻農業事務所の説明は一貫性の低いものである」と指摘されており、当会では「敷砂利」ということで間違いはないと考えています。
この有害スラグ敷砂利に蓋をする目的で、舗装工事が平成26年6月に吾妻農業事務所で入札にかけられました。ところが、この有害スラグは、平成26年6月11日の入札時点で、既に産業廃棄物であるとして、排出者である大同特殊鋼自身が認めていた代物だったのです。
当会が、平成26年6月14日にこのことを指摘しておいたにもかかわらず、吾妻農業事務所は舗装工事を強行してしまいました。
■吾妻農業事務所は、有害スラグが施工された道路について、舗装を急いだ理由を、最後には「いわれなき風評被害を防ぐ」と言い放っています。詳しくはこちらを参照ください↓
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/1569.html
平成26年2月19日の第186回国会予算委員会の場で、地元選出の衆議院議員が質問し、さらに、国土交通省の「半田その4改良」現場において平成26年3月の分析調査で有害物質が検出され騒ぎになっていたのですから、吾妻農政事務所は、農政の重要な柱のひとつである「食の安全」に配慮して、大同特殊鋼の負担で有害スラグ敷砂利を撤去すればよかったのです。
ところが、何を血迷ったのか、群馬県農村整備課と吾妻農業事務所は、当会の指摘を無視して舗装を強行してしまいました。そのため「風評被害」の発生は、吾妻農業事務所による無思慮が原因で起きてしまうのです。
あまりにも無知なお役人様の本末転倒な説明にこれ以上係るのはバカバカしいので、今回は敷砂利と下層路盤工はどう違うのか、勉強して行きましょう。群馬県の関係者の皆さんも、ノートと鉛筆の用意はよろしいでしょうか?
■当会が住民監査請求をした際に参考とした図面を、縦長にして見やすくしたので、早速見ていきましょう。ちなみに、元資料はこちらを参照ください↓
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/1535.html#readmore
敷砂利について図解した「道路工」をご覧ください。↓
(図1 道路工)
「敷砂利」とは何なのでしょうか?上の図解にある表を見るとよくわかります。
まず、「掘削」という文字がどこにも見当たりません。そこに並んでいる言葉は「不陸整正」「路面転圧」「敷砂利」「RC-40 t=10cm」「敷均し」となっています。これらの用語について、吟味をしてみます。
*「不陸整正」:これは、「地面を平に整地すること」だそうです。(注)1.を読むと「路床は~~」と書いてあり、「道の床となる部分を平に整地すること」と読みとれます。
*「路面転圧」:これは、「平に整地した路床を一定の値がでるまで固めること」を意味するそうです。(注)1.を読むと「路床は、~測定値160以上に転圧すること。」となっています。
*「敷砂利」「RC40 t=10cm」「敷均し」:これらの言葉は、「再生砕石RC40を厚み10㎝で、敷き均すこと」を意味しているのだそうです。中でも「敷均し」とはダンプトラックで納入した砕石を、文字通り、重機を使い、道に均一に敷くこと」を意味します。そこでは「転圧」、つまり「重機で踏んで圧力をかけて締め固めること」は想定されていません。
■上の図解を見ると、路床を平らに整地し、重機で転圧し、そこから盛り上がるように再生砕石を10㎝の厚さで敷均す様子が描かれています。路床は転圧しますが、砕石は転圧しないのです。
簡単に説明すれば、地面を平らにしたままでは、雨が降るとぬかってしまい、農耕車が走行できないので、砕石を敷いておくのが「敷砂利」なのだそうです。いわば舗装をする予算がないので、簡易的に道を整地するのが敷砂利です。仮設なので、舗装をする場合は、敷砂利部分を下の土と一緒に掘削撤去してから舗装を行います。
「敷砂利」の場合、転圧を行わないので、砕石の試験表は、砕石のサイズを示す「ふるい分け試験」のみで足りるということだそうです。完成検査においては、「敷砂利」については、姿確認のみを行う、ということです。
■これに対して、「下層路盤工」とは、舗装工事において下層・上層・表層と施工する計画の場合に、下層路盤工という呼び名が登場するそうです。次に示す「舗装工標準図」を見ていきましょう。こちらです。↓
(図2 舗装工標準図)
上図を見ると、当初の地面(計画面)から掘削を行い、下層路盤工・上層路盤工・表層工となっているのが理解できると思います。掘削をせずに路床を固め、盛り上げるように砕石を敷き均す「敷砂利」とは対照的です。
(注)2をみると「下層路盤工は再生砕石RC40(修正CBR≧30PI≦6)とし、1層仕上厚さは20cm以下とする。」と、敷砂利とは異なり、事細かく指定されているのが見て取れます。
「修正CBR」という言葉の定義を工事関係者に尋ねると、「どの位の密度で締め固まっているのかを示す数字で、砕石にも転圧をかけて締め固めることを指す」のだそうです。この点、敷均すだけの敷砂利と比べると、こちらも対照的な違いを見せています。
したがって、砕石の試験表は「ふるい分け試験」というものだけでは足りず、「修正CBR試験」「PI試験」他が必要になるそうです。この点、敷砂利だろうが、下層路盤工だろうが、同じ試験表を提出するのが一般的だそうですが、完成検査については敷砂利とは異なり、砕石の転圧がキチンとなされているかどうかデータが示されていなければならない、ということです。
また、敷砂利道の場合でも、道の取り付け部は舗装をかけることがあり「取付舗装」と呼ばれるそうです。念のため、こちらも勉強しておきましょう。「取付舗装工」の図解はこちらをご覧ください。↓
(図3 取付舗装工)
上図を見ると、地面(計画面)を掘削して下げておいて、路盤工に砕石を施工して、その上に表層工を施工する図が示されています。
また、下の表にはアスファルト舗装とコンクリート舗装、それぞれの場合の砕石の厚みや「土工」のやり方が示されています。「土工」とは、地面を掘削して土をダンプカーに積み込み、他の場所に運搬することを指しているのだそうです。
「取付舗装工」の場合でも掘削を伴い、路床を転圧し、更に砕石も転圧してから舗装を施工するのだそうです。
■吾妻農業事務所は「下層路盤工として使用した」と苦し紛れに説明していますが、「敷砂利」と「下層路盤工」は全く異なる工事種類です。例えば、完成工事検査がどの様に行われているのかを見ても、「敷砂利」と「下層路盤工」は全く異なるはずです。
この点を心配したのか、いつもは極めて県職員寄りの監査委員でさえもが「路面敷砂利として積算しているので、農村整備課及び吾妻農業事務所の説明は一貫性の低いものである」と指摘せざるを得ない始末です。監査委員も、さすがに、土木施工の基本中の基本については、県職員のウソの言い訳を追認するわけにはいかなかったのでしょう。県議出身者2名はともかく、会計士と会計士から構成される学識経験者2名の監査委員としては、この点は捻じ曲げて解釈したら自分たちの沽券を下げてしまうと思ったのでしょう。
吾妻農業事務所は、有害スラグ生一本状態の6路線について、当会の制止を振り切って、急遽舗装を強行してしまいました。もし、有害スラグを「敷砂利」として施工しているのであれば、舗装を施す場合、取付舗装工と同じように土工が指定され、有害スラグ敷砂利と地面を一緒に掘削し、トラックに積み込み、運び出してから、路面転圧・砕石転圧・表層工と続かなければなりません。
■吾妻農業事務所は、舗装について、かなり知識に乏しく、かなりいい加減な技術しかもっていないと考えられます。もしかしたら、「下層路盤工」と言い張るために、後出しジャンケン的に、完成検査資料の作り変えを業者に指示したりすることがお得意なのかもしれません。
水資源機構・群馬用水のように有害スラグを大同特殊鋼に撤去させていれば、吾妻農業事務所の説明にあるような「いわれなき風評被害」などは起きません。また、敷砂利を「下層路盤工」と言い張り、監査委員に指摘されることもなかったのです。
群馬県行政による、「食の安全」に対する配慮は地に堕ちた観があります。もともと、ホコリがたつ敷砂利に、コンクリートやアスファルトをリサイクルした再生砕石RC材を平気で使用するのは、いかがなものでしょう?循環型社会であっても、「食の安全」に配慮し、敷砂利には天然石を指定するような筋の通った県行政であって欲しいものです。
しかし現実には、「食の安全」を憂える良識ある県民の声より、佐藤建設工業と組んで、有害スラグを田畑に不法投棄しまくった“ブラック”建設業者の声しか届かないのかもしれません。
群馬県は、行政への信頼回復のためにも、一刻も早く佐藤建設工業を刑事告発し、この悪質な不法投棄事件の全容を解明しなければなりません。
【市民オンブズマン群馬・大同有毒スラグ不法投棄特別調査チーム・この項続く】
この有害スラグ敷砂利に蓋をする目的で、舗装工事が平成26年6月に吾妻農業事務所で入札にかけられました。ところが、この有害スラグは、平成26年6月11日の入札時点で、既に産業廃棄物であるとして、排出者である大同特殊鋼自身が認めていた代物だったのです。
当会が、平成26年6月14日にこのことを指摘しておいたにもかかわらず、吾妻農業事務所は舗装工事を強行してしまいました。
■吾妻農業事務所は、有害スラグが施工された道路について、舗装を急いだ理由を、最後には「いわれなき風評被害を防ぐ」と言い放っています。詳しくはこちらを参照ください↓
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/1569.html
平成26年2月19日の第186回国会予算委員会の場で、地元選出の衆議院議員が質問し、さらに、国土交通省の「半田その4改良」現場において平成26年3月の分析調査で有害物質が検出され騒ぎになっていたのですから、吾妻農政事務所は、農政の重要な柱のひとつである「食の安全」に配慮して、大同特殊鋼の負担で有害スラグ敷砂利を撤去すればよかったのです。
ところが、何を血迷ったのか、群馬県農村整備課と吾妻農業事務所は、当会の指摘を無視して舗装を強行してしまいました。そのため「風評被害」の発生は、吾妻農業事務所による無思慮が原因で起きてしまうのです。
あまりにも無知なお役人様の本末転倒な説明にこれ以上係るのはバカバカしいので、今回は敷砂利と下層路盤工はどう違うのか、勉強して行きましょう。群馬県の関係者の皆さんも、ノートと鉛筆の用意はよろしいでしょうか?
■当会が住民監査請求をした際に参考とした図面を、縦長にして見やすくしたので、早速見ていきましょう。ちなみに、元資料はこちらを参照ください↓
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/1535.html#readmore
敷砂利について図解した「道路工」をご覧ください。↓
(図1 道路工)
「敷砂利」とは何なのでしょうか?上の図解にある表を見るとよくわかります。
まず、「掘削」という文字がどこにも見当たりません。そこに並んでいる言葉は「不陸整正」「路面転圧」「敷砂利」「RC-40 t=10cm」「敷均し」となっています。これらの用語について、吟味をしてみます。
*「不陸整正」:これは、「地面を平に整地すること」だそうです。(注)1.を読むと「路床は~~」と書いてあり、「道の床となる部分を平に整地すること」と読みとれます。
*「路面転圧」:これは、「平に整地した路床を一定の値がでるまで固めること」を意味するそうです。(注)1.を読むと「路床は、~測定値160以上に転圧すること。」となっています。
*「敷砂利」「RC40 t=10cm」「敷均し」:これらの言葉は、「再生砕石RC40を厚み10㎝で、敷き均すこと」を意味しているのだそうです。中でも「敷均し」とはダンプトラックで納入した砕石を、文字通り、重機を使い、道に均一に敷くこと」を意味します。そこでは「転圧」、つまり「重機で踏んで圧力をかけて締め固めること」は想定されていません。
■上の図解を見ると、路床を平らに整地し、重機で転圧し、そこから盛り上がるように再生砕石を10㎝の厚さで敷均す様子が描かれています。路床は転圧しますが、砕石は転圧しないのです。
簡単に説明すれば、地面を平らにしたままでは、雨が降るとぬかってしまい、農耕車が走行できないので、砕石を敷いておくのが「敷砂利」なのだそうです。いわば舗装をする予算がないので、簡易的に道を整地するのが敷砂利です。仮設なので、舗装をする場合は、敷砂利部分を下の土と一緒に掘削撤去してから舗装を行います。
「敷砂利」の場合、転圧を行わないので、砕石の試験表は、砕石のサイズを示す「ふるい分け試験」のみで足りるということだそうです。完成検査においては、「敷砂利」については、姿確認のみを行う、ということです。
■これに対して、「下層路盤工」とは、舗装工事において下層・上層・表層と施工する計画の場合に、下層路盤工という呼び名が登場するそうです。次に示す「舗装工標準図」を見ていきましょう。こちらです。↓
(図2 舗装工標準図)
上図を見ると、当初の地面(計画面)から掘削を行い、下層路盤工・上層路盤工・表層工となっているのが理解できると思います。掘削をせずに路床を固め、盛り上げるように砕石を敷き均す「敷砂利」とは対照的です。
(注)2をみると「下層路盤工は再生砕石RC40(修正CBR≧30PI≦6)とし、1層仕上厚さは20cm以下とする。」と、敷砂利とは異なり、事細かく指定されているのが見て取れます。
「修正CBR」という言葉の定義を工事関係者に尋ねると、「どの位の密度で締め固まっているのかを示す数字で、砕石にも転圧をかけて締め固めることを指す」のだそうです。この点、敷均すだけの敷砂利と比べると、こちらも対照的な違いを見せています。
したがって、砕石の試験表は「ふるい分け試験」というものだけでは足りず、「修正CBR試験」「PI試験」他が必要になるそうです。この点、敷砂利だろうが、下層路盤工だろうが、同じ試験表を提出するのが一般的だそうですが、完成検査については敷砂利とは異なり、砕石の転圧がキチンとなされているかどうかデータが示されていなければならない、ということです。
また、敷砂利道の場合でも、道の取り付け部は舗装をかけることがあり「取付舗装」と呼ばれるそうです。念のため、こちらも勉強しておきましょう。「取付舗装工」の図解はこちらをご覧ください。↓
(図3 取付舗装工)
上図を見ると、地面(計画面)を掘削して下げておいて、路盤工に砕石を施工して、その上に表層工を施工する図が示されています。
また、下の表にはアスファルト舗装とコンクリート舗装、それぞれの場合の砕石の厚みや「土工」のやり方が示されています。「土工」とは、地面を掘削して土をダンプカーに積み込み、他の場所に運搬することを指しているのだそうです。
「取付舗装工」の場合でも掘削を伴い、路床を転圧し、更に砕石も転圧してから舗装を施工するのだそうです。
■吾妻農業事務所は「下層路盤工として使用した」と苦し紛れに説明していますが、「敷砂利」と「下層路盤工」は全く異なる工事種類です。例えば、完成工事検査がどの様に行われているのかを見ても、「敷砂利」と「下層路盤工」は全く異なるはずです。
この点を心配したのか、いつもは極めて県職員寄りの監査委員でさえもが「路面敷砂利として積算しているので、農村整備課及び吾妻農業事務所の説明は一貫性の低いものである」と指摘せざるを得ない始末です。監査委員も、さすがに、土木施工の基本中の基本については、県職員のウソの言い訳を追認するわけにはいかなかったのでしょう。県議出身者2名はともかく、会計士と会計士から構成される学識経験者2名の監査委員としては、この点は捻じ曲げて解釈したら自分たちの沽券を下げてしまうと思ったのでしょう。
吾妻農業事務所は、有害スラグ生一本状態の6路線について、当会の制止を振り切って、急遽舗装を強行してしまいました。もし、有害スラグを「敷砂利」として施工しているのであれば、舗装を施す場合、取付舗装工と同じように土工が指定され、有害スラグ敷砂利と地面を一緒に掘削し、トラックに積み込み、運び出してから、路面転圧・砕石転圧・表層工と続かなければなりません。
■吾妻農業事務所は、舗装について、かなり知識に乏しく、かなりいい加減な技術しかもっていないと考えられます。もしかしたら、「下層路盤工」と言い張るために、後出しジャンケン的に、完成検査資料の作り変えを業者に指示したりすることがお得意なのかもしれません。
水資源機構・群馬用水のように有害スラグを大同特殊鋼に撤去させていれば、吾妻農業事務所の説明にあるような「いわれなき風評被害」などは起きません。また、敷砂利を「下層路盤工」と言い張り、監査委員に指摘されることもなかったのです。
群馬県行政による、「食の安全」に対する配慮は地に堕ちた観があります。もともと、ホコリがたつ敷砂利に、コンクリートやアスファルトをリサイクルした再生砕石RC材を平気で使用するのは、いかがなものでしょう?循環型社会であっても、「食の安全」に配慮し、敷砂利には天然石を指定するような筋の通った県行政であって欲しいものです。
しかし現実には、「食の安全」を憂える良識ある県民の声より、佐藤建設工業と組んで、有害スラグを田畑に不法投棄しまくった“ブラック”建設業者の声しか届かないのかもしれません。
群馬県は、行政への信頼回復のためにも、一刻も早く佐藤建設工業を刑事告発し、この悪質な不法投棄事件の全容を解明しなければなりません。
【市民オンブズマン群馬・大同有毒スラグ不法投棄特別調査チーム・この項続く】